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起業ノウハウ
税務調査に備える!
当社は設立して2年になります。今まで税務調査を受けたことはありませんが、設立して3年か5年経過すると税務調査があると聞いたことがあります。税務調査とはどんなものなのか、また、注意点などがありましたら教えてください。
日本は申告納税制度をとっており、個人事業主や法人は、所得税や法人税、消費税などを自主的に申告し、納税することになっています。その申告が所得税法や法人税法、消費税法などにしたがって正しく作成計算されているかどうかを把握するために、税務当局が税務調査を行ないます。調査を行なうさいには、顧問税理士などに事前に連絡して日程を調整する場合と、予告なしで突然に税務署員が訪問する場合があります。
 いずれの場合も、正しい経理・申告をしていれば、必要以上に恐れることはありません。
女性

解説者

渡辺会計事務所所長 渡辺ゆかり(わたなべ ゆかり)
おもな著書に、「会社の数字早わかり」「連結決算を90分でおさらいする本」(いずれも共著、三笠書房・知的生きかた文庫シリーズ)がある。
URL:http://homepage2.nifty.com/ywatanabe/

目次

解説

1.税務調査の種類

税務調査の種類は強制調査権の有無により、「強制調査」と「任意調査」に分けられます。

○強制調査

一般に「マルサ」といわれる調査で、国税査察官が担当し、国税犯則取締法に基づき臨検、捜索、差押えをする調査と、国税徴収官が担当する、国税徴収法に基づく滞納処分のための調査があります。

○任意調査

各税法に規定する質問検査権に基づいて行なわれる行政調査ですが、質問に対する不答弁ならびに検査の拒否・妨害などについては罰則が規定されており、いわゆる間接的強制権といわれている調査です。多くの会社が受ける通常の調査は、この任意調査です。

以下では任意調査についてご説明していきます。

2.税務調査の傾向

(1)税務調査が行なわれる時期

事業を開始して毎年利益を計上していると、一般的には3年後、もしくは5年後くらいに行なわれることが多いようです。車検のように法律で定められているわけではないため、その会社によって異なりますが、3〜5年に一度が目安です。

(2)税務調査の日数

一般的には2〜3日行なわれます。これもケースバイケースですが、帳簿がしっかり作成されていて、明らかに不正や誤りがないと税務署の担当官が判断した場合には、1日で終了することもあります。

(3)赤字会社に行なわれる調査

税務調査は黒字会社に対して行なわれることが多いようですが、最近は赤字会社にも調査を行なうことがあります。赤字会社に対しては、消費税、源泉所得税、印紙税などが重点的に調査されます。

(4)サイバー税務署

パソコンなどによる会計処理が普及し、それにともないパソコンを専門的に調査する事例が増えています。

(5)消費税の還付

最近消費税の不正還付が多くあるため、消費税の還付申告の場合には調査に来ることが多くなっています。

3.税務調査で重点的にチェックされる項目

(1)売上勘定の調査

売上がすべて計上されているかどうか、さまざまな方面から調べます。 法人の場合には、社長個人の預金通帳などの提示を求められることもあります。また、決算期末で本来計上すべき売上が翌期に計上されていないか等もチェックされます。

(2)仕入と在庫

当期に仕入れたものが適正に計上されているか、また在庫は正しいかを確認します。とくに決算期末3カ月間の仕入高から売上に計上された分、在庫に計上された分が正しく処理されているかどうか、重点的に確認します。

(3)交際費(法人の場合のみ)

交際費は会社の規模によって損金に算入できる範囲が決められています。本来交際費として処理すべき項目が他の科目に含まれていないかどうかを確認します。

(4)役員報酬(法人の場合のみ)

