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事業を育てる
中古住宅のリノベーションで叶える理想の住まい

住宅マーケットが活況を呈しているなか、新築だけではなく、中古住宅が改めて見直されている。さらに、その購入時に自分好みの住まいにするため、間取りや内装を一新する「リノベーション」の活況に伴い、新たな商機が生まれている。以下では、中古住宅とリノベーションの成長とその背景を紹介する。

目次

住宅の7.5戸に1戸は空き家

中古住宅を購入し、間取りや内装を一新し、理想の住まいを作り出す「リノベーション」に、都市部の30代を中心とした世代が関心を寄せている。それに伴って、住宅関連業者がこの市場に続々と参入、事業強化を図りはじめた。

リノベーションは、従来の水回り設備の取り替えや、古くなった部分の回復といった「リフォーム」とは一線を画しており、間取りや内装を大胆に変更するもの。インテリアを自分好みにし、老朽化した住宅をおしゃれなカフェ風の住まいに様変わりさせるなど、好みやライフスタイルに合った住まいづくりができるとして注目を集めている(※リフォーム、リノベーションの定義については諸説あり、同義語として扱われることもある)。

本格的な人口減少が進み、2020年以降は世帯数も減少することが予測されているが、日本には、すでに世帯数を700万戸も上回る住宅がある。国内の7.5戸に1戸が空き家である状態だ。新築でも、既存の建物を取り壊し建て替える「スクラップ&ビルド」でもない、今ある住宅を新たな用途に活用するスタイルが見直されている。

身の丈に合った暮らしを求める世代

元来、日本人は欧米人と比較して新しい物への志向性が高い国民性と言われており、新品であることの価値は極めて高く評価されてきた。資産価値という点で見ると、新築物件は、住みはじめたその日から中古住宅となり、立地や土地価格の変動にも影響するが、平均して1年で20%程度資産価格が下がり、10年経つと半分以下になるケースもある。

また、昨今の経済状況も中古住宅への関心を高める要素となっている。経済復調と言っても、生活者の給料への反映はあまり進まず、将来的にも決して楽観視できる状態ではない。予算の範囲内で、自分たちらしい住まいを求めた結果、「中古住宅+リノベーション」というスタイルが選ばれるに至ったとも考えられる。費用は、多くの業者では、改修の規模にもよるが1平方メートルあたり10万円程度が目安になっている。

例えば、2700万円の中古マンションを購入して800万円かけてリノベーションすると合計3500万円となり、同じエリアの新築で探すと5000万円することを考えれば、1500万円安くなり、家計への負担を軽減させ、身の丈にあった暮らしが実現できるだろう。このような考え方から、バブルを経験していない30代が家庭を持ち住宅購入を考えた時、選択肢のひとつとして、中古住宅のリノベーションが注目を集めている。

改めて、「中古住宅+リノベーション」のメリットとデメリットを整理すると、次のことが挙げられる。

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出所:リノベーション住宅推進協議会資料を参考に筆者作成

このデメリットの部分は、物件を探す際に注意すれば解決できることもある。例えば、1981年6月以前に建築確認申請が行なわれているものは、新耐震基準に対応していないため、専門家の耐震診断を受けることが望ましい。また、マンションの場合は修繕計画についても予め確認しておくべきだろう。

中古住宅とリフォームの市場規模は2020年までに2010年の倍に

リノベーションビジネスは、市場規模の拡大が予測されており、多くの関連事業者が期待を寄せている。国は中古住宅とリフォーム市場(※ここではリノベーションを含む広義の意味)を2020年までに2010年の倍に拡大させる計画を立てている。

リノベーション市場は、成長分野の少ない近年において期待の大きい市場だといえる。そのため、手がける事業者も増えてきており、地場工務店系、住宅設備機器・建材メーカー系、専門工事業者系、リフォーム専業系、ハウスメーカー系、ゼネコン・デベロッパー系、エネルギー供給事業者系、ホームセンター系、家電量販店、インターネット事業者、百貨店系などが、同市場に続々と参入している。

また、中古住宅を探す不動産機能を備えているほか、一棟丸ごとのリノベーションと販売、リノベーションによるシェアハウスの運営などを行なうベンチャー企業も参入してきている。

国家戦略としての動きと体制作り

中古住宅のリノベーションは国からも注目され、税制面で後押しされる。例えば、フラット35Sや、住宅ローン減税、住宅版エコポイントなど。また、東日本大震災以降、とくに耐震・安全対策についてより強化されることが生活者から望まれるほか、消費者保護や企業活動の円滑化を促進する体制づくりも合わせて求められている。

現在では、リノベーションに関する一定のルールづくりを行なっている「リノベーション住宅推進協議会」や、5年間のアフターサービスを支援する「既存住宅販売瑕疵保険」、工事履歴情報を管理する「住宅履歴情報の登録・蓄積システム」など、周辺環境の整備も進められている。

国家戦略と生活者の豊かな暮らしを両立させるものとして、中古住宅のリノベーションに今、ビジネス界で中長期の期待が寄せられている。


掲載日:2014年1月14日

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