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起業ノウハウ
食中毒をださないためにはどうしたらよいですか?
飲食店を経営していますが、この季節、心配なのが食中毒です。万が一にも食中毒を発生させないために、防御方法はどのようなものがよいでしょうか?
食中毒を防止するためには熱処理やアルコール消毒で十分と思っていらっしゃる方も多いでしょう。ところが、熱処理や消毒だけでは防げない食中毒も多いのです。食中毒の種類によって防止法も症状も治療法も異なることを解説いたします。

目次

解説

食中毒は、飲食店を含め食品を扱う業種の方々には切実な問題です。食の安全性に対する根本が揺らぎ、消費者の目が厳しくなるにつれ、行政による監視や指導も厳しくなっています。
  しかし、食中毒発生件数はなかなか減少しません。そして、事故発生により信用を失墜し、倒産・売却に至るケースも少なくありません。万が一、食中毒が発生した場合、

 1.行政上の責任(営業許可の取り消し・営業停止)

 2.民事上の責任(被害者に対しての損害賠償)

 3.刑事上の責任(罰金や懲罰)

などの社会的責任が発生し、これまで築き上げた信頼が崩れていくことになります。患者からのクレームや食中毒の疑いがかかったときや、食中毒を発生させてしまったときの対応を誤ると取り返しのつかないことにもなりかねません。
  このようなことが起きないために食中毒の種類を把握し、種類別の防護策を講じる必要があります。食中毒は細菌やウイルスによるものがほとんどです。よく言 われる防護方法は熱処理や消毒などですが、それらが効果がない食中毒もありますので、適切な防護方法を理解しておく必要があります。

【食中毒の要因】

食中毒は、その原因になった因子・物質によって、「細菌性食中毒」「ウイルス性食中毒」「化学性食中毒」「自然毒食中毒」「その他」に分けられます。 暖かくなる季節に増加していく食中毒は「細菌性食中毒」になります。また、「ウイルス性食中毒」は季節に左右されずに発症しています。

なお、「化学性食中毒」は薬剤などの化学物質の誤飲がおもな要因であり、「自然毒食中毒」は毒キノコやフグの摂取などによるものですので、今回は割愛いたします。  厚生労働省によると、食中毒患者のうち約80%が、ノロウィルス、カンピロバクター(菌)、サルモネラ属菌の3種のウイルスや細菌によるものと発表しています。

【要因別の特徴】

1.細菌性食中毒
  細菌性食中毒には、その細菌が毒素を出すことにより発症する「毒素性食中毒」と、細菌が体内に入り増殖し、病原性をもつことにより発症する「感染型食中毒」に大別できます。

「毒素性食中毒」は細菌そのものに毒素があるので、細菌を殺しただけでは食中毒を防げません。細菌が死ぬことと毒素が分解されることは別の問題だか らです。ですから、細菌に効果のある抗生物質や細菌を殺す熱消毒や薬品消毒は効果がありません。代表的な細菌は、「黄色ぶどう球菌」や「ボツリヌス菌」で す。

「感染型食中毒」は菌数が少なければ発症しません。また菌を増加させなければ良いので、熱消毒、薬品消毒などが有効で、発症後も抗生物質が有効とされています。代表的な細菌は、「腸炎ビブリオ」「カンクロバクター」「サルモネラ菌」「大腸菌」などです。

2.ウイルス性食中毒
  ウイルス性食中毒は細菌ではなくウイルスが原因となるものです。発症メカニズムは細菌性食中毒の感染型に似ています。細菌の代わりにウイルスが体内で増殖することにより食中毒が発症します。

ただし、やっかいなことにウイルスは細菌と異なり効果的な薬が存在しないので、発症してしまうと対処療法しかなく、人間の免疫と体力に頼らざるを得 ません。そのため、免疫や体力の弱い老人や子供が発症すると合併症を発症するなど重症化しやすいのです。しかも、細菌性は人から人への感染があまりないの で一次被害だけで済むことが多いのに対し、ウイルス性食中毒は人から人へ感染しやすく、二次被害、三次被害と発症者が広がっていく特長があります。

防護策としては、アルコールなどの消毒は効果が薄いようですが、熱処理は有効です。基本的に食中毒性ウイルスは食中毒性細菌のように私たちの周りに 常在しているわけではありません。ウイルスに感染している仲介者(カキや家畜など)に触れることによって、私たちに取り込まれ増殖し食中毒を発症します。 したがって、ウイルスに触れないこと、触れたとしても取り込まないようにすることです。最大の防御は「洗い流してしまう」ことです。
  食中毒を発祥する代表的なウイルスは「ノロウイルス」「ロタウイルス」などです。

