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事業を育てる
SNSで贈り物「ソーシャルギフト」の可能性

昨今、SNS(交流サイト)を利用して贈り物ができるソーシャルギフトのニュースが増えている。2012年からはサービスを運営する企業が増え、効率的な集客法としてこれらのサービスに加入する小売店も増加傾向にある。そこでソーシャルギフトサービスの機会と今後の課題や脅威をみていく。

目次

「Facebook Gifts」もスタートしグローバルで注目される新サービス

SNSを利用している友人に贈り物ができるサービス「ソーシャルギフト」が注目を集めている。ソーシャルコマースやFコマース(Facebookコマース)と表現されたりする。特徴は、贈り物を受け取る側が本名や住所などの個人情報を贈り主に知らせずに贈り物ができるため、双方に住所確認のやり取りが省ける。また、SNSのほかの友人と共同で商品・サービスを購入して贈り物できる。その際、一定人数以上集まらないと贈り物が成立しない、電子クーポンを贈ってカフェなどでスマートフォン(以下、スマホ)を提示して活用するなどサービスごとの工夫がある。

日本で注目されはじめた理由はいくつかあるが、ひとつはFacebookをはじめとするSNSの利用者が増え土壌が整ったこと。もはや若者にとってSNSはライフラインといっても過言ではないほどだ。また、ソーシャルギフトはアメリカ、韓国が先んじて取り組みが多いようだが、このたび世界一のユーザー数を誇るFacebookが2012年に「Facebook Gifts」を発表し、試験版を経てサービスが開始された影響も大きいだろう。現在はアメリカでのみ利用できるが、今後ローカライズ版のスタートも推測される。つまり、"巨大な黒船"が日本に上陸する前にサービスに参入する企業が増えてきているという見方もある。

サービス利用者はいまだ5%程度

贈り物という視点から、現在の日本の贈り物市場をみると意外な点に気づく。矢野経済研究所「ギフト市場に関する調査結果 2012」によると、2011年度の市場規模は前年度比102.1%の17億400億円のプラスとなっている。これまで市場を牽引してきた中元・歳暮といった風習は希薄になりつつあるものの、個人需要を中心に気軽な"プレゼント"という風潮が出てきているとの見方がある。贈り物の内容や贈り方も多様化し、カジュアル化している点などから、ソーシャルギフトの登場は時代の流れを捉えている点も期待されている。

この期待されるサービスの現在の認知度は、まだ5%といったところだ。インターネットコムが2012年10月31日‐11月2日に10代から60代以上のインターネットユーザーに行なった調査では、サービスを知っていると回答した人は24.6%。その中で実際の利用経験者は20.6%で、回答者全体でみると5%程度の割合だったという。未成熟サービスの今後の成長が期待されるところだ。

参入企業が相次ぎ、大手企業も注力

アメリカで有名なサービスは、大手フラワーギフト「1-800-flowers.com」の取り組み。Facebookを活用して友人へ花をプレゼントできる。ラッピングにはFacebook上の友人の顔写真がプリントされるといった工夫で話題になっている。

続いて、ここ数年で登場している国内のおもなサービスを紹介する。

■Bappy!(バッピー)
http://bappy.jp
運営企業:株式会社Bappy
サービス開始:2012年8月
概要:Facebook上の友人の誕生日に、メッセージと一緒にTSUTAYAなどで使える電子ギフトカードを贈ることができるサービス。受け取った側は、店頭でスマホの画面を提示したり、通販サイトでコードを入力することで使うことができる。

■giftee(ギフティ)
http://giftee.co
運営企業:株式会社ギフティ
サービス開始:2011年3月
概要:コンセプトは、「日頃の「小さなありがとう」を簡単にギフトとして贈ることができる」となっており、FacebookやTwitterを通じてカフェなどで使えるチケットを贈ることができる。気軽に贈ることを想定する通り、提供するチケットは1000円以下の少額となっているのが特徴。

■Okkru(オックル)
http://okkru.jp
運営企業:ビルコム株式会社
サービス開始:2012年4月
概要:女性に特化したソーシャルギフトサービスで、キッチン用品バスグッズなど女性向けアイテムを揃えている。サイト上に小売店が出店するモール形式をとっており、女性誌のフリーの編集者と連携して特集ページを作るなどの特徴がある。

そのほか、大手企業の動きも注目したい。交流サイト大手mixiはつながっている友人へ贈り物ができる「mixiバースデー」を開始している。また、生花販売大手の第一園芸は、ウェブシステム会社と共同で、Facebook連動アプリ「ハッピーフラワー」を始めた。Facebook上の友人へ花を贈れるほか、ほかの友人にも参加を呼びかけて費用を募ることができる。さらに、凸版印刷は電子ギフトカードの構築支援サービスを始めている。

参入コストが低く近年にも競争激化

ソーシャルギフトは参入が低コストのため、新規企業が増える可能性が高く差別化が難しくなることが推測される。また、サービスの利点である、住所は知らないが交流のある人へ気軽に贈れることを踏まえると気軽に選択・決定できる比較的少額の商品が想定される点も考慮したい。逆にターゲットになりにくいシチュエーションとしては、手渡しするような近距離にいる家族や親しい友人への贈り物といえよう。

このサービスが活況となることでの脅威は、これまで贈り物市場を牽引してきた百貨店などに起きるだろう。店舗利用が縮小されることなどが懸念される。この点では、店舗集客を促進するためクーポンを発行して贈るといったO2O(オンライン・トゥ・オフライン)で共存も可能かもしれない。

日本でのSNS利用が根付いたところで、企業のソーシャルギフトへの期待は高い。前記の通り、アメリカでスタートした「Favebook Gifs」といった巨大な黒船が到来する前にノウハウの蓄積を進める日本企業の動きが目覚ましく、今後の動きに注目したい。


掲載日:2013年4月 2日

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