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事業を育てる
Hulu日本上陸から1年、レンタルDVD市場のいま

動画配信サービス「Hulu」が日本でサービスを開始して1年以上が経ち、レンタルDVDの市場はどのように変化したのだろうか。ネットVSリアル(ショップ)という単純な図式では描けない動きをそれぞれの特徴とともにみていく。

目次

100円レンタルは当たり前!単価の下落で市場が縮小

インターネット経由で映画やテレビドラマの映像を配信する「Hulu(フールー)」が日本に上陸し、その後もこういったCS放送やネットなどを使って視聴するVOD(ビデオ・オン・デマンド)の業者が台頭してきている。一方、従来からあるレンタルDVD業界にはどんな影響があったのだろうか。市場の動きと、新たな動きを紹介する。

「ビデオソフト市場規模及びユーザー動向調査2011」(日本映像ソフト協会、株式会社文化科学研究所)によると、2011年のビデオソフト(DVDとBD(ブルーレイディスク))における、レンタル市場規模は2542億円(前年比95.1%)となり、3578億円だった6年前の2005年と比較すると29%の減少となった(対象はショップレンタルとネットレンタル)。

※図表ではレンタル市場とセル市場(DVDの販売)についてまとめられているが、今回はレンタル市場に絞って言及していく。

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1人あたりの年間レンタル枚数と、1枚あたりのレンタル単価について、過去3年の推移をみると、市場の縮小の要因のひとつが見えてくる(表)。レンタル枚数は、2009年28.6枚、2010年24.1枚、2011年25.1枚と、押し並べて同様に推移しており需要は安定しているものの、レンタル単価は2009年から毎年約20円ペースで下落していることが分かる。

実際に、TSUTAYAやGEOといった大手2社では、旧作の100円レンタルは今や当たり前となっている。最近の例で言えば、アミューズメント施設運営のアドアーズがKCカードと連携したレンタルDVD店では、なんと1泊2日で10円だという(クレジットカード入会が必要で、新規入会時は半年分の会費2,500円、以後1年毎の更新で年会費5,000円の条件つき)。

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ネットレンタルは参入業者の乱立により戦国時代に突入

前記のレンタルDVDの市場には、ショップレンタルとネットレンタルが対象になっているが、ここ数年で参入企業が急増しているのがオンラインで予約し宅配で受け取り・返却するネットレンタルだ。ショップに出かけることなく利用できることもあり、忙しいビジネスパーソンを中心に人気が集まっている。

参入している企業は、

  • 大手レンタルショップ「TSUTAYA DISCAS」「GEO オンライン」
  • ネット企業「楽天レンタル」「Yahoo! レンタル」
  • 独立系「DMM.com」 などがある。

前記の調査によると、ネットレンタルの年間平均利用枚数は、26.3枚で前年比で11.9%の上昇であるものの、平均利用金額は4343.7円で28%の低下となり、1枚あたりの単価の低下が与える影響が大きいと推測される。引き続き、価格競争やキャンペーンなどによる、新規顧客の獲得が激化していくだろう。

黒船「Hulu」が牽引するVOD(ビデオ・オン・デマンド)

ショップやネットを使ったレンタルDVD市場を脅かすのが、CS放送やネットなどを介し、料金を支払って視聴するVODの存在だ。いつでも好きなときに視聴できるこのサービスには、見放題プランと、1作品ごとに買うペイ・パー・ビュー(PPV)に大きく分かれている。有名なところで、「TSUTAYA TV」や「スカパー!オンデマンド」「アクトビラ」がある。

そして、アメリカから上陸した「Hulu」は、2012年4月に月額定額料金を従来の1480円から980円へと引き下げ、公式には会員数が未公開ながらも、急成長しているという。特に月額980円で見放題のため、ひと月に10作品を視聴すると、1作品あたり100円を切る計算になるため、大量に映画やテレビドラマを視る人に向いている。また、視聴可能なデバイスがテレビやパソコンをはじめiPadなど複数あるため、いつでもどこでも楽しめるのがポイント。

このVOD市場は今後も期待されており、野村総合研究所「ITナビゲーター2012年版」によると、2012年にVODの市場規模は896億円に達し、毎年100億円規模で拡大、15年には1220億円にもなるとも予想され、さらなる成長が見込まれている。

ショップ、宅配、配信を融合した戦略もある

レンタルDVD大手のTSUTAYAに関していえば、ショップ(TSUTAYA)、宅配(TSUTAYA DISCAS)、配信(TSUTAYA TV)といったように、さまざまなスタイルでユーザーの利便性に応えている。これは、一様にネットVSリアル(ショップ)ということではなく、それぞれ機能の補完をするものと捉えたい。ネットとリアルのメリットをいかし、デメリットが改善されていくことが望ましい。

ネットを介した方法であれば、取り扱い作品数の量が課題になる。また、多数ある作品から面白いものに出合うのが困難という人がいると想定し、検索機能やカテゴリー分けはもちろんのこと、キュレーター(ここでは、情報を収集し選別して発信する人を意味する)を登場させるなど、作品を薦める機能を強化することも対策として挙げられる。

ショップの場合は、今後も単価アップが望めない以上、在庫回転率を高めて収益を上げる必要がある。利用頻度を高めてもらう対策として、TSUTAYAであれば書店、GEOは古着ショップといった異業種とのコラボレーションによるショップの複合化の動きがある。また、店舗運営の効率化を目指すTSUTAYAは、セルフレジの導入のほか、商品検索用としてiPadを導入するといった動きもあり、消費者への付加価値の提供に余念がない。


掲載日:2013年1月31日

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