事業