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業界レポート
高機能性商品の需要増で活況【ボールペン】

一般的に文房具類は企業の経費削減策として目をつけられやすい。ボールペンも例外ではない。2000年の912億2200万円をピークに売上金額を減らしてきた。だが、ここ1〜2年、回復基調にある。

目次

2年連続で販売金額が増加している成長市場

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ボールペンの売れ行きが回復している。
  都内の大手文房具専門店や小売店の筆記具売り場では、メーカー各社が用意した大型の商品展示コーナーに大量のボールペンが並ぶ。インクの種類、太さ、用途、色など多種多様の品ぞろえを見ると、まさに百花繚乱の様相を呈している。その前で、学校帰りの中高生から熟年層のビジネスマンまでが熱心に品定めをし、試し書きを繰り返して気に入った商品が見つかるとレジへと持って行く。

一般的に文房具類は企業の経費削減策として目をつけられやすい。ボールペンも例外ではない。2000年の912億2200万円をピークに売上金額を減らしてきた。だが、ここ1〜2年、回復基調にある。

「経済産業省の調べでは07年の販売金額は前年比1割増の664億9700万円。2年連続で増加しています」と語るのは、文具・事務用品・事務機関連の専門紙『ステイショナー』の神谷隆雄編集長だ。事務用品やシャープペンシルなどの売れ行きが今ひとつパッとしないなか、ボールペンだけは好調という。このボールペン人気の根底には、商品の付加価値を高める各社の企業努力がある。

ボールペンの市場規模推移(輸出含む)

付加価値を明確に示し潜在的なニーズを喚起

これまでの市場の変遷を振り返ると、80年代後半にもボールペンが脚光を浴びた。従来にない書き味のゲルインク(半固形状のインク)が登場したからだ。それまで不可能だった微妙な色合いも出せるようになり、特に女子中高生に支持されてカラフルな商品がヒットを飛ばした。

その後、研究開発が加速したことで、水性インクと油性インクのそれぞれの欠点が補われ、ゲルインクに特有の優位性は今では失われつつある。これらのインクの種類の違いに代わって消費者の関心を引き寄せているのが、新たな素材、コンセプトを持った画期的な商品だ。

パッケージには「消せるボールペン」「油性なのに滑らか」「何万通りもの組み合わせから自分流に改造できる」「軸の外装に天然素材を採用」「ガラスにも書ける」「0.25mmという極細のペン先」といった宣伝文句が躍る。

「不良品率は極限にまで低下しています。つまり『書く』というボールペンの利用目的に関しては、差別化しにくいところまで品質レベルが到達しているのです」と神谷編集長は解説する。

メーカーがボールペンの使い心地について調査しても、消費者から不満の声はほとんど上がらないという。このため、不便とか、わずらわしいといった問題を解決する形での商品提案ではなく、消費者の潜在的ニーズを掘り起こし、その付加価値により強烈な印象を与え、購買意欲を喚起させる手法が求められているのだ。

費用対効果に優れた中価格帯商品が人気

付加価値のあるボールペンの人気は、メーカー側にも利点がある。それは費用対効果に優れていることだ。

品質の優れた日本製ボールペンは海外でも人気が高く、出荷数の半分が輸出される。一方で、日本への輸入品も多く、そのほとんどが、中国など新興国で製造された安価な商品だ。「ただ書ければいい」という購買ニーズに関する限り、日本製品は安い輸入品に太刀打ちできない。

企業の備品は、低価格が魅力の輸入ボールペンが採用されることも少なくない。しかし、書きやすさを求めたり、自分のこだわりを満足させたりするには、付加価値のある日本製ボールペンに目がいく。具体的には、中国や新興国製のボールペンが1本100円以下であるのに対し、日本製では付加価値をつけて200円以上をスタートラインとする商品群が多い。

外装の素材の高級化や、ブランド化の成功により1万円前後にまで高めたものもある。それ以上の高級品化は難しいが、格安でも高値でもない中価格帯でのシェア獲得合戦が活気づいている。安値競争にならない分、製造・販売する企業は研究開発費用を回収しやすく、次の商品化につなげていける。

IT化の促進によって多くの資料が電子化され、ビジネスの現場では筆記具を使う機会が減少すると言われていた。しかし、実際にはボールペンが不要になるまでにはいたっていない。むしろ手書きならではのよさを見直す動きがあり、手帳やノートの売り上げが増加している。

また、ビジネスでの使用と並んでボールペンの売り上げを支えていた女子中高生についても、少子化による人口減少で業界が打撃を受けると考えられてきた。だが、価格に見合った付加価値があれば、割高な商品でも人気に火がつくことが実証され始めている。

ボールペンの書き心地は年々向上し、その用途の幅も広がり続けている。移り気な消費者の心を捉え、商品の魅力を強く訴求することができれば、業界の回復基調は今後も続いていくことだろう。


掲載日:2009年6月16日

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