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事業を育てる
食品・飲料メーカーの小容量化が加速

人口減少や単身・共働き世帯の増加、高齢化などの社会構造の変化を受け、食品・飲料メーカーが小容量の商品を拡充する動きがある。同様に、小売業のスーパーマーケット(以下、スーパー)やコンビニエンスストア(以下、コンビニ)では新たな戦略が試されている。

目次

縮む日本、変わる社会構造

現在の日本は、人口減少や高齢化をはじめ、多くの社会問題を含んでおり、もはやその変化を無視してビジネスをすることはできない。そんななか、食品・飲料メーカーは小容量の商品を市場に投入してきている。また、スーパーやコンビニといった小売業でも、社会構造の変化に伴って生じている消費者ニーズに対応すべく新たな戦略を打って出ている。その昨今の動きを見ていく。

商売を取り巻く環境は大きく変化しており、ここでは社会構造の変化について4つのポイントに絞って紹介する。なお、2011年3月11日に発生した東日本大震災の影響により、今後の数値データに変化が出る点は考慮いただきたい。

 (1)人口全体が減少傾向
 (2)世帯数は増加し、単身世帯も増加
 (3)高齢化
 (4)働く女性の増加

2010年10月実施の国勢調査確定値によると、日本の人口は1億2535万8854人となり、前回調査(2005年)と比較して37万人減少した。一方で、世帯数は5184万2000世帯となり調査以来はじめての5000万世帯を超えた。なかでも、単身世帯は全体の31.2%を占め最多の家族類型となった。

つまり、日本の3割の人が「独り暮らし」という結果。そして高齢化は加速しており、65歳以上の人口は2924万6000人となり、前回より357万4000人増加した。総人口に占める割合は前回調査より2.8ポイント上昇の23%となり、国際比較によると2位のドイツやイタリア(20.4%)を引き離す形となっている。

また、夫、妻の両方が働く「共働き世帯」を見るにあたり、現時点の最新データである2005年国勢調査を用いる。共働き世帯は1995年調査をピークに世帯数は減少しているが、これは団塊世代が大量に定年退職を迎えたことが要因である。一方、共働き世帯を比率でみると1980年調査の49.3%から2005年調査で57.5%まで比率が上昇している。先行きの見えぬ経済状況から、今後も共働き世帯の比率は増えることが推測される。

従来型の半分以下の量の商品が市場に続々投入される

こういった状況下で、これまでの商売のルールに固執していると厳しい局面になることは言うまでもない。そこで変化への対応のひとつとして、「小容量」が挙げられる。2009年には、長寿番組のひとつ、NHKの「きょうの料理」で使う材料の目安の表示が4人分から2人分になったことは記憶に新しい。読者アンケートで2人分への要望が多かったことからの変更だという。

同様の動きは、小売業、食品・飲料メーカーでも進められている。はじめに小容量化に力を入れたのが、大手総合スーパーである。生鮮品や総菜の小分け販売を行ない、プライベートブランド(PB)では小容量の商品の製造・販売を積極的に行なっていった。そしてここにきて、食品・飲料メーカーの動きが目覚ましい。

調味料市場のリーディングカンパニーである味の素では、代表商品「味の素」を従来の75g瓶よりさらに小型の35g瓶を2月に発売した(写真)。約半分の量だ。東京都内のとあるスーパーでは、小容量型(35g瓶)が通常型(75g瓶)の3倍並べられていた。そのほかの例を挙げてみる。

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また、メルシャンで取り扱うワインについて、通常700~750ミリリットルであるが、その約4分の1にあたる180ミリリットルのワインを市場に投入している。そのほかにも、昨年のボジョレーヌーボー解禁時には、ハーフボトル(375ミリリットル)が数多く市場に出回っていた。

メーカーとしては、大容量の商品を効率よく販売したいところであるが、売り逃しのリスクも大きくなるため、消費者ニーズに合わせる形で小容量化を進める形をとった。また、ここでひとつ課題となるのが価格帯である。小容量に伴って価格を下げることだけが答えではない。価格は据え置きで小容量を打ち出すのも手段であるが、それでは消費者の理解を得るのは難しい。その場合、プレミア感やプラスαのサービスを消費者に感じてもらえる工夫を念頭に置きたい。

また、小容量の商品が流通すると、小売業の棚作りも改善をする必要がある。特に、コンビニは単身者の利用が多いこともあり、小容量の商品に向いた棚作りを早くから強化している。

次の一手は、スーパーは小型店舗の拡充、コンビニは生鮮品の積極販売

もうひとつ、社会構造の変化への対応として、小売業の戦略には次のような変化がみられる。

 ●スーパー:小型店舗の出店を促進
 ●コンビニ:生鮮品を拡充

社会構造で単身世帯が多いことが顕著となり、特に都市部にその色が濃くなる。それを受けてスーパーは「なんでも揃う大型店」一辺倒を脱却しようとしている。小規模の店舗で短時間でほしいものを求める消費者が多くいることに目をつけ、コンビニ程度の広さの小型店舗を相次いで出店している。

一方、コンビニも単身者、共働き世帯や高齢化が進むなかで、消費者が近所で気軽に日々の買い物を済ませられることを目指し、これまで扱わなかった生鮮品の拡充に力を入れはじめている。さらに、スーパーでは主流となっている「顔の見える野菜」といった、食材の安心・安全を訴求するスタイルもみられている。

日々の買い物は「安・近・短」で

これらの動きを見て分かることとして、食品・飲料メーカー、小売業、流通の相互の協力体制により、消費者の日々の買い物について「安・近・短」で答えていく流れがあると考えられる。

 安:安価な商品、安心・安全な商品
 近:自宅から近距離の店舗
 短:短時間の買い物、食材の短期間の使い切り

ビジネスの世界では「需要創造」という視点で、食品・飲料メーカーをはじめ、食に携わるあらゆる業種で、社会環境の変化に合わせて戦略を変えていくことが求められる。さらに、昨今のような社会構造の変化や消費者ニーズの多様化を考えると、ビジネスにおける計画・実行・評価・改善のPDCAサイクル(plan-do-check-act cycle)を速くまわすといった、スピード感も意識したい。


掲載日:2012年7月 3日

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