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業界レポート
数字が語るこの市場の深層【補習教育】

ここでいう「補習教育」とは、幼児や小学校・中学校・高等学校へ通う子を対象とした、主要科目の授業外の学習に係るサービスを指す。具体的には、学習塾、予備校、通信添削、家庭教師などが対象となる。
少子化が叫ばれて久しいが、教育費とくに補習教育費への消費支出状況には底堅いものがある。また、文部科学省が打ち出した「新学習指導要領」が市場を拡大させる起爆剤にもなっている。新学習指導要領は国民に対してより充実した教育を実施することを目的としたもので、小学校での英語教育の実施など、教育内容の拡張が盛り込まれている。この新学習指導要領の実施も背景にあり、補習教育市場は少子化という逆境の中においても、今、稀有に拡大局面の中にある。

目次

堅調に推移する家計の「補習教育」支出額

総務省統計局「家計調査」によれば、日本の家計1世帯あたりが「補習教育」サービスにかける金額は、2012年実績で年間33,320円(2人以上世帯平均)であった(グラフ1)。このうち「幼児・小学校補習教育」にかけた金額は10,137円、「中学校補習教育」にかけた金額は13,253円、「高校補習教育・予備校」にかけた金額は9,930円だった。同年の2人以上世帯の年間消費支出額が343万円だったので、家計消費全体に占める補習教育費の割合は2人以上世帯平均で0.97%だったということになる。

表1:家計1世帯あたり消費支出額と構成比表1:家計1世帯あたり消費支出額と構成比

家計消費に占める補習教育費全体の割合は例年1%弱で堅調に推移してきているが、近年その割合は増加している。グラフ2は、補習教育支出額が家計消費全体に占める割合を見たものであるが、2008年と2012年の水準を比べると「幼児・小学校補習教育」「中学校補習教育」「高校補習教育・予備校」それぞれで0.03ポイント、全体で0.1ポイント程度、増加している。

グラフ2:家計消費に占める補習教育費の割合は堅調に推移グラフ2:家計消費に占める補習教育費の割合は堅調に推移

新学習指導要領という「黒船」

家計消費に占める補習教育費の割合が増加した背景としては、文部科学省による新学習指導要領の実施が考えられる。新学習指導要領は国民に対してより充実した教育を実施することを目的としたもので、小学校での英語教育の実施など、教育内容の拡張が盛り込まれている。

この新学習指導要領は、幼稚園で2009年4月から、小学校で2011年4月から、中学校で2012年4月から実施された。また、高等学校では2013年度入学生から(数学、理科は2012年度入学生から)実施されている。新要領による教育内容の拡張は、補習内容の拡張につながり、この動きを受け一旦停滞していた補習教育市場は再び拡大に転じたと考えられる(グラフ3)。

グラフ3:学習塾(予備校を含む)の売上高規模は、2010年4月を境に拡大局面に ※季節調整値の算出は、EPA法による。グラフ3:学習塾(予備校を含む)の売上高規模は、2010年4月を境に拡大局面に
※季節調整値の算出は、EPA法による。

経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」によると、学習塾(予備校を含む)の売上高規模(季節調整値)は、2010年4月を境に拡大局面に入り、そして、その傾向は現在も続いている。

2010年3月(拡大局面前)の水準と比較した10年4月-12年12月(拡大局面)の売上高規模の増分の累計は、612億7,400万円に達している(グラフ4)。新学習指導要領という「黒船」は教育現場に大きな変化をもたらしただけでなく、補習教育市場に少なくとも600億円以上の経済効果をもたらしたとも考えられる。

グラフ4:2010年4月以降の売上高規模の増分の累計は612億7,400万円 ※季節調整値の算出は、EPA法による。グラフ4:2010年4月以降の売上高規模の増分の累計は612億7,400万円
※季節調整値の算出は、EPA法による。


掲載日:2013年4月16日

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