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事業を育てる
消費低迷、不況もなんのその "美ジョガー景気"来たる!

皇居周辺をはじめ都内を走る女性たちが今話題になっている。平日にも関わらず、夕方ともなると続々とランナーが増えていく。そして注目すべきは、そのスタイルだ。みな、スタイリッシュなウェアを身にまとい颯爽と走る。ここに、不景気知らずのビジネスがあった。

目次

一過性で終わらないランニング・ブーム

近年の健康志向を背景にランニングを趣味とする人たちが増えている。第3回東京マラソン(09年3月22日開催)は、第2回大会より定員を5000人多くして3万5000人としたところ、約26万人の応募があり、当日は3万4971人が参加した。この関心の高さはランニング愛好者の人口の増加を意味しているといえよう。そのブームのなか、若い女性のランナーが増加していることに注目したい。

「美ジョガー」という言葉がある。これは、女性ファッション誌「FraU」(09年6月号)から生まれた「美×ジョガー(ジョギングする人)」をもじった造語で、健康的なライフスタイルの一環として、おしゃれにスタイリッシュに走る女性を表している。彼女たちをメインターゲットとした市場開拓に、スポーツ用品各社や様々な業界が躍起になっている。

ランニングウェアが売れに売れている!

不況で消費が低迷しているものの、ランニング・ブームが追い風となり関連市場への影響が期待されている。矢野経済研究所によると、09年のスポーツウェア出荷額は前年比2.9%増の502億9000万円の見込みとなっている。このうち、陸上・ランニングウェア分野だけをみると9.9%増の83億円で推移すると見込まれており、スポーツウェア全体より大きな伸びがみられる。

また、ランニングシューズの出荷額も08年は前年比6.3%増となった。増加の要因は、前述のとおり、アスリートではない一般層の購入が市場を拡大させている。一般層は健康維持と趣味を兼ねたランニングを楽しむため、機能性に加えファッション性を求める傾向があり、市場においては新規参加者の新規需要と既存参加者の買い替え需要が期待されている。
  このランニング愛好者を対象としたビジネスにおいては、ウェアをはじめ様々なものが動きはじめている。そのどれもが現在好調だという。

"共走"がテーマのランニング商品

では、具体的にどんな商品やサービスが登場しているのかをみていきたい。

■ウェア
  アシックスミズノナイキアディダスプーマなど各メーカーでは、機能性とファッション性の追求が進んでいる。女性ファッション誌の掲載がきっかけに品切れになる商品もでるという。また多くの店舗では、特に初心者ランナーへのアドバイスができるよう、ランニング経験豊富な店員が常駐している。

■シューズ
  アシックスストアでは、3次元足型測定サービスを行なっている。これは、立体スキャンで足の長さや甲高の具合など細かく測定できるもので、そのデータを元にオーダー中敷やオーダーシューズを作ることができる。また、既製品を購入する際には、専門知識をもった店員がシューズ選びのアドバイスをしてくれる。

■拠点サービス
  東京麹町のランナーズステーションでは、ランナー専用のシャワーを設置している。例えば、会社帰りにこの施設で着替えて皇居周回路を走り、シャワーを浴びて帰宅することができる。利用料金は、ビジター1回500円、会員は月4回で2000円。ここでは、ランニングをコンセプトとしたイベントやメーカーとのコラボレーションによるモニターなどを実施しており、ランナーの集いの場であり情報交換の場でもある。他にも同様のサービスとして、アシックスは東京に2カ所、ミズノは09年6月より全国の既存店舗の一角に開設している。

■音楽・その他コンテンツ
  ランニング時に音楽を聴くランナーも多く、そのニーズに対応した音楽プレイヤーやその機能を搭載した携帯電話が各メーカーから発売されている。また、走った距離や時間、消費エネルギーなどトレーニングデータの管理などができる、ランナー向けのコンテンツを搭載した携帯電話も出荷台数を伸ばしている。

アディダスジャパンはホームページに「アディダス ランニング共和国」というランナー向けのサイトを運営している。ランニングに関する様々な情報のほか、他人が作成したコースなどを見ることもでき、ランナー同士の情報交換の場として活用されている。

いずれの商品・サービスにおいても、企業が主体となってコミュニティの場を提供し、そこに集う人同士の関わりがポイントといえる。元来、ランニングといえば孤独なスポーツの代名詞であったが、昨今のように趣味としてのランニングにおいては、仲間があってこそ継続性が高まり、楽しみも倍増すると考えられている。つまり、リアルの世界であれバーチャルの世界であれ、「共に走る」という概念が根底にあるのだ。

女性の心理を掴むことが鍵

このように、ランニングに関連するビジネスは好調であり、その市場を牽引しているのが女性たちである。そのため、このビジネスは彼女たちの嗜好にマッチしているかが最大のポイントである。彼女たちが美ジョガーになるべくランニングを始める心境は次のように考えられる。

■タイミング

  • 大人になってからはじめる
  • 周囲の友人やマスコミ、女優・モデルのクチコミの影響を受ける

■他人から見られたい、自分のイメージ

  • 健康的なライフスタイルをもっている
  • 苦労しないでダイエットを成功させている

■本音

  • "ダサイ"のは嫌、おしゃれにエクササイズをしたい
  • 「まずは格好から」、そのための投資は可能
  • 新しいことを始めるにはブームというきっかけ(言い分)が必要
  • はまれば本格的に取り組みたい

現在、都市部を中心に過熱しているランニングに関わるビジネスが、今後は質・量・形を変えて全国的に広がることが考えられる。


掲載日:2009年11月24日

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