経営ノウハウ

中小企業が直面する経営課題について、各分野の専門家が実践的にお応えします。

安全衛生の管理体制について
当社は部品の金型を作る会社ですが、機械の操作中に従業員が大ケガをしてしまい、労働基準監督署の指導が入りました。その際、「従業員がもうすぐ50人になるので、安全衛生の管理体制を整備するように」との忠告を受けました。従業員は現在45人ですが、50人になった場合に産業医なども選ばなくてはならないとのことです。当社のような企業にそのような余裕などないのですが、最低限これだけは整えておくべきといったアドバイスがあれば教えてください。
(埼玉県 T社社長)
50人体制を想定し、社員への安全衛生教育や規程づくり、管理者や産業医の選任を視野に入れた準備を進めていきましょう。
男女

解説者

社会保険労務士 富岡 英紀(とみおか・ひでき)
経営・労務に関するコンサルティングのほか、ベンチャー企業への助成金コンサルティングや就業規則によるリスクヘッジなど付加価値の高いサービスにとくに力を入れている。
社会保険労務士 加藤 美香(かとう みか)
労働基準監督署労働条件相談員、労働時間短縮アドバイザー、就業規則普及指導員等公的業務の経験を生かし、企業への人事労務コンサルティングに力を入れている。

目次

解説

従業員が作業中にケガをしてしまった場合、労災からの補償とは別に、安全配慮義務違反による民事上の損害賠償責任を問われるケースが増えています。

労災事故を防ぐには職場の安全衛生を管理する体制の整備がとても重要となりますが、社内制度においては「管理者の選任」、「安全衛生委員会の設置」、「社員への安全衛生教育」、「安全衛生管理規程の整備」などが具体的な対策としてあげられます。

このうち管理者の選任については、業種や規模に応じて必要な種類や人数が定められています。従業員50人以上の製造業の場合、「安全管理者」、「衛 生管理者」、「産業医」を選任し労働基準監督署に報告しなければなりません。いずれも職場を巡視して安全衛生の確保に務めるのが任務で、学歴・実務経験・ 資格の保有など一定の要件を満たす人の中から選任する必要があります。

なお安全管理者と衛生管理者については、職場に常駐していなくてはならず、原則として従業員の中から選ぶ必要があります。50人体制となったときに 慌てなくてすむよう社内で候補者をリストアップしたり必要な講習などを受けさせたりして、今からできることを準備しておきましょう(※衛生管理者について は、派遣を利用することも可能です)。

産業医に関しては、生活習慣病の予防やメンタルヘルスケアといった問題への配慮からも具体的に考えておきましょう。地域産業保健センターという機関 では、50人未満の職場に対して無料の健康相談・保健指導サービス、産業医の情報提供などを行っています。こうした機関も有効に利用し、50人体制に向け た安全衛生管理の準備を進めていくのがよろしいでしょう。

【参考資料】安全衛生の管理体制について(PDFファイル:13KB)

掲載日:2008年8月26日