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事業を育てる
フィギュアから医療の世界まで新市場を拓く3Dプリンター

近年、3Dプリンター(3次元プリンター)に関する話題が世界中で盛り上がっている。以前は自動車産業など、一部の産業で使われるもので、値段も数千万円と高額だったが、現在は低価格化が進み、様々な産業や企業、個人にまで利用者が広がってきている。以下では、この3Dプリンターの市場性や日本におけるビジネスを見ていく。

目次

個人でも買える数十万円台の3Dプリンター登場

2011年頃から、3次元データから立体物を作ることのできる3Dプリンターへの注目度が劇的に高まってきている。その利用範囲は製造業をはじめ、教育や医療、個人利用までに広がってきており、家電量販店も、相次ぎ低価格の3Dプリンターを発売しはじめている。アメリカでは、3Dプリンターを使って銃を製造できるプロジェクトまでが立ち上がり、論議を呼んでいる。

3D-CADや3D-CGの3次元データを作ることを「3Dプリンティング(3次元造形)」と呼ぶが、3Dプリンターには、断面形状を積み上げていく積層造形法の「3Dプリンター」と、素材を削って造形物を作り出す切削造形法による「3Dプロッター」とがある。今は積層造形法の「3Dプリンター」が主流である。

歴史は、1983年チャールズ・ヒル氏が立体造形機に関する特許を取得したことにはじまり、その技術は自動車産業などでよく利用されてきた。デジタル技術の普及により、立体造形の担い手は、ここ5-6年でさまざまな分野や個人に広まっていった。
 『フリー』(日本放送協会)の著者として有名なクリス・アンダーソン氏は、2012年に出版した『MAKERS』(NHK出版)の中で「生活者が誰でも製造者になれる時代が到来する」ことを説き、3Dプリンターに代表される新世代の工作技術の登場により、ものづくりの世界において「21世紀の産業革命」の兆しが見えてきていると述べている。

100万円以下の低価格タイプの普及で2016年には約1万6000台、155億円の市場に

3Dプリンターによる立方物造形の仕組みは、現在大きく3つある。それは、(1)熱溶解積層方式(2)光造形方式(3)金属の粉末をレーザー焼結させて積層させる方法だ。

(1)熱溶解積層方式は、現在実用化されている機器の中で最も主流な方式で、樹脂材料を過熱・溶解させて徐々に積み上げていくものである。これは操作が簡便で、装置価格も比較的安価である一方、1ミリメートル以下の曲線を描くことが難しいために、複雑な構造には不向きである。
(2)光造形方式は、紫外線が当たると硬化する特殊な樹脂にUVレーザーを照射して造形していく方式である。繊細な構造物を作るのに向いている一方、使用できる素材が限定されてしまうほか、装置価格が高いという面もある。
(3)金属の粉末をレーザー焼結させて積層させる方法は、現在流通している機種のごく一部で採用されている方式である。

3Dプリンターで作られた立方造形物は、製造業では製品や部品のデザイン・機能の試作品として、医療分野では人間の臓器を模した施術前の検討モデルとして、建築分野では建物の模型として使われている。また、個人ではオリジナルの雑貨や小物、玩具として製作されたりしている。最近では、家族を模した記念用フィギュア、オリジナルのスマートフォン・ケースなどが人気だという。

株式会社シード・プランニングによると、3Dプリンターは、今後100万円以下のパーソナルタイプが広く普及し、2016年には、国内3Dプリンターの台数は約1万6000台、市場規模は155億円になると予測されている。今後、機器の低価格化がさらに進めば、3Dプリンターは、個人を含め幅広い産業や企業に、急速に浸透していくことだろう。

3Dプリンターの今後の課題

個人でも3Dプリンターを使えば、好きな物を自在に作ることのできることには夢があり、期待が膨らむが、反面、新たな技術の登場に伴う課題も出てくる。

まず考えられる課題として著作権問題が挙げられる。精巧に造形物を作成できるだけあって、3次元データがあれば、例えば有名なアニメキャラクターグッズをそっくりそのまま複製することもできてしまう。
 紙媒体やDVDなどにはコピーガードといって技術的にコピーできないようロック機能が付いていたりするが、立体的な著作物には今のところ、そのような技術的なコピー保護手段が付されていない場合がほとんどである。このため、たとえ私的利用でも複製に際し権利者の承諾が必要な場合であっても、そうとは気付かずに複製してしまうこともありうる。

また、冒頭に記したアメリカのケースのように、3Dプリンターを使って銃を製造する話もあるが、日本では、原則として銃砲・刀剣類の所持は禁じられている。硬い素材を使って3Dプリンターで銃や刀剣類を作ることができてしまうと、銃刀法違反の問題にまで発展しかねない。

3Dプリントという新技術の登場により、上記以外にも今後、様々な課題が出てくるかもしれない。それら課題に対しては適切な対処がなされ「21世紀の産業革命」が適正に経済社会の発展に寄与することを期待したい。


掲載日:2013年11月 7日

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