役員報酬の額が職務内容や類似法人の役員報酬と比べて適正か、また事業年度の途中で金額を変更していないか等を確認します。

(5)修繕費、消耗品費

減価償却資産として、資産計上すべきものを修繕費や消耗品費に含めていないか、納品書や請求書からも調べます。

(6)源泉所得税

源泉徴収すべき給与・報酬の支払いについて、適正に処理されているかどうかを確認します。また、源泉所得税の納付を期限までに納めているか確認します。

(7)同族会社間の取引

同族会社間の取引がある場合に、その取引が他社と比べて不公平な取引ではないか、契約書などは整備されているか等を細かく調べます。

(8)消費税関係

消費税の日々の経理方法は適正か、簡易課税を選択している場合にみなし仕入率が実質的に正しいかどうか等を確認します。

(9)印紙税の確認

契約書では印紙が必要な文書かどうか、印紙の貼り忘れはないか、その金額は正しいか等を確認します。

(10)外注費

人件費を外注費として処理していないかどうか、消費税の課税区分が適正かどうか確認します。

(11)取引の流れを確認

商品を仕入れて代金を支払い、その商品を売り上げて入金されるまでの流れをいくつかの取引をピックアップして照らし合わせます。このときにすべての取引が適正に処理されていると調査は早く進みます。

4.会計処理のポイント

税務調査のさいに慌てることのないように、日頃から正しい会計処理をしておくことが重要です。

(1)毎日の記帳

領収証などをもとにして毎日正しく記帳し、現金出納帳は実際の現金残高と毎日しっかり合わせます。

(2)資料や書類の保存

会計帳簿や領収証、請求書、納品書、契約書など、取引の一連の流れが分かるものを保存しておくことが必要です。請求書や領収書がきれいに整理されている場合には、印象がよくなります。税法上の保存期間は7年間です。決算に関する書類は商法上10年間保存してください。

(3)総会や取締役会の議事録の作成

役員報酬などについて、その職務内容に対し適正であるか、また、総会や取締役会を適法に開催し決議したことについて議事録を作成します。議事録の保存期間は商法上10年です。

5.申告に誤りが見つかった場合

適正に処理しているつもりでも、税務署の見解と相違する場合があります。やむなく修正申告をして不足の税金を払うことになります。さらに、次のような附帯税を課せられることもあります。

(1)附帯税とは

納税者が法律に定められた申告期限までに申告書を提出しなかったり、法律に定められた納期限までに納税していないと、本来納めるべき税金の他に附帯税が課せられます。

(2)加算税とは

申告が不備なときに課せられるもので、次の4つがあります。

a)過少申告加算税 ・・・・ 増加した税額×10%
b)無申告加算税 ・・・・ 納付税額×15%
c)不納付加算税 ・・・・ 納付税額×10%
d)重加算税 ・・・・ 納税者が事実の仮装・隠ぺいをしたことに基づく過少申告、無申告あるいは不納付の場合、a)b)c)に代えて、重加算税が課せられます。

仮装・隠ぺいによる過少申告の場合 ・・・・ 基礎税額×35%
期限後の申告または無申告で、事実の仮装・隠ぺいがあった場合 ・・・・ 基礎税額×40%
源泉徴収義務者等の仮装・隠ぺいによる不納付の場合 ・・・・ 基礎税額×35%

(3)延滞税とは

本来納めるべき税金を法定の納期限までに完納していないときに、原則的には納期限の翌日から完納された日までの日数に応じて課せられます。

未納税額×年14.6%×法定期限の翌日から完納までの日数÷365
 (*)納期限後2カ月以内は年7.3%です。

(4)利子税とは

法人税で申告書の提出期限の延長が認められた場合や、届出により所得税や相続税等の延納が認められた場合、また災害等によって申告書の提出期限を延長する場合に、延納日数に応じて課せられます。

延納税額×利子税の年率×延納日数÷365

(注)相続税、贈与税以外の利子税、延滞税(年7.3%の部分に限る)の割合に、各年の前年11月末日の公定歩合に年4%を加算した割合が7.3%に満たない場合、その公定歩合に年4%を加算した割合とされます。

また、地方税には本税以外に附帯金と呼ばれる附帯税類似の徴収金(延滞金、過少申告加算金、不申告加算金、重加算金、延滞処分費)があります。

掲載日:2008年4月15日
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