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シニアビジネスの新潮流「親孝行市場」が浮上

高齢社会への意識が高まるなか、これまでのシニアビジネスに新たな視点が注目されている。従来のシニア向けの商品・サービス展開において、消費対象はシニア自身であったが、最近では「親のことが気になる子ども」の動きが顕著になってきている。

目次

親のことを考える30代半ば~50代前後

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最近、親孝行を考えるような題材の本や商品・サービスが市場で目につくようになった。その代表例として挙げられるのが、発売2カ月で10万部を売り上げた本「親が死ぬまでにしたい55のこと」(親孝行実行委員会/泰文堂)。この本の衝撃的な表紙が印象的である。

「仮に親が現在60歳とすると...20年(親の寿命)×6日間(親に1年間に会う日数)×11時間(親と1日で一緒にいる時間)=1320時間(=55日間)。つまり、あなたが親と一緒に過ごせる時間があと55日間しかないのです!あなたに残されたのはたった55日間。大切なお父さん、お母さんにまず何をしますか?」この本では、限られた時間のなかで親にしてあげたいことがエピソードを交えて紹介されている。

さらに、7月に開催された第3回目となる「オヤノコト・エキスポ2010」(有楽町・国際フォーラム)には、昨年を上回る2万2763人が来場した。これは、「そろそろ親のこと...」を考える高齢の親をもつ子ども世代向けに、最新の高齢者向け商品やサービスを紹介する見本市。住宅設備機器や自動車メーカーをはじめ食品会社など、64社がブースを設置した。

これまでも、シニア向けの商品・サービスは多種多様にあり、企業はシニア自身に向けて営業をかけていたが、最近の傾向として、子ども世代への働きかけの現象が起きてきている。対象として、30代半ば~50代前後と言われている。

シニアビジネス市場=シニアの消費+親のための子どもの消費

日本の高齢化は改めて言うまでもないが、実際の数字で確認してみると、65歳以上の高齢者の割合は現在5人に1人という状態。国立社会保障・人口問題研究所の調べによると、2050年には3人に1人に増加する見通しである。

その結果、シニアの消費が拡大することも言われている。(社)シルバーサービス振興会の資料によると、現在67兆円程度のシニア市場規模は、20年後の2030年には77兆円にまで拡大すると予想されている。

この資料はシニア自身の消費を推計している。そこで、最近の傾向である、シニア向けの商品・サービス展開において、「親のことが気になる子ども」が消費することを勘案すると、よりインパクトがある市場だと言っていいだろう。

では、なぜ子どもの消費が目立ってきたのか。まず社会背景からくる隔たりが前提に考えられる。子どもの進学や独立を機に別々に暮らすことが多くなった現代では、離れて暮らすことで物理的な隔たりばかりではなく、コミュニケーションの希薄さも生んでしまう傾向があった。それを、少しでも縮めたいと考えるようになってきているのではないかと考えている。

グラフ:家計消費に占める60歳以上高齢者消費の割合と60歳以上消費額(≒シルバーサービス市場規模)の推計 出典:(社)シルバーサービス振興会「シルバーサービス振興ビジョン」
グラフ:家計消費に占める60歳以上高齢者消費の割合と60歳以上消費額(≒シルバーサービス市場規模)の推計
出典:(社)シルバーサービス振興会「シルバーサービス振興ビジョン」

情報収集力にたけている子どもの視点

では、実際に「親が気になる子ども」向けにどんなシニアビジネスがあるか紹介する。シニア向けの商品・サービスについて、ここでは消費対象が子どもであるという視点で、ターゲットの入り口としてジャンル分けをしている。

子ども世代は、物やサービスが豊富な時代で、かつITの普及により膨大な情報に溢れた社会で育ったため、情報収集力にたけており、商品やサービスの比較や吟味が得意である。そのため、これからのシニアビジネスのキーポイントのひとつは、この子ども世代に理解されることと言えるのではないだろうか。

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宝の持ち腐れにならない施策が求められる

シニア市場における新たな潮流として、シニアの子ども世代が親のために消費する、「親孝行市場」注目されていることが見えてきた。こういった動きを踏まえると、一見、昨今の閉塞感漂う消費市場の起爆剤となるかのごとくみられるが、当然課題も抱えている。

第一に、シニアビジネス全体に言えることであるが、企業が商品やサービスを市場に投入するについて、企業単体での実施は普及の面で難しいと考えられる。やはり、業界を超えた連携や、地方自治体の協力を得るなどの普及のための施策が必要である。

次に、IT導入によるメリットを活かす一方で、ITリテラシー(情報技術を使いこなす力)の普及に対する多大なる注力が挙げられる。つまり、現在の情報社会においてITの活用は、様々な課題を解決することができ、使いこなせる人口も増加している。そのためITに抵抗がない世代が高齢化することについては、問題はさほど大きくはない。

問題は、現在のITに馴染みのない世代が、新しい商品・サービスに慣れるための、いわゆる「使い方」「考え方」の理解である。「企業が売った、子どもが買った」というだけでは解決しない。普及運動が必須となることは言うまでもない。


掲載日:2011年1月 4日

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