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事業を育てる
コーヒービジネスの新たな波

モノが売れにくいデフレ不況下でも、コーヒービジネスには注目が集まっている。メーカー・外食・流通の業界を超えた動きや、いま注目されている「第3の波(サードウェーブ)」について見ていく。

目次

デフレ不況下でも注目されるコーヒービジネス

アベノミクスが徐々に成果を出しつつも、実生活でそれを実感するにはまだ時間がかかると思われ、モノが売れにくいデフレ不況は続いている。しかし、その中でも、コーヒービジネスにおいては、業界を超えた動きや新業態の登場など、話題に事欠かない。

中でも、いま注目されているのが、コーヒーの「第3の波」。これは、アメリカのポートランドを代表とするオレゴン州やカリフォルニア州などの南海岸で始まったコーヒー文化であり、コーヒー豆の産地や農園を重視し豆に合わせた焙煎をするなどして、高品質なコーヒーを提供するというものである。

この流れを汲んだコーヒー店が、日本でも徐々に増えはじめている。ここでは「第3の波」の登場に注目し、これまでのコーヒービジネスの歴史を紹介すると共に、メーカー・外食・流通といった業界を超えた参入も見ていく。

世界第4位のコーヒー消費国・日本

日本のコーヒー文化は1780年代に、長崎の出島にオランダ人が自分用にコーヒーを持ち込んだことから始まったといわれている。その後、一時は輸入禁止となったものの、戦後に輸入が再開され、インスタントコーヒーを中心に消費が増えていった。2012年時点では、日本のコーヒー消費量はアメリカ、ブラジル、ドイツに次ぐ世界第4位となっている。

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出所:一般社団法人 全日本コーヒー協会「世界の国別消費量 2012年」

以下は、近年のコーヒーブームをまとめてみたものである。(なお、分類には諸説あり、以下は各種資料よる筆者のまとめである。)

■第1の波(戦後-1970年頃)

  • フルサービス型の喫茶店(いわゆる、街の喫茶店)が多数開店
  • 各家庭にインスタントコーヒーが浸透

1970年頃までは、コーヒーは気軽に飲める安価なものが好まれ、大量生産・大量消費が行われていた。第1の波の背景には、真空パック技術が開発され焙煎されたコーヒーの長距離輸送が可能になったという事情もあった。

■第1の波と第2の波の狭間(1980年代)

  • 「ドトールコーヒー」などのコーヒーチェーンの拡大
  • 家庭用焙煎コーヒーと缶コーヒーの消費拡大

■第2の波(1990年代)

  • シアトル系コーヒーチェーン(セルフサービス型ショップ)ブーム
  • 1996年「スターバックスコーヒー」日本1号店がオープン

第2の波では、コーヒーショップが国内に浸透した反動で、味や香りにこだわる動きが出てきた。この動きを背景に、スターバックスやタリーズなど、アメリカ・シアトル発のセルフサービス型のコーヒーチェーンが拡大していった。

■第3の波(2010年以降)

  • 自家焙煎店ブーム
  • アメリカ南海岸発の、豆や焙煎にこだわったコーヒー文化が日本に上陸
  • 「スペシャルティコーヒー(※)」の概念が広がる

前述の通り、コーヒー豆の産地や農園を重視し、豆に合わせた焙煎をするなど、高品質なコーヒーを提供する流れが、アメリカの南海岸を中心に起きてきた。アメリカでは2002年頃より、このブームを「第3の波」と呼んでおり、次第に日本にも伝わってきた。

※「スペシャルティコーヒー」とは、コーヒー豆、焙煎方法、挽き方、そしてカップに至る全てにおいて徹底した品質管理が行われ出来上がる高品質コーヒーをさす。

【参考】
一般社団法人 日本スペシャリティコーヒー協会

業界を越えた新規参入

コーヒーを消費別に分類すると、挽いたコーヒー豆で淹れるレギュラーコーヒー、インスタントコーヒー、缶コーヒー、リキッドコーヒーに分類され、消費の多くはレギュラーコーヒーが占めている。

レギュラーコーヒー市場は、大手焙煎業者4-5社で市場の50%以上のシェアを占めており、そのような状態が20年近く続いてきた。これまで安定的に推移してきたコーヒー市場であるが、近年このコーヒー市場に業界を越えた新規参入が相次いでいる。

ある大手家庭用インスタントコーヒーメーカーは、コーヒーを主としたドリンクサーバーを家庭やオフィスに設置する事業を始めた。また、コンビニエンスストアも、店舗内にセルフ方式のコーヒーサーバーを設置し始めている。

このほか、ハンバーガー店などのファストフード店もカフェ的利用を狙ったサイドメニューを充実させてきており、ファミリーレストランも食事以外のカフェ需要を狙った、コーヒーを主にしたメニュー展開を強化してきている。

商品・サービスの差別化と啓発活動

業界を越え、コーヒービジネスを強化する動きが活発となり、コーヒービジネス市場は限られたパイの取り合いの状態となっている。このため、各社はコーヒーの味や香りへのこだわりや、フェアトレードなど特別品質を打ち出すほか、サイドメニューの充実、店舗であれば居心地の良さの追求など、さまざまな差別化を推し進めている。

こういった背景もあり、コーヒーに関する知識や技能を習得する講座や検定試験も人気となってきている。

【参考】
全日本コーヒー商工組合連合会認定「コーヒーインストラクター検定」

メーカー・外食・流通といった業界を超えてのコーヒービジネスの活況と、コーヒーに対する関心の高まり。第3の波はまだ始まって間もない。コーヒーを巡る競争に、引き続き注目が集まるだろう。


掲載日:2013年12月24日

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