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事業を育てる
今やネット通販は衣類も靴も「お試し」「返品無料」

近年ネット通販業界では、失敗しないで望んだものを手に入れたいという消費者の心理に答えるように、「お試し」と「無料返品」が主流となってきている。最近では、衣類や靴の販売にも取り入れられており、これまでのネット通販の弱点を補うようなサービスが登場している。今回は、ネット通販の新しい動きをみてみる。

目次

ネットショッピングは「失敗しない」がキーワード

最近、買い物の現場には新しい動きが出てきている。キーワードは、「失敗しない」「安心」。不況と言われて久しい。そういったなか、消費者は買い物をする際に「無駄遣い悪」を覚え、過度に慎重になる傾向にある。それは、店頭で購入する場合でも、ネット通販を利用して購入する場合でも、同様である。誰しも、商品を買って、思っていたイメージと異なるとか、想像していたより使い勝手が悪かったということを経験しているはず。特に、実際に手にとって品定めして購入できないネット通販に多くある問題点だろう。

それを払拭する2つの動きがある。「お試し」と「返品無料」だ。いずれも、以前から存在していたサービスだが、ここ数年でその内容や形態が様変わりしている。これまで難しいとされていた衣類や靴、メガネなどの販売にも取り入れられている。それを可能にしたのが、デジタル技術の発達と実用化だ。

ECの市場規模は前年比8.6%増の8.5兆円まで拡大

買い物の現場は、店頭とネット通販に大分される。最近では、店頭とネット通販を連携させた形態「O to O」(オンライン・トゥ・オフライン)に注目が集まっている。サイトでキャンペーンを実施するほか、ネット販売して話題になったものを、実際の店舗でも販売する仕組み。場合によっては、消費者がサイトを閲覧した上で店舗で購入すると割引が受けられるなどのサービスもよく見られるようになっている。

市場をみてみると、ネット通販の成長は著しい。「平成23年度我が国情報経済社会における基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によると、消費者向けの電子商取引(以下、EC)の市場規模は、前年比8.6%増の8.5兆円まで拡大している。市場全体におけるEC化された取引の割合をさすEC率は2.83%と増加傾向にある。

出所:経済産業省「平成23年度我が国情報経済社会における基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」
グラフ:EC市場規模の推移

約6割の人が購入前に実物の商品を確認できないことが不安

ネット通販は、消費者の抱える問題をクリアしていくことで成長してきている。消費者のインサイトにそのカギがあった。

同資料の利用動向によると、過去1年間にECを利用したことのある人が、過去1年間で購入した商品は、最も高い比率が「書籍、雑誌(電子書籍は除く)」(49.6%)、次いで「衣類・アクセサリー」(43.3%)、「食品、飲料、酒類」(38.3%)となっている。ネット通販の便利さは、店舗までの移動時間、営業時間を気にせずに買い物ができることや、実店舗で買うよりも価格が安いことを挙げる人が多くいる。

一方で、EC利用上の不安・不便についての質問には、「購入前に実物の商品を確認できないこと」(67.7%)といったネット通販特有の要素について最も高い不安要因となっている。次いで、「購入時に住所やクレジットカード番号などの個人情報を送信すること」(40.2%)といったセキュリティ上の不安を挙げ、「購入後のアフターサービス(返品、交換、保証、故障対応など)が行なわれるかわからないこと」(21.8%)が続いている。

そんななか、最大の不安要素である、実物の商品の確認ができない点を補うため、「お試し」サービスが充実し、購入後のアフターサービスの懸念を払拭するため、「無料返品」のサービスを積極的に取り入れることでアピールする企業が続々と登場してきているので、一部を紹介する。

【お試し】

衣類やメガネなどは実際に身につけてみないと自分に似合うかどうかの判断が付きにくいため、ネット通販で購入する人が少なかったが、最近では自分の写真を使ってネット上で商品のお試しができるようになっている。また、お試しサービスをビジネスとして展開する企業も出てきている。

  • アヴィエラン『AWASEREBA(アワセバ)』
    http://www.awaseba.com/
    自分の写真を使ってネット上で人気ブランドの服の試着ができるファッションサイトであり、商品購入ができるショッピングサイト。
  • 資生堂『watashi+(ワタシプラス)』
    http://www.shiseido.co.jp/wp/
    自分の写真を使ってアイシャドウやチークなどトレンドアイテムを試すことができるほか、オンライン動画と電話を使って美容部員と会話できるメークレッスンも受けられるオンラインショップ。
  • フォレストワン『おかりなレンタル』
    http://o-carina.jp/
    ネット申込で、最新の人気高級家電を安価な価格で購入前にお試しレンタルできるサービス。商品が気に入った場合には、返品して店頭で購入するか、同店が提示した金額でそのまま買い取ることが可能(一部を除く)。
【返品無料】

ネット通販の弱点として、注文から商品到着までの時間のロスや、送料負担などを補うサービスが登場している。物流の効率化により翌日配送を可能にし、送料や返品の手数料を無料にすることで、消費者が気軽に注文できるサービスを打ち出している。

  • アマゾン『javari(ジャバリ)』
    http://www.javari.jp/
    靴とバッグを中心としたネット通販。16時までに注文を確定すると、送料無料で翌日配達(一部地域除く)。365日以内無料で返品が可能。
  • ジェイド『LOCONDO(ロコンド)』
    http://www.locondo.jp/
    「買ってから選ぶ。」をコンセプトにした、靴とバッグを中心としたネット通販。送料無料、99日間返品無料のサービスや、14時までの注文で翌日到着(一部地域除く)のほか、電話でサポートするコンシェルジュサービスを設置。
  • ミスタータディ『Oh My Glasses(オーマイグラスィズ)』
    http://www.ohmyglasses.jp/
    メガネを1回5本まで注文しても到着後14日以内であれば返品は一切無料。購入後は、提携しているマルイの店舗でレンズ交換などのアフターサービスが受けられる。

時間の制約のある40代がネット通販ヘビーユーザー

このように、実物の商品の確認ができないというネット通販ならではの要素が、デジタル技術の向上と実用化により、可能となってきている。まだまだ課題は多くあるものの、前記で紹介した調査によると、EC率は上昇傾向にあるものの、民間消費全体に占める割合は2.83%と、まだ市場拡大の余地は十分にあると考えられる。

今後の動きの特徴として、中高年のEC利用が拡大すると推測される。経済産業省「消費者購買動向調査」(2010年4月)によると、ネット通販の利用回数が多いのは男女共に40代。時間制約のある多忙な層での利用が多い点や、同様の理由から、子育て中の層、要介護者がいる層でも高くなっているという。今後もこの傾向が続くと予想され、この層へのアプローチを強化することも考えられる。

また、衣類や靴、メガネといった商品のネット通販が近年登場したように、これまでネットで売りにくいものにこそ、デジタル技術の向上によって、商機の可能性を秘めているという見方もできる。


掲載日:2012年11月13日

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