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業界レポート
数字が語るこの市場の深層【洗濯機市場】

家庭に1台は必ずある電気洗濯機。2層式、全自動式とあるが、主流はもちろん全自動電気洗濯機である。多機能化し続ける洗濯機の今を探る。

目次

洗濯乾燥機の割合は電気洗濯機の3割

1950年代後半に、三種の神器の一つとして家庭に1台持っていることがステータスであった電気洗濯機。しかし、現在では家庭に1台は当たり前となるばかりか、高性能なコンピュータ制御の洗濯機が店頭に並び、メーカー各社がその独自の技術を競い合っている。

日本電機工業会・民生用電気機器自主統計によると、2006年の電気洗濯機の国内出荷台数は474万4000台となっている。10年の国内出荷台数は467万6000台であった。この5年間の推移を見ると、多少の増減があるものの、出荷台数に大な変化は見られない(グラフ1)。

グラフ1:電気洗濯機(洗濯乾燥機含む)の国内出荷台数、金額推移グラフ1:電気洗濯機(洗濯乾燥機含む)の国内出荷台数、金額推移

「洗濯機はほとんどの家庭で1台しか持たない。新商品が出たからといってすぐに買い替えようとする家庭はないので、市場規模が急激に変わることはない」と、自動車や家具など耐久消費財の調査を行っているGfkマーケティングサービスジャパンの茶野絢子氏は語る。

グラフ1を見ると、08年、09年と国内出荷台数は若干の減少となっている。

「洗濯機には買い替えサイクルがあり、08年、09年が減少しているのは、前年までの買い換えサイクルが終わったための落ち込み」と茶野氏は語る。

10年は国内出荷台数467万6000台(前年比8.8%増)、出荷金額は2668億600万円(前年比4.6%増)であった。10年が増加しているのは、地デジ対応テレビを購入するために家電量販店に多くの消費者が訪れ、"ついで"に洗濯機を買い替える人が増えたからだという。

洗濯だけでなく、乾燥もできる洗濯乾燥機の国内出荷台数と出荷金額の推移を見ると、電気洗濯機市場全体と同じ動きで、急激な変化はない(グラフ2)。

グラフ2:洗濯乾燥機の国内出荷台数、金額推移グラフ2:洗濯乾燥機の国内出荷台数、金額推移

電気洗濯機の全出荷台数に占める洗濯乾燥機の割合は約3割だが、出荷金額に占める割合は約6割と高い比率となっている。これは、洗濯乾燥機を購入する人の割合は少ないが、販売価格は乾燥機が付いていない洗濯機よりも高いことを表している。

ここ数年の傾向として、洗濯乾燥機は単価が安くなってきていることもあり、「これから徐々に洗濯乾燥機を購入する人が増えていくだろう」(茶野氏)。

縦型洗濯乾燥機の販売台数が増加

洗濯乾燥機のうち、タイプ別販売動向はどうなっているだろうか。

タイプ別販売台数構成比推移を見てみると、縦型洗濯乾燥機とドラム式洗濯乾燥機の出荷台数比率は、年によって若干の増減があるが、ほぼ同じである(表3)。

表3:全自動洗濯機におけるタイプ別販売台数構成比表3:全自動洗濯機におけるタイプ別販売台数構成比

縦型タイプとは、従来型で洗濯層が縦に置かれていて衣類などを上から入れるものを言い、ドラム式は、洗濯層が横、もしくは斜めに置かれているものを言う。ドラム式は縦型式よりも使用する水の量が少ないのと、洗濯物を上下に落とし、叩くように洗うのが大きな特徴だ。

ここ2年ぐらいは縦型洗濯乾燥機の販売台数が増加傾向にある。「縦型洗濯乾燥機の販売が増加しているのは、ドラム式と同様に多機能な商品が販売されてきていて、かつ価格が安くなってきているので、割安感があるからだ」と同社コンシューマーテクノロジー事業部の山田早穂氏は語る。

乾燥機付の洗濯機には、完全に乾燥させる機種と、遠心力により水分を飛ばして乾燥に近い状態までもっていく、簡易乾燥機能付きの機種がある。価格の高い洗濯乾燥機は、完全に乾燥させる乾燥機能がついた洗濯機になっており、価格が安いものほど簡易乾燥機能付きとなる。

10年10月~11年9月までの1年間のタイプ別販売台数データを見ると、全自動洗濯機の全体に占める、完全乾燥の機種3割、簡易乾燥機能付きの割合は4割となっている。価格が安い分、簡易乾燥機能付きの洗濯機の販売比率は高い。ただし、最近の放射線問題などもあり、部屋干しをする人もいて、完全乾燥の機種が売れ筋になってきているようだ。

容量の大きいものが選ばれる

最後に、洗濯容量別の販売台数動向を見てみると、7~7.9kgの容量が多く売れており、次いで9kg以上、その次に8~8.9kgと、大容量のものが多く売れている。大きな容量のものが多く売れているのは、家族用としての需要が多いからだ(グラフ4)。

グラフ4:洗濯容量クラス別販売台数構成比(PB除く)グラフ4:洗濯容量クラス別販売台数構成比(PB除く)

次いで、10年の販売数量データをみると、少量タイプの容量4.9kgの販売量が減り、6~7kgの中量タイプの販売量がここ数年増加している。これは、単身者がより大きな容量の洗濯機を買い求めているためだという。

「容量がより多い洗濯機へ需要が移っているのは、まとめ洗いで洗濯時間を節約する人が増えているからだ」と山田氏は語る。

また、「今、洗濯機を含めた白物家電のキーワードは"時短" "省エネ" "清潔"である」と山田氏は付け加える。

日々忙しく活動している日本人は、時間をできるだけ節約し、無駄をできるだけなくそうと生活している。また、省エネは生活意識にかなり浸透している。さらに、空気清浄器の人気に見られるように、清潔志向がより一層強まっている。

洗濯機メーカーも、これらのニーズに応えるため、独自の技術で開発した新商品を続々と販売している。洗濯時間を洗濯物の量に合わせて教えてくれるものや、水の硬度や温度に合わせて洗濯の方法を変えるもの。さらに、カビが付きやすい洗濯槽を自動で洗浄するものまで...。

日本人の細かいニーズに応え、進化し続ける洗濯機。最先端技術を搭載した電気洗濯機の進化はとどまるところを知らない。


掲載日:2012年5月 8日

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