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業界レポート
数字が語るこの市場の深層【太陽光発電市場】

化石燃料に代わるエネルギー源として注目されているのが太陽光発電だ。装置の価格の下落や設置に対する補助金などが追い風となり、市場は拡大傾向にある。

目次

1キロワットあたり7万円の補助金を支給

太陽光を「太陽電池」と呼ばれる装置を使い、電気に変換する。環境への意識の高まりとともにおなじみとなったこの太陽光発電。市場規模は年々拡大している。

太陽光発電協会(東京都港区)が集計した「太陽電池の総出荷量推移」によると、1981年度の総出荷量(海外向けも含む)は1024キロワット(グラフ1)だった。それが2008年度には112万521キロワットと、27年間で100倍近く伸びている。09年度には166万8531キロワットになり、その伸びは近年になっても変わらない。

太陽電池の総出荷量推移太陽電池の総出荷量推移

この伸びを牽引しているのが、住宅用の太陽光発電システムだ。09年度の国内向けの太陽電池出荷量は62万3127キロワット。そのうち、54万3708キロワットが住宅用だ(グラフ2)。つまり住宅用が87.3パーセントも占めている。

太陽電池の国内出荷用途別内訳太陽電池の国内出荷用途別内訳

住宅用が多い理由について同協会の亀田正明技術部長兼広報部長は「補助金と余剰電力の買取制度が要因」と語る。

住宅に太陽光発電システムを設置する場合、申請すれば国から補助金が交付される。11年度の場合、補助金の対象となるのは、太陽電池システムの公称最大出力が10キロワット未満で、太陽光発電システムの価格が1キロワットあたり60万円以下のもの。1キロワットあたり4万8千円の補助金を受け取ることができる。(※)

また、国だけではなく県などでも補助金を設けているところは多く、設置を考えている人の後押しとなっている。

※「平成23年度 住宅用太陽光発電導入支援対策費補助金」については、想定を大幅に上回るペースの申込みがあり、11月上旬には当初予算財源が終了となる見通し。
 詳細は太陽光発電協会WEBサイトをご覧ください。

置意欲を促す余剰電力買取制度

この補助金制度が太陽光発電システム設置の初期投資額の低減に役立つとすれば、余剰電力買取制度は維持費の低減に役立つと言えるだろう。

一昔前まで太陽光発電システムというと、初期投資額が大きく、投資を回収するまでの期間が長かった。しかし、こうした補助金制度や余剰電力買取制度などによって、現在では「早いものでは10年くらいで回収できる」(亀田氏)という。

投資コストを回収し終えた後は、発電した分だけ家計を助けてくれる。そのため、住宅に太陽光発電システムを設置する動きが活発になっているのだ。

加えて太陽光発電システム自体の研究開発も進み、価格は下がってきた(グラフ3)。

太陽光発電の国内導入量とシステム価格の推移太陽光発電の国内導入量とシステム価格の推移

資源エネルギー庁が発表した「太陽光発電の国内導入量とシステム価格の推移」によると、1キロワット当たりのシステム価格は、93年度は370万円だった。だが08年度は71万円となった。15年間で、5分の1以下の値段となったのだ。太陽光発電システムは、以前に比べると買いやすくなった商品と言えるだろう。

住宅向けの太陽光発電システムの普及には、補助金などの制度だけではなく、「価格を下げようという、メーカー側の努力も一役買っている」と亀田氏は指摘する。

トラブル防止には消費者が注意することも大事

住宅用太陽光発電システムの設置場所としては、これまで既築住宅が中心だった。今後もそれは変わらないだろうと太陽光発電協会は予測している(グラフ4)。それは、新築住宅の着工戸数が頭打ちとなり、拡大が望めないことが関係している。

住宅用太陽光発電の市場想定住宅用太陽光発電の市場想定

太陽光発電システムの場合、新たに土地を購入しなくとも、既築住宅の屋根の上に設置することが可能だ。既築住宅への取り付けのしやすさも、設置場所として既築住宅が大半を占めている理由と関係している。

市場が拡大するにつれて、太陽光発電システムの設置を手がける業者数も増加している。業者が増えれば自然と競争が生まれ、その結果、サービスの向上が図られる可能性がある。

しかし、中にはきちんとした施工ができなかったり、法外な報酬を要求したりする業者もおり、トラブルにつながるケースも少なくない。

そうした事態に陥らないためには、「太陽光発電システムを設置する際には、複数の業者から見積もりをとったり、不明点をきちんと確認したりするなど、消費者が賢く行動することも大事」と亀田氏は話す。

海外での需要増加も見込まれる

住宅用に比べると、産業用の存在は太陽光発電市場全体の中ではまだ小さい。

企業にとって太陽光発電システムの設置は、環境に配慮した経営を行っていることを対外的にアピールする材料となる。メリットがあるにもかかわらず、まだ設置している企業が少ないのは、住宅用のような充実した支援が設けられていないのが要因の一つだ。

今後、太陽光発電市場はどうなるのだろうか。亀田氏は海外での需要について言及する。「太陽光発電システムは燃料がなくても電気をつくることができる。そのため、燃料の運搬が不便な交通の便が悪いところでも設置できる」。

電気が通っていない地域に太陽光発電システムを設置すれば、住民の生活向上につながるのは言うまでもない。現在、日本における太陽電池出荷量のうち、半分以上が海外向けだ。今後は海外向けがさらに増加する可能性もある。

国の支援やメーカーの努力によって身近な存在となった太陽光発電。新たなエネルギー源として、市場はより拡大する可能性を秘めている。


掲載日:2011年11月 1日

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