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じわりと市場を拡大しているチルドカップ飲料の可能性をみる!

コンビニエンスストアでよく飲み物を買う人は気づいているかもしれない。そう、冷蔵棚にチルドカップ飲料が豊富なことを。フタのついたプラスチック容器が特徴的で、コーヒー飲料や乳飲料、果汁飲料などがあり、若い女性層を中心に購買が伸びているという。今回は、チルドカップ飲料市場の拡大の理由を探る。

目次

チルドカップ飲料の優位性

ここ数年、コンビニエンスストア(以下、コンビニ)の飲料売場に「チルド飲料」が増えている。チルド飲料とは、製造から流通・販売の過程まで、0度前後のチルド(冷却)状態で管理される加工飲料商品のことをいう。これと異なるものとして、缶やペットボトルタイプの飲料がある。

株式会社日本能率協会総合研究所『2008年チルド飲料の市場分析調査』によると、2007年度のチルド飲料市場は、金額ベースで前年比6.8%増の4887億円規模に拡大した。また、「チルドカップ商品」は二桁増で伸長した。今回はこのチルドカップ商品、つまり、フタのついたプラスチック容器が多く用いられ、添付されているストローで飲むタイプに的を絞ってみていきたい。

では、なぜ今チルドカップ飲料が好まれているのか?人気の秘密は二つある。一つは味。チルドで管理されているため、他のタイプに比べ賞味期限は短いものの、加熱殺菌処理を軽減できるので風味が落ちていないからだ。二つ目に、飲みやすく、スタイリッシュであること。容器に直接口をつけて飲むより、ストローを使用するほうが飲みやすいという女性の声もある。また、コーヒーショップでテイクアウトしたかのような、スタイリッシュな形状も若い層に好まれている。

缶コーヒー以上、プレミアムカフェ以下のポジション

チルドカップ飲料の歴史は、1993年に森永飲料が発売した「マウントレーニアカフェラッテ」が最初で、その後、2005年にスターバックスとサントリーが共同開発した商品などが相次ぎ、注目されるようになった。

ここで、チルドカップ飲料が「新しい市場」といわれる理由を探ってみる。まずは、コンビニにおける形状別の飲料の価格帯をみてみる。従来はペットボトル(500ml/140〜160円)が最も高く、次いで缶(190g/120〜130円)、紙パック(500ml/105円)という順であった。現在発売されているチルドカップ飲料をみると、容量は180〜240ml程度、価格も120〜210円と幅はあるものの、一貫していえるのは、容量に対して比較的高く価格設定されていることだ(図1)。

図1:形状別の飲料の価格帯図1:形状別の飲料の価格帯

次に、チルドカップ飲料のなかでも高いシェアをもつコーヒー飲料に焦点を当て、コーヒーの分野におけるチルドカップコーヒーのポジションをみてみる。図2からわかるように、プレミアム(高級)な品質で、かつコンビニで手軽に買えるという領域がこれまで空いていたのだ。ここにチルドカップコーヒーという新しい市場が見出された。

図2:コーヒー分野におけるポジショニングマップ図2:コーヒー分野におけるポジショニングマップ

コーヒーを好む女性の需要をコンビニで獲得

チルドカップコーヒーは、コーヒーの分野において新しいポジションを確立したことがわかった。さらには、コンビニで購入できるコーヒーはこれまで缶コーヒーだけであったが、チルドカップコーヒーの登場により消費者に新たな選択肢を与えたといえる。これにより、缶コーヒーのもつ男性的なイメージにより目立たなかった、コーヒーを好む女性の潜在的需要を取り込むことに成功していることが、次の調査結果からわかる。

株式会社日本能率協会総合研究所『2009年版「チルドカップコーヒー」に関する調査【女性編】』によると、チルドカップコーヒー購入のメリットについて(複数回答)、「コンビニ等で手軽に買える」(68.3%)がもっとも高い結果となった。次いで「味が美味しい」(55.1%)となり以上2項目が5割超、さらに「冷たいまま飲める」(49.7%)、「ストローが付いていて飲みやすい」(46.7%)、「フタがあること」(35.3%)、「手に届きやすい価格である」(29.3%)、「種類が豊富である」(25.1%)、「新鮮さが保たれている感がある」(19.8%)、「衛生的なこと」(11.4%)と続いている。手軽に購入できることや味、飲みやすいことを約5割の女性が評価している。

チルドカップ飲料を取り巻く環境

チルドカップ飲料は比較的新しい市場であり、まだ飽和化していない点において、今後も期待できる。飲料メーカーの参入とともに、コーヒーチェーン店がメーカーと提携して販売する形態もみられ、競合が出揃ったという感がある。今後の動きとして、各企業からの新商品の投入があげられるだろう。

昨今では、コーヒー飲料や乳飲料といった定番ものの改良のほか、紅茶飲料や健康に良いとされる野菜やフルーツなどを使用したものや、触感を楽しむ「タピオカ」や「ゼリー」を入れたものなどが登場しており、ますます同容器の存在感が増している。

このように、チルドカップ飲料は、消費者の潜在ニーズに応えたことにより、確かな手ごたえを得ているといえよう。この市場の今後の動きに注目したい。


掲載日:2009年12月22日

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