経営ノウハウ

中小企業が直面する経営課題について、各分野の専門家が実践的にお応えします。

一律の残業手当は違法?
当社では、残業手当を抑えるために業務手当として一律4万円を支払っています。ところが先日、ある社員から「それぞれ基本給も残業時間も違うのに、手当が全員一律なのはおかしいのでは?」と言われました。そう言われると確かにそうかもしれませんが、やはり問題があるのでしょうか。教えてください。
(神奈川県 M社社長)
実際に算定した割増賃金が業務手当(4万円)を超えるかどうかで違ってきますが、超えている場合に超過分が支払われていなければ違法となります。
男女

解説者

社会保険労務士 富岡 英紀(とみおか・ひでき)
経営・労務に関するコンサルティングのほか、ベンチャー企業への助成金コンサルティングや就業規則によるリスクヘッジなど付加価値の高いサービスにとくに力を入れている。
社会保険労務士 加藤 美香(かとう みか)
労働基準監督署労働条件相談員、労働時間短縮アドバイザー、就業規則普及指導員等公的業務の経験を生かし、企業への人事労務コンサルティングに力を入れている。

目次

解説

御社のように、割増賃金に相当する手当を一律に同額支給している会社は少なくありません。労働基準法では、割増賃金は賃金の2割5分以上としていま すが、この算式で計算した割増賃金が4万円以内である場合には違法ではありません。しかし、4万円を超えている場合には違法となりますのでご注意くださ い。この場合、超過した分の割増賃金を支払わなくてはなりません。

さらにもう一点。就業規則や雇用契約書などに「業務手当は割増賃金相当分として支払う」といった記載がされていないと、業務手当が割増賃金に相当する手当だとはみなされず、この業務手当(4万円)も割増賃金を計算する際の対象となりますのでご注意ください。

一律4万円の業務手当ですが、たとえ法律をクリアしていたとしても、残業が多い人と少ない人が同額の手当をもらっているという点で不公平感が生まれるといった心配もあります。これを放置しておくと社員のモチベーション低下にもつながりかねません。

今回のご相談をキッカケに、全社員の残業実態調査をしてみてはいかがでしょう。その上でどのような支払い方が自社に適しているかをシミュレーションしてみることを提案します。

業務の繁閑がハッキリしている場合には、労働時間制の見直し(フレックスタイム制や変形労働時間制)も残業時間の削減には効果的です。いくつかのパ ターンを検証してみることで自社にあった方法を見つけ出し、社員のやる気度アップや業務の生産性の向上へとつなげていってください。

掲載日:2008年5月13日
Copyright © WizBiz Inc.
このコンテンツの著作権は、WizBiz株式会社に帰属します。著作権の承諾なしに、無断で転用することはできません。