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業界レポート
数字が語るこの市場の深層【住宅リフォーム市場】

"新築から改築へ"時代の流れとともに、住宅リフォームへのニーズは高まっている。特に耐震・省エネ・高齢化などの社会問題に対応する動きがあり、市場規模の拡大が予想される。

目次

集合住宅で堅調な推移

住宅の長寿命化を国が政策として推奨する中で、注目を集めるのが住宅リフォーム市場だ。国土交通省の建築着工統計によると、2009年度の新築着工数が45年ぶりに80万戸割れを記録した。大手ハウスメーカーも、近年成長戦略としてリフォーム市場に焦点を当て、受注拡大を図るべく新築からリフォームへの大幅な人員シフト、組織再編を行っている。

東日本大震災前の資料になるが、富士経済が調査した報告書「2010年版 住宅リフォーム市場の現状と将来展望(上巻)」によると(グラフ1)、09年度は前年度比4.4%減の7兆2200億円だった(住宅リフォームを模様替えや機器の交換・保守、点検・診断なども含め広義に捉えての数字)。リーマン・ショックの影響を受け、消費低迷の影響が続いたもので、特に中・大型案件が減少していた。

グラフ1:住宅リフォーム市場の推移(戸建住宅・集合住宅)グラフ1:住宅リフォーム市場の推移(戸建住宅・集合住宅)

10年度はその反動が市場に好影響を与え、7兆5100億円(見込み)となった。工事費1000万円以上の大型案件が増加し、手控え層を中心に需要が顕在化、リフォーム市場は前年の落ち込みから回復している。

中でも集合住宅リフォームの伸びに関しては、分譲マンションの専有部のリフォームが増加中だ。景況悪化の影響を受けた09年でも、中古マンションのスケルトンリフォーム(骨組みの状態まで解体し、天井・壁・床の下地処理から、給排水・ガスなど配管に至るまで新設する)、リノベーション(用途や機能性向上、価値向上のための大幅な改修工事)が増加した。

首都圏マンションだけでも築20~30年経った物件は少なくない。大規模修繕などを必要とする物件が増えることをふまえ、今後も堅調な推移が見込める。

住宅リフォームのコンセプトで最も市場規模が大きいのが、「耐震リフォーム」で、09年度は3800億円だった(表2)。これは物件数より1件あたりの単価が高いことによる。また、東日本大震災の衝撃は大きく、将来に対する不安感の増大に伴い、今後さらに大きな伸びが予想される。

表2:住宅リフォーム市場の推移(耐震リフォーム・創エネリフォーム・リノベーション)表2:住宅リフォーム市場の推移(耐震リフォーム・創エネリフォーム・リノベーション)

13年度に最も伸びると予測されているのが「創エネリフォーム」だ。節約するだけではなく、積極的にエネルギーをつくりだしていく考えのもと、各方面で注目度は高まっている。太陽光発電システムの設置や家庭用燃料電池導入の需要増が期待される。

さらに、若年層を中心に中古マンションへのニーズが高まっているため、「リノベーション」も拡大傾向にある。

太陽光など設備関連に勢い

次に住宅リフォームの部材市場を見ると(グラフ3)、09年度の市場は前年度比2.6%減の1兆5245億円だった。ただし、設備関連は好調で、09年度の6873億円が、13年度には9044億円(131.6%増)と大きな伸びが予測されている。

グラフ3:住宅リフォーム部材市場グラフ3:住宅リフォーム部材市場

設備関連には給湯器やビルトインコンロ、空調機器、太陽光発電システム、浴室暖房乾燥機などが含まれる。特に、不況下においても経年劣化に伴うガス給湯器の交換などで安定した需要を確保している。また、補助金制度による太陽光発電システムなどエコ関連が拡大している。

ほかには水回り分野(キッチン、浴室ユニット、トイレ、洗面化粧台など)が、使用頻度が高いことからリフォーム需要は高い。施主が最も費用をかける分野であり、着実な伸びを見せている。

内装関連分野(壁クロス、フローリング材、室内ドアなど)は、フローリング材などは特に大掛かりな工事が伴うことから需要が減退気味で、将来も微増に止(とど)まりそうだ。

エクステリア分野(門扉やフェンスなど)は新築時に設置する需要が多いため、新築住宅着工戸数の増減に連動する。経年劣化に伴う交換需要も本格化はしておらず、市場は微減が予想されている。

省エネ化を求める国民

次に、国民の目線からリフォームニーズを見てみよう。国土交通省が10年にインターネットモニターに対して実施した「住生活に関する国民アンケート~未来の『住まい』」を考える」(2010年1月~2月実施)の中には、「住まいのどの機能をリフォームしたいか」の質問がある。その中で、世代を問わず多数の支持を受けたのが「省エネルギー化」だった(表4)。

表4:住まいのどの機能をリフォームしたいか表4:住まいのどの機能をリフォームしたいか

住宅の省エネ化に対する意識が全体的に高いことが見て取れる。リフォームの際には、多くの人が環境に優しいエコな住宅への改修を優先的に考えていたことがわかった。

次いで、台所・キッチン・浴室・トイレなどの水回りでは、「質の高い設備・機器の導入」、そして「段差解消・手すり設置」など「バリアフリー化」を求める声が多かった。

政府もリフォーム市場を後押しする施策を実施。10年6月に閣議決定された新成長戦略において、20年までに住宅リフォーム市場の規模を倍増させる方針が掲げられた。同省ではその協力を仰ぐため、地方公共団体におけるリフォーム支援の状況を調査し、11年3月に結果を公表している。

それによると、リフォーム支援制度を有している地方公共団体は47都道府県中39、1750市町村中1328に上る。補助を筆頭に、利子補給、ポイント発行など、様々な形でリフォーム支援を行っている。

東日本大震災の影響により、個人・企業・自治体などで防震対策・節電(省エネ)の意識が高まり、耐震改修やエコ対策が進むことは間違いない。

今後は、快適性中心の表面的リフォームではなく、安全性や効率性、高齢化といった観点から住宅性能をいかに向上させるか、一貫したサービスが鍵になる。そこに自治体の支援・施策が加われば、住宅リフォーム市場はますます膨らむだろう。


掲載日:2012年1月10日

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