経営ノウハウ

中小企業が直面する経営課題について、各分野の専門家が実践的にお応えします。

正社員転換制度導入にあたって
当社はパート社員の占める割合が高いのですが、優秀と認めるパート社員に対して、個別に声をかけて正社員に抜擢しています。そのため正社員への転換基準や時期もバラバラなのですが、今のやり方で法律的に問題ないでしょうか。また、正社員に転換する制度を正式に導入するとしたら、どのような点に留意すれば良いか教えてください。(千葉県M社 社長)
パートから正社員になれるチャンスを制度化するよう、企業には義務づけられています。現在のやり方では十分だと言えませんので、きちんと制度化するようにしましょう。
男性

解説者

社会保険労務士 富岡 英紀(とみおか・ひでき)
経営・労務に関するコンサルティングのほか、ベンチャー企業への助成金コンサルティングや就業規則によるリスクヘッジなど付加価値の高いサービスにとくに力を入れている。
社会保険労務士 加藤美香(かとう・みか)
労働基準監督署労働条件相談員、労働時間短縮アドバイザー、就業規則普及指導員等公的業務の経験を生かし、企業への人事労務コンサルティングに力を入れている。

目次

解説

パート労働者の適正な雇用管理について定めた法律「パートタイム労働法」では、パート社員から正社員になれるチャンスを設けるよう、企業に義務づけています。新たに正社員を採用する場合、パート社員にも応募の機会を与えるなど、公平な転換制度を導入することが求められています。
 現在のやり方は正社員への登用基準が不明確であるため、社員間に不公平感が生じやすく、全体のモチベーションを下げてしまうおそれがあります。効果を最大限にするためにも、公正で客観性のある制度を設けるようにしましょう。

制度化にあたって必要となるのが正社員の選抜基準とその方法ですが、選抜基準としては人事評価、勤続年数を、方法としては筆記試験、面接を柱に考えていきます。その内容は企業によっても異なりますが、正社員になりたいという本人の意欲に加え、正社員としての能力や資質が備わっているかを公正な立場で判断する必要があります。

ただ、希望者を優先的に採用することまでは要求されていませんので、本人が選抜基準をクリアしていなければ正社員に転換しなくても問題ありません。正社員転換制度を適正に運用するためにも、パート社員にも人事評価制度を設けて定期的に評価するようにしましょう。

正社員転換制度を導入するにあたって、ぜひ検討したいのが公的助成金の活用です。助成金の要件を満たしながら、実際に制度を作り、パート社員を正社員へと転換すれば、助成金を受給することができます。

以上の点に留意しながら、パート社員全体のモチベーションもアップさせ、戦力化につなげる制度を導入することで、会社の業績アップも図っていきましょう。

【資料1】正社員転換制度規程(例)(PDFファイル:7KB)
【資料2】中小企業雇用安定化奨励金の概要(PDFファイル:6KB)

掲載日:2009年12月15日