業界レポート

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中古マンション・消費者調査編

前回の市場動向編では、不動産市場全体が低迷している中、新築に対する割安感や政府の住宅政策の後押しもあり、中古マンション市場が拡大していることを明らかにした。今回は、リンク総研が2008年10月に実施したアンケートの結果から、消費者のニーズや傾向を明らかにし、中古マンション業界で成功するためのポイントを考察していきたい。(株式会社ベンチャー・リンク/リンク総研主任研究員・磯崎恭子)

目次

購入希望層の7割が中古物件も検討対象

消費者の住宅購入に関する意識や基準が変化している。特に意識が変わった理由として多かったのは、「景気が悪い」「収入が低くなった」「購入資金が大幅に目減りした」など購入した場合の支払い能力への懸念だ。最近の不動産市況の低迷はマンション価格の上昇もさることながら、消費者の将来的な収入に対する不安、雇用不安に起因するものが大きいようである。そのような状況下で、予算を抑える方策の1つともいえる中古物件について、消費者はどのように考えているのだろうか。

アンケートで、「住宅購入の際に中古を検討するか」を聞いたところ、「中古しか検討しない」という中古積極派は5%だった。ただし、気に入った物件であれば、新築、中古にこだわらず検討するという中古許容派(「新築と中古を検討する」(21%)、「特にこだわらない」(45%)の合計)が66%と非常に多く存在することが分かった。

絶対に新築がいいという回答は29%で、景気先行き不透明感が漂う中、より多くの消費者が新築に比べて相対的に価格が安い中古物件を、持ち家取得の選択肢の1つとして考えている。

住宅を購入する際に中古物件を検討するか

では、どのような人が中古物件を検討しているのか。まず、年代別に見ると、年齢が若い層ほど中古を検討する人が多く、年齢が上がるにつれて中古許容派が減っている。ただし、中古許容派が最も少ないのは50代で、60代以上では50代よりも中古を検討する人が多い。これは加齢による違いというよりも、年齢による収入の違いの影響が大きそうである。

そこで、年収別に見たところ、世帯年収が少ないほど中古物件を検討する割合が高く、年収が高くなるにつれて新築しか検討しないという比率が増えていることが分かった。価値観の変化なども指摘されているが、現実には中古は新築との比較の結果、年収などで物件価格に制約がある層が"消極的"に検討しているケースが多いことがうかがえる。

年収別中古物件に対する意識

物件の安さが魅力だが品質への不安から敬遠

次に、中古も検討すると回答した人に理由を聞いてみたところ、なによりも新築に対する価格の優位性から中古を検討していることが明らかになった。

一方、中古の購入を敬遠する消費者に中古を検討しない理由を聞いてみたところ、「購入後にリフォーム、手直しが必要になるので経済的に損」「耐震強度に不安がある」「修理・メンテナンスの履歴が分からず品質に不安がある」「正しい評価ができない」などが代表的な意見であった。中古物件を検討対象としていない消費者も取り込んでいくためには、こういった不安点をいかに解消していくかがポイントになろう。

中古を検討する理由

このような中古に対する意識の違いは、住宅を検討する際に何を重視するかという質問に対する回答に端的に表れている。例えば、中古積極派、中古許容派、新築絶対派のいずれもが最も重視するのは「価格」であるが、その割合は、(1)中古積極派(35.7%)、(2)中古許容派(33.7%)、(3)絶対新築派(25.3%)――の順である。

中古を検討する度合いが高いほど、価格がカギとなるといえよう。また、中古積極派が他と比較して重視する割合が高いのは、「日当たり」「交通アクセスの良さ」であり、物件の立地環境も重視しているようである。

一方、新築派は他に比べて「耐震性」を重視する比率が高い。中古では建物の耐震性能に関するデータが完備されていないケースも多いため、耐震性を特に重視する消費者はおのずと新築派になるであろう。

見た目のよさも検討条件となる

さて、消費者が求める中古物件とはどのようなものであろうか。これについて、新築と比較して中古も考えるという中古許容派の人に注目し、検討する中古物件の条件を聞いたところ、1位が「価格が安い(59.9%)」、2位が「立地がよい(56.7%)」、そして3位が「バスルームやトイレが新しくてきれい(43.9%)」という結果となった。

「バスルームやトイレが新しくてきれい」という回答が、「耐震性や断熱性などがしっかりしている」(4位39.2%)よりも多かったのは意外だが、中古を検討する消費者のうち、9割以上が新築と比較検討したうえで中古を検討するということを考えると、売れる中古物件は最低限でも見た目のきれいさが必要とされる。

住まいを選択する際に最も重視すること/検討する中古物件の条件

リノベーション物件が大きな可能性を秘める

市場動向編でも述べた通り、中古マンション市場は消費者の意識の変化や政府のストック重視の住宅政策により、成長が見込まれる。しかし、今回のアンケート結果から、現在の中古物件に対しては、購入後に追加で必要となる費用の不透明さや、耐震強度や修理履歴など品質を判断するための情報の少なさが不安要素になっており、その結果、価格などで魅力を感じながらも新築を選択している消費者が少なくないことも浮き彫りとなった。中古でも見た目が重要という結果と併せて、刷新工事を施したリノベーション物件の今後の動向が注目される。

また、リノベーション物件参入企業のほとんどが耐震強度保証付きで販売するようになっているほか、中古住宅にも設計図面、工事プロセスの記録、メンテナンスや修繕の記録をきちんと残そうという取り組みが始まっている。

こうした取り組みにより今後、購入者の潜在的な不安感を取り除いていくことができれば、中古マンション市場はさらに有望な市場として成長していくことができるだろう。


掲載日:2009年4月28日