トップページ  >  起業する  >  コラム・インタビュー  >  起業ノウハウ  >  寄附金控除とふるさと納税

起業ノウハウ
寄附金控除とふるさと納税
私は法人を立ち上げ5年になります。厳しい経済状況の中でも順調に業績が伸びております。最近、ふるさとへ寄附ができる制度ができたと聞きました。日ごろから私たちが納める税金の使い道について疑問をもっていましたので、この制度には大変興味をもっています。所得税には寄附金控除があることは聞いたことがありますが、住民税にも寄附金の優遇はあるのでしょうか。また、ふるさと納税制度について詳細を教えてください。
世界や日本でも地震などの災害が相次ぎ、義援金や寄附金を支払う方が多くなってきています。これらの寄附金は一定の寄附金に該当すれば、寄附金控除を受けることができます。寄附金控除は所得税だけの制度ではなく、住民税にも以前からありました。しかし、寄附金の対象が限られていたことと、最低限度額が高額であったために、所得税の寄附金控除のようには利用されていませんでした。
 平成20年度の税制改正でこの住民税の寄附金控除について大きく改正され、利用しやすくなり、新たに「ふるさと納税制度」も創設されました。
女性

解説者

渡辺ゆかり(わたなべ ゆかり)
渡辺会計事務所所長。おもな著書に、「会社の数字早わかり」「連結決算を90分でおさらいする本」(いずれも共著、三笠書房・知的生きかた文庫シリーズ)がある。
URL:http://homepage2.nifty.com/ywatanabe/

目次

解説

1.都道府県・市区町村が控除対象となる寄附金を条例指定できる制度の創設

平成20年度の税制改正で控除の対象となる寄附金を都道府県や市区町村が独自で指定できる制度が創設されました。これにより、地域の特殊性を活かした寄附金の活用が期待できます。また、寄附金の控除方式も改正され、寄附をした方への効果も大きくなりました。

(1)控除対象者
 控除の対象となるのは、個人住民税の納税義務のある方です。

(2)対象寄附金
 改正前の対象寄附金に加え、住民の福祉の増進に寄与する寄附金として、都道府県または市区町村が条例により指定したものが追加となりました。
 改正前の対象寄附金とは・・・住所地の都道府県共同募金会に対する寄附金および住所地の日本赤十字社支部に対する寄附金になります。
 国に対する寄附金、政党等に対する政治活動に対する寄附金は対象になりません。

(3)控除方式
改正前の所得控除方式から税額控除方式に改められました。

所得控除とは・・・税金の計算をするために所得を算出します。その際にその所得から引く項目を所得控除といいます。この場合、税額に影響する金額は各個人の税率により異なります。

税額とは・・・所得金額に税率をかけて税金を算出したあと、その税金から控除することを税額控除といいます。

(4)控除率
 <改正前>
 適用対象寄附金×税率(10%)の軽減効果

 <改正後>
 (「特定寄附金の支出額」と「総所得金額等の合計額の30%」のいずれか少ないほうの金額) − 5000円 × 控除率

控除率は次のようになります。
 ・都道府県指定寄附金の場合は4%の税額控除
 ・市区町村指定寄附金の場合は6%の税額控除
 ・都道府県と市区町村のどちらからも指定された寄附金の場合は10%の税額控除

(5)控除対象限度額
 総所得金額等に対して改正前の25%から30%に引き上げられました。

(6)適用下限額
 改正前の10万円から5000円に引き下げられました。

(7)適用開始
平成20年度1月1日以降に支出した寄附金が適用対象になります。

(8)申告までの手続き・ながれ
 ア)寄附先に選んだ団体に対して、寄附をします。
 イ)寄附先から領収書などを受け取ります。
 ウ)確定申告を行ないます(イで受け取った領収書の添付が必要です)。
 エ)寄附を行なった翌年度の住民税から税額控除されます。

2.『ふるさと納税』の創設

地方税の寄附金税制が見直され、都道府県・市区町村に対する寄附金税制が大幅に拡充されました。上記の改正のほかに、新たにふるさと納税制度が創設 されました。この制度は、個人が自治体に寄附を行なった場合、5000円を超える部分について、お住まいの自治体に納める住民税などから個人住民税の1割 を上限に全額税額控除されます。

