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業界レポート
数字が語るこの市場の深層【ミネラルウォーター市場】

2006年3月16-23日、メキシコシティで開催された「第4回 世界水フォーラム」において、橋本龍太郎(元)首相が「アジア・太平洋水フォーラム」の設立を宣言した。首相のこの宣言を機に、日本でも水の安全性に対する関心が高まり、ミネラルウォーター類(容器入り飲料水)の需要が一気に高まった。また、2011年の東日本大震災の影響で、安全な飲料水の確保の重要性がさらに強く意識されるようになり、ミネラルウォーター市場は今、急拡大の途上にある。

目次

ミネラルウォーター類の定義

農林水産省の「ミネラルウォーター類の品質表示ガイドライン(1990年3月30日)」によると、ミネラルウォーター類は下記のように定義され、4種類に分類される。

  • ナチュラルウォーター
    特定の水源から採水された地下水を原水とし、沈殿、濾過、加熱殺菌以外の物理的・化学的処理を行わないもの
  • ナチュラルミネラルウォーター
    ナチュラルウォーターのうち鉱化された地下水(地表から浸透し、地下を移動中又は地下に滞留中に地層中の無機塩類が溶解した地下水(天然の二酸化炭素が溶解し、発泡性を有する地下水を含む)をいう)を原水としたもの
  • ミネラルウォーター
    ナチュラルミネラルウォーターを原水とし、品質を安定させる目的等のためにミネラルの調整、ばっ気、複数の水源から採水したナチュラルミネラルウォーターの混合等が行われているもの
  • ボトルドウォーター
    ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター及びミネラルウォーター以外のもの(蒸留水、水道水などの飲用水)

主力は、ナチュラルミネラルウォーター

上記の分類のうち、国内で生産され市場に広く流通しているのは、ナチュラルミネラルウォーターである(グラフ1)。ナチュラルミネラルウォーターだけで国内生産量の約87%のシェアを占め、ボトルドウォーターを加えると、この2種類で市場のほとんど(98%)を占めている。

グラフ1:ミネラルウォーター類の国内生産量と構成比(2012年)

国内生産の近年の動きに関しては、ナチュラルミネラルウォーターが東日本大震災の影響を受け、2011年以降大きく伸びている(グラフ2)。一方、ボトルドウォーターは堅調に推移している。

グラフ2:ミネラルウォーター類の国内生産量推移(単位:KL)

東日本大震災の起きた2011年、輸入量も飲料水の特需で一時的に増えたものの、2012年には一転して大きく減少している(グラフ3)。国内生産でミネラルウォーター類の国内需要が充分にカバーされるようになってきたため、輸入は減少する傾向にあると推察される。

グラフ3:ミネラルウォーター類の国内生産量・輸入量推移(単位:KL)

生産、消費ともに地域差が大きい

国内生産量を都道府県別に見ると、山梨県がトップで国内シェアの約34%を占める。山梨県のほかは、静岡県、鳥取県、鹿児島県、兵庫県、北海道、富山県などが主な産地として続いており、上記7県(道)だけで国内生産量シェアの84%を占めている(表4)。

表4:ミネラルウォーター類の都道府県別生産量とシェア

一方、消費面を見ると、家計1世帯あたりのミネラルウォーターへの年間支出金額は、関東と沖縄で突出して高く、ほかでは、九州や東北などで高い(グラフ5)。支出金額の最も高い地域(関東)と最も低い地域(北海道)との間の支出金額の乖離は2.7倍である。ミネラルウォーターは産地もさることながら、し好度合いにおいても、地域差の大きな商品であると言える。

グラフ5:家計1世帯あたり年間支出金額(2人以上世帯平均)

市場拡大の背景にある水に対する意識の変化

従来、ミネラルウォーターは温暖な地域でよく飲まれる飲料だった。実際、家計1世帯あたりのミネラルウォーターへの年間支出金額の季節変動は、気温の影響を強く受け、例年8月がピーク、冬がボトムとなっている。日本列島の比較的北に位置する東北や関東地域でもミネラルウォーターへの年間支出金額がグラフ5のように高くなってきたのは2011年以降のことである。東日本大震災を境に、東北、関東在住者の飲料水に対する意識が大きく変わったことが、この背景にはあると考えられる。

21世紀は「水の世紀」と言われている。限りある資源である水の価値が再認識され「安全で良質な飲料水には、その価値に見合ったお金をかけて当然」という考え方が一般的になりつつある。ミネラルウォーター市場は今後、大きく拡大する可能性を秘めていると言えるだろう。


掲載日:2013年11月28日

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