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業界レポート
中古ビジネス

多くのヒット業態を発掘し、日本全国に拡大してきた(株)ベンチャー・リンクの研究開発部門「リンク総研」が、豊富な消費者アンケート調査をもとに、消費者視点で市場のトレンドを読み解いていきます。今回は中古ビジネスに焦点を当て、その市場動向と企業の取り組み事例について解説します。(リンク総研主任研究員・門野達成)

目次

新車の販売台数は頭打ち中古車市場は堅調に推移

まず、自動車業界に目を向けてみると、新車販売台数(登録ベース)は1998年に600万台未満まで縮小して以来、年間600万台を超えることがなく、国内新車販売は頭打ちになっている状態である。新車販売とは対照的に、中古車販売台数(同)は一時的に縮小した1998〜99年を除いては、800万台以上を堅調に保っている。

一方、中古車オークション市場に着目すると、オークション出品台数と成約台数がともに順調に伸び、2006年のオークション成約台数は444万台まで拡大した。06年の中古車販売台数803万台と照らし合わせると、過半数がオークションで販売されていることになる。これは、インターネットが社会に広く浸透した今、自動車業界に限らず、中古ビジネス全般で楽天オークションやヤフーオークションに代表されるようなネットオークションが盛んに行われるようになってきたことが大きな原動力となり、結果としてオークションの成約台数が伸びていると考えられる。

自動車販売台数の推移

中古車オークション出品成約状況の推移

住宅市場でも中古の盛況ぶりが目に付く

次に住宅業界に目を向けると、新築住宅の着工戸数は05年(約124万戸)を境に一気に減少し、07年には約106万戸まで減少している。

一方、中古住宅の売買成約件数に平均売買価格を乗じて中古住宅の市場規模を試算した場合、01年度の1兆2,074億円に対し、06年度は1兆3,087億円と5年間で8.4%拡大している。また、07年度は売買件数が減少する見込みだが、平均価格の上昇により、市場規模は1兆4,492億円に伸びると見られる。

近年の中古住宅市場は、首都圏を中心に拡大しており、特に中古マンションの取引が活発化している。また、(1)団塊の世代が定年を迎え、退職金による住宅リフォーム需要が拡大する、(2)国が住宅の耐震化を促進しており、耐震リフォームが拡大する――といった時代背景により、リフォーム市場は2010年には8兆円程度まで拡大することが期待され、中古一戸建ての取引も活性化する可能性がある。

自動車メーカーが中古戦略を見直し

このように中古市場が堅調ななか、新車ディーラーでは、国内新車販売が頭打ちになっているため、競争が激化し粗利益率の悪化に苦しんでいる。そこでメーカーは新車よりも粗利益率の高い中古車市場(99年度における自動車ディーラーの粗利益率は新車10.5%、中古車11.9%となっている)に着目し、新車販売ディーラーの新たな収益基盤として位置付け、これまでよりも積極的に取り組むようになってきた。

トヨタ自動車を例にあげると、買取専門店「T-UP」や大型中古車販売店「カーロッツ」の積極的な展開と同時に、中古車販売専門の子会社「トヨタU-Car セールスクリエイト」を立ち上げるなど、中古車戦略の大幅な見直しを行っている。そのほかのメーカーも中古車店舗の大型化や全国展開に向けた販売エリアの広域化に積極的な取り組み姿勢を見せている。

自動車ディーラー各社は、アフターサービスによる顧客基盤強化、仕入れルートの多様化の取り組みを強化することで、自動車ディーラーの強みを活かした中古車販売を強化している。トヨタは、レクサスブランドにおいて、輸入車に限られていた「認定中古車」制度を導入し、価格の透明性と高い品質保証を実現することで、新車ではレクサスに乗れないという「あこがれ消費」を積極的に取り込み、高い利益率を確保する戦略を展開することで差別化を図る。

新築住宅着工戸数の推移・中古住宅市場規模

一方、中古車買取りの場合、新車ディーラーや中古車専業店の下取り時に消費者が感じる価格への不透明さに着目し、標準化され透明性の高い査定、値付けプロセスを消費者に提示することで、消費者の支持を得ている。

中古住宅市場では、ハウスメーカーの販売戦略が多角化し、従来の展示場営業から脱して多彩なメンテナンスプログラムや、定期的なリフォーム、さらには中古物件の仲介まで、幅広く事業機会を捉えようとする動きが広がりつつある。

旭化成は、主要部品の耐久年数や設計の自由度、メンテナンス体制などの基準に適合したロングライフ住宅を提唱しており、60年点検システムなどの長期メンテナンスプログラムとそれに基づく定期リフォームを顧客に提案している。また、過去に販売した中古物件についても、ストックへーベルハウスと称してメンテナンス状態を査定評価に取り込むなどして、自社商品の資産価値の維持、向上にも余念がない。

積水ハイムもNEXTハイムと称して、自社の中古物件を系列不動産会社で扱い、優良なメンテナンス住宅には最長30年までの流通耐用年数で査定する制度を設けている。

前記2社以外にも、60年の定期点検、診断や、必要に応じた有償補修による20年保証などを採用するメーカーが多くなっており、今や業界標準となりつつある。

また、ここ最近は不動産ファンドが多く設立され、急成長企業も多くある。その一つである株式会社リプラスでは、バブル期に建てられてデフレの影響で資産価値が下落した中小オフィスビルに焦点を当てたニュービジネスを手がける。同社は設計事務所などと共同で、利用率の低いオフィスビルを住居スペースに改造し、資産価値を高める事業(コンバージョン)に乗り出した。同社は住居に用途転換する際に、(1)いくらまで賃料を取れるのか、(2)賃料を高く設定するにはどうしたらいいか、(3)顧客ターゲットを絞り込めているか――の3点を重点的に取り組むことで収益性の高い物件にするようにした。同社は02年の設立から5年が経った07年12月期決算公告では売上高が351億円、経常利益が33億7,000万円にまで急成長している。

以上のように、新品市場に比べて中古市場が伸びてきているのは、中古市場の流通を促進するインフラが整ってきたことや、メーカーにとってもすでに顧客ネットワークがあれば利益率が高い商売ができることがあげられる。また、中古であっても高品質を確保しているものが増えており、中古に対する品質不安が払拭されつつあることも市場拡大の大きな要因であろう。


掲載日:2008年8月 5日

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