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業界レポート
数字が語るこの市場の深層【お菓子市場】

せんべい、まんじゅう、チョコレート...。小腹が減った時、すぐに食べられるお菓子。誰もが気軽に食べているが、その消費動向はどうなっているのか。お菓子市場を検証する。

目次

家計の圧迫を受け減り続けるお菓子消費

コンビニやスーパー、駅の売店など、街中の至るところで買うことができる「お菓子」。子どものおやつとして家庭で購入されるだけではない。OLやサラリーマンがオフィスでお菓子を食べる姿も現在では珍しくなくなった。そんな身近なお菓子の消費状況を、総務省の家計調査で見てみよう。

2010年では、1世帯当たりの菓子類の消費は1カ月で4178円、1年間で6万6412円の支出となっている(表1)。一般的な家庭の年間食費総額が77万2546円だということから計算すると、お菓子に費やしている金額は食費全体の約7.1%を占めている計算になる。

表1:家計調査(一世帯の食費・菓子類の消費・購入額)表1:家計調査(一世帯の食費・菓子類の消費・購入額)

ただし、2000年以降、食費や菓子購入費は、わずかずつ減少が続いている状況だ。大きな要因として、デフレによる物価下落の影響がある。長引く不況の下で、家庭では限られた収入の中からさまざまな支出を捻出しなければない。携帯電話やインターネットの通信費は年々膨らみ、学習塾など子どもの教育費も大きく増加している。そのしわ寄せが食費や菓子購入費にも影響を及ぼしているようだ。

こうした世の中の流れもあり、消費に占める食費の割合、いわゆるエンゲル係数は1960年の41.6%から、2010年は23.2%へと減少。食費と同様にお菓子も2.2%から1.7%へと減少している。

自分では食べないのに増え続ける菓子消費

ところが、これほど食費が圧迫される状況下で、お菓子の消費には別の傾向が見られる。食費に占めるお菓子の購入金額の割合について見るとその傾向がわかる。

家計調査には、食費の中の菓子の割合を示した2つの指数がある。「用途分類」と「品目分類」だ。簡単に言い換えると、用途分類とは、家庭で食べるために購入した金額のこと。消費額とも呼ばれる。一方、品目分類とは、食べる・食べないにかかわらず買ったお菓子の額のこと。購入額と言って差し支えない。

用途分類を見ると、各家庭で食べられているお菓子の消費額の推移がわかるが、2000年以降、6%台のほぼ一定の数値を保っている(表1)。

これを見ると、収入の多少にかかわらず、お菓子が生活の中で一定の役割を担っていることが見て取れる。

所得が多い時も、収入が減ってその多くが食費として使われる時も、お菓子を買っている金額に大差がないのだ。つまり、どんな時にもお菓子は必要とされている。それは、生活にささやかなうるおいを与えているといえるだろう。

その一方で品目分類を見ると、2000年の7.7%から徐々に増加し、2010年には8.6%に達している。この結果から、「近年、家庭では、自分では食べないお菓子を購入する金額が増えている」ということがわかる。

では、なぜ食べもしないお菓子を買っているのか。それは贈答品としてお菓子がよく用いられているからだと推察できる。知り合いの家を訪問する際、手土産にお菓子を買って持って行くことは多いだろう。

家計調査は、お菓子が贈答品として買われた場合、品目分類ではお菓子として計上されるが、用途分類では交際費に計上される。このことからも、いかに手土産としてお菓子を持参することが多いかがわかる。指数の変化に表れるほど、お菓子は人気の手土産になっているのだ。

家庭で選ぶ贈答品の人気ナンバーワン

実際、長引く不況にもかかわらず、贈答品としてのお菓子の需要は増え続けている(グラフ2)。すべての贈答品の中でお菓子が占める割合は、1990年には31.4%だったが、2000年には32.7%に増加。さらに2005年には33.1%になり、2010年には35.3%にまで上昇している。

グラフ2:菓子贈答品の推移グラフ2:菓子贈答品の推移

日本文化の中で贈り物は重要な役割を果たしている。親しい間柄でも、互いの家を訪問する時には何がしかの贈り物を持参することが多い。こうした習慣は、収入の増減で変わることはあまりない。訪問先で子どもからお年寄りまで誰にでも好まれやすいため、日常的な贈り物としてお菓子が選ばれやすい。

事実、贈答品の内訳を見ると、約3分の1がお菓子だ(グラフ3)。菓子類が34%と圧倒的な割合を占めているのに対し、2位の魚介類が12%、3位の果物が11%と続く。魚介類の贈り物はサケやカニ、海苔など、御歳暮の定番だが、お菓子の贈答品はそれを大きく上回る需要があるのだ。

グラフ3:贈答品の種類別の割合
グラフ3:贈答品の種類別の割合

年齢層が高まるほどまんじゅう消費は増加

では、贈答品の中では、どのようなお菓子が好まれているのだろうか。それは世帯主の年齢と菓子の種類の購入額を比較したグラフを見れば推測できる(グラフ4)。

グラフ4:世帯主の年齢と菓子の種類別購入額グラフ4:世帯主の年齢と菓子の種類別購入額

一般的にお菓子の消費が一番多いのは、世帯主の年齢が40~49歳の層だ。これは世帯主とその配偶者・子ども・両親など、家族の人数が一番多い時期に当たるからだ。

一例として、チョコレートの年齢別消費額を見てみよう。29歳以下の若年層の年間購入金額が、4000円強なのに比べ、40~49歳の層では6000円弱と約1.5倍になっている。60歳以上の層では、それぞれ3000円前後に減っていることから、グラフが凸型になっているのがわかる。これはチョコレートだけでなく、ケーキやプリン、アイスクリームなどの洋菓子に共通する傾向だ。

一方、まんじゅうの消費額は、29歳以下では500円以下なのに対し、40~49歳では1000円、60歳以上の層ではいずれも2000円以上。年齢を重ねるごとに増加している。ようかんやどら焼きなど、和菓子全般に同じ傾向がある。

現在の日本は、65歳以上のお年寄りの人数が23%を超す超高齢化社会だ。高級な贈答品として好まれる和菓子だが、超高齢化社会の日本では、今後、贈答品としての和菓子の需要はさらに増していくのではないだろうか。


掲載日:2012年6月28日

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