【各食中毒の症状と防護策】

代表的な食中毒の症状と感染経緯、防護策、治療方法などを細菌性とウイルス性に分けて以下にまとめました。

1.細菌性食中毒

  • 要因:黄色ブドウ球菌
  • 主な感染経緯:皮膚に常在する菌が食品へ移行し食品表面で増殖する。そのため、おにぎり・寿司などの直接手で調理する料理からの感染が多い。
  • 防護策:毒素は加熱による分解はしない。菌を「増殖させない」「食品に接触させない」ことが重要であるため、徹底した「手洗い」「調理器具の洗浄」などの洗い流すことが効果的である。
  • 症状と治療方法:嘔吐・下痢。直接的な治療はできず、脱水症状にならないように水分を補給するなどの対処療法のみ
  • 要因:カンクロバクター
  • 主な感染経緯:家畜・家禽に常在する菌であるため、その生食によるもの。また、保菌動物や鳥類などの排出物により汚染された食品の摂取。
  • 防護策:60度、1分程度の加熱でほぼ除菌できる。したがって、十分な加熱調理と肉類に触れた器具や手の洗浄、生食する野菜と肉類の接触防止を行えば簡単に防ぐことができる。
  • 症状と治療方法:38度以下の発熱・下痢・腹痛。重症化しにくい。抗生物質投与。
  • 要因:サルモネラ
  • 主な感染経緯:主に鶏の腸管に常在する菌である。鶏の糞への接触などにより菌が広がることが多いので鶏卵が感染源になりやすい。昔は殻の内側への 感染はないとされており、殻の洗浄や非接触により防げるとされていたが、卵黄そのものに寄生している場合もあることが判明し、鶏卵そのものが感染経路であ る。
  • 防護策:60度、1分程度の加熱でほぼ除菌できる。またペットにも常在することから、動物と接触した後の十分な手洗いやアルコールなどの消毒が必要。
  • 症状と治療方法:38度以上の発熱・嘔吐・下痢・腹痛。重症化する場合もある。抗菌薬投与。

2.ウイルス性食中毒

  • 要因:ノロウイルス
  • 主な感染経緯:カキ・アサリなどの二枚貝類に寄生している場合が多い。そのため貝類の生食などにより感染する。また、感染者の嘔吐物・糞尿などで 体外に排出され、それらに接触することにより感染が拡大する。嘔吐物・糞尿などが乾燥し空気中に粒子が舞い上がり、それを吸っただけでも感染することが知 られている。
  • 防護策:消毒用エタノールには抵抗性が強いが、手洗いによって物理的に洗い流すことができる。また、85度以上1分間以上の加熱によって感染性を失うため、中心部まで充分加熱する。カキなどの危険な食材に使用した調理器具などは、洗浄・消毒をしてから他の食材に使用する。
  • 症状と治療方法:激しい嘔吐・はげしい下痢・発熱。直接的な治療はできず、脱水症状にならないように水分を補給するなどの対処療法のみ。
  • 要因:ロタウイルス
  • 主な感染経緯:感染源は不明。人から人への感染により被害が拡大する。感染力はノロウイルスよりは弱い。ノロウイルス同様、感染者の嘔吐物・糞尿 などで体外に排出され、それらに接触することにより感染が拡大する。嘔吐物・糞尿などが乾燥し空気中に粒子が舞い上がり、それを吸っただけでも感染するこ とが知られている。
  • 防護策:食中毒というより、インフルエンザなどのウイルス感染症に近い。いかにウイルスを体内に入れないかが重要である。そのため、手洗い・うがいなどが効果的である。
  • 症状と治療方法:激しい嘔吐・はげしい下痢・発熱。合併症などにより重症化する場合もある。直接的な治療はできず、脱水症状にならないように水分を補給するなどの対処療法のみ。

【食中毒を防ぐ5つのポイント】

食中毒を防ぐためには、以下のような5つのポイントがあります。この5つのポイントは、WHO(世界保健機構)が発表したものです。

1.「清潔に保つ」
正しい手洗い、まな板・包丁など調理器具の洗浄・消毒、防虫・防ソ(ネズミ駆除)で、細菌やウイルスなど微生物を食品につけない。

2.「生の食品と加熱済み食品とを分ける」
異なる食材を分けて取り扱う。まな板・包丁は加熱済み食品用など用途別の区別を!

3.「よく加熱する」
加熱が必要な食品はよく加熱する。調理済み食品もよく再加熱を!!

4.「安全な温度に保つ」
調理済み食品を室温に2時間以上放置しない。温かいものは温かい状態で。冷たいものは冷たい状態(冷却)で。

5.「安全な水と原材料を使用する」
野菜や果物など生で食べる食材をよく洗う。消費期限を過ぎたものは食べないようにする。

食中毒は社会的信用を失うだけではなく、感染者に取り返しのつかない苦痛を与える場合もあります。したがって、食品を安全に取扱うための意識を向上させることが最も大切であり、その意識こそが食中毒を防ぐ最大の防御壁となるのです。

掲載日:2009年8月 4日
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