(1)控除対象者
 控除の対象となる方は、個人住民税の納税義務のある方です。

(2)控除対象となる地方公共団体
 すべての都道府県・市区町村(自由に寄附先を選択できることになりました。必ずしも住所のある自治体ではありません。)

(3)控除方式
 控除方式は税額控除方式です。

(4)控除率
 地方公共団体に対する寄附金のうち適用下限額を超える部分について、一定の限度まで所得税とあわせて全額が控除されます。
 aとbの合計額を税額から差し引きます。
 a.(地方公共団体に対する寄附金−5000円)×10%
 b.(地方公共団体に対する寄附金−5000円)×〔90%−(0〜40%)〕
 (所得税の限界税率)
 限界税率とは・・・寄附者に適用される所得税の税率のことです。

bの金額については、個人住民税額(所得割)の10%を限度とします。そのため、複数の自治体に『ふるさと納税』をする場合には、寄附額を合算して税額控除の適用額を計算しますので、適用上限の確認をする必要があります。

(5)控除対象限度額
 総所得金額等に対し、30%が限度になります。
この限度額は、地方公共団体に対する寄附金以外の寄附金との合計額になります。

(6)適用下限額
 適用限度額は5000円です。すなわち、5000円を超える寄附をした場合に控除の対象になります。

(7)適用開始
 平成20年度1月1日以降に支出した寄附金が適用対象になります。

(8)申告までの手続き・ながれ
 ア)『ふるさと納税』をしたい自治体から寄附申込書を取り寄せます。
 イ)申込書を提出→自治体から『寄附納付書』が寄附者に送られ、指定された方法で寄附金を払い込みます。
 ウ)その後、翌年の確定申告期までに自治体から寄附証明書が届きます。
 エ)この寄附証明書を使って、確定申告を行ないます。
 オ)寄附を行なった翌年度の住民税から税額控除されます。

(9)『ふるさと納税』のイメージ
 《寄附金の負担を税で軽減する流れ》
 年収 750万円の方の場合
 (前提として、配偶者、子供が2人。住民税所得割額は32万円とします)
 この方が、年間40000円を地方自治体へ寄附した場合にはどうなるでしょうか。所得の税率は10%とします。

上記の前提で寄附をした場合の所得税と住民税の金額は次のように軽減されます。
 ・所得税の軽減
 寄附金控除制度を使い、税率10%にあたる35000円が還付されます。
 (40000−5000=35000が所得控除)
 ・住民税の軽減
 住民税の税額控除により、住民税が31500円減少します。
 a. (40000−5000)×10%=3500
 b. (40000−5000)×(90%−10%)=28000 < 32万円×10%=32000
 →a+b=31500

 所得税の軽減 ・・・ 3500円
 住民税の軽減・・・ 31500円
 合計・・・35000円

このように、寄附をした40000円のうち、自己負担は5000円となり、35000円が軽減されることになります。

「ふるさと納税制度」は、各自治体が寄附金を集めるために、寄附者にプレゼントを用意するなど、非常に注目を集めている制度です。
手続きが煩雑ではありますが、インターネットなどで資料を集めることが可能です。興味のある方は各地の自治体のHPなどで、調べてみてください。

掲載日:2008年9月30日
  • googleplus
  • hatena
  • pocket
  • line
  • evernote
Copyright © WizBiz Inc.
このコンテンツの著作権は、WizBiz株式会社に帰属します。著作権の承諾なしに、無断で転用することはできません。
このページの先頭へ
起業するコンテンツ一覧
  • 事業計画作りや実際の起業準備そして開業まで。起業を目指す人の『こんな時どうする?』に応えます。

  • 法律知識や経営診断など、起業準備段階はもちろん、実際に起業・開業してからも使える豊富な情報を掲載。

  • 『国の補助金を活用して創業するには?』についてご説明します。

  • 中小企業や個人投資家にとってのメリットを、その仕組みや優遇措置について詳しくご紹介します。

  • 起業・開業を考えている職種の消費者利用動向がすぐにわかる、職種別データ一覧。

  • 200以上の業種・職種から選べる開業準備手引き書。

  • 最新のビジネストレンドや中小企業が直面する経営課題など、読み物コンテンツをまとめています。

  • 若手起業家にインタビュ—。「社会人起業」と「学生起業」それぞれの選択を対比しながら起業のカタチを探ります。