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事業を育てる
スクエア、コイニー、ペイパル、楽天......カードのスマホ決済がつくる新市場

スマホを使ってのクレジットカード決済が広がりつつある。導入や運用コストも安いこともあり、小規模店や移動店舗など多様な場面で使えるとあって、新市場の創造と期待が集まっている。今回は、サービスの商機を課題と併せてみていく。

目次

第2のスティーブ・ジョブズが手がけるスマホ決済サービス

楽天やベンチャー企業のコイニー、ソフトバンクと連携したペイパルに続き、アメリカ最大手のスクエアが三井住友カードと提携し、2013年5月に日本でスマホ(スマートフォン)でのクレジットカード決済サービスを開始した。スクエアといえば、第2のスティーブ・ジョブズとも言われる、ツイッターの共同創業者であるジャック・ドーシー氏の手がける新事業。アメリカで2009年にサービスを開始し、2013年5月時点で加盟店300万店以上、年間取扱額は150億ドルという業界最大手が、満を持して日本上陸を果たした。数十年に1度かの市場を動かす大きな波に注目が集まっている。

社団法人 日本クレジット産業協会の資料によると、クレジット加盟店数は、会社ごとの重複があるものの、堅調に推移している。一方で、小規模店舗・企業において、カード決済サービスは導入や運用コストが高くハードルが高いのも現状。そのため、日本は「カード社会」といわれて久しいが、都市部であっても「現金のみのお支払いでお願いします」という店舗がいくつもある。今回注目されているスマホ決済サービスは、まさにこういった導入・運用コスト面で諦めていた小規模店舗の利用拡大を促進するものだ。

最短翌日の入金サイクルでキャッシュフローに余裕

では、サービスの仕組みを詳しくみていく。スマホ決済サービスとは、スマホやタブレット端末に専用アプリをダウンロードし、ドングルと呼ばれる小型装置(2~3センチ四方程度のものが多い)をイヤホンジャックに差し込めば端末がカードリーダー(読み取り機)として使え、端末上でサインするなどしてクレジットカード決算できるサービス。

レシートはメールで送信できるほか、別途端末を用意すればレシート発行も可能。サービス事業者は、契約企業から決済手数料を受ける仕組みだ。当然、クレジットカードが利用な店舗が増えることは、現金の持ち合わせを気にすることなく買い物などを楽しめ、所持カードのポイントを溜められるなど、生活者にもメリットがある。

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従来のクレジットカード決済との大きな違いは、導入時に高額な専用カードリーダーを新たに購入することなく、スマホを活用して無料または安価なドングルで開始でき、手数料が安い点。そして、入金サイクルが最短で翌日というサービスも存在している。次の表で、従来のクレジットカード会社の契約と比較してみる。

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続いて、店舗・企業の向き不向きだが、前記のとおり低コストで導入できることから、小規模店舗や、個人事業主のほか、スマホでネットに接続できるため路面店販売や移動式販売をする企業にとっても、いい条件といえるだろう。手数料を支払ったとしても、入金サイクルが早くなることでキャッシュフローに余裕が生まれることは大きいメリットだ。

一方で、大規模な店舗の場合はPOSレジになっている関係で、現在のところスマホ決済サービスが簡単な履歴が残せる程度のため、導入が難しいという見方もある。この点は、今後改善されていくのかもしれない。

また、既存のカード会社の競合となっていないか、という視点もある。サービス誕生時から度々話題になるが、新サービス運営側の言い分としては、カード利用の底上げという点で、あくまで協業という姿勢という。

課題はあれどスモールビジネス活性への大きな期待

日本における、スマホでのカード決済サービスは、2012年後半から増え始めた。楽天は、2012年12月に開始し、楽天銀行を利用すれば入金サイクル翌日、というのを実現させた。

続いて、アメリカのeコマース最大手eBay(イーベイ)の傘下であるペイパルとソフトバンクの合弁会社を2012年5月に設立し、翌年3月に本格的にサービスを開始。iPhoneをはじめスマホ販売を強化するソフトバンクが参入したことの意味は大きく、日本の商慣習を踏まえ、レシート発行に対応したペイパルプリンターといった付加価値で差をつけている。

ベンチャー企業のコイニーは、入金サイクルこそ他に差をつけられているが、サービス開始時には手数料の安さや、取り扱いカードを増やす(セゾンカードは同社のみ)などのサービスや新機能の拡充が進んだ。

そして、後発でありながらも、現時点でもっとも安い手数料を打ち出しているスクエア。アメリカでの急成長後、カナダを経て、日本上陸を果たした。日本でサービスを開始するにあたり、三井住友カードと提携。三井住友カードは1000万ドルを出資し、ビジネスパートナーとして、サービス拡大を図っていく。

スクエアは、初年度導入を目標10万店舗以上としており、今後も各社、会員獲得にしのぎを削る勢いである。しかし一方、セキュリティへ問題など不安視する声もあり、その対応にも追われる。現状、通信は暗号化し、カード業界の安全性基準にそって行われているという。また、ソフトバンクや楽天、コイニーなどは、決済情報や利用者情報の保護基準を定めた国際標準規格「PCI DSS」を取得している。

通信システムを使ったサービスであるがゆえに、たとえば、大手通信会社の通信障害が起きた場合の対応や、顧客のトラブルの起きやすい業種の参入や、事業の実態がなくても導入できることから、急拡大に不安の声が絶えない。サービス事業者は、安全性と利便性の両立が問われている。しかし、アメリカではスモールビジネスの活性に役立っていることが実証されており、日本でも小規模ビジネスが経済を支えていることはいうまでもなく、ここに光があたり、市場の活性化に一役買ってくれると期待が高まる。

Square(スクエア)
PayPal Here(ペイパルヒア)
楽天スマートペイ
Coiney(コイニー)


掲載日:2013年7月16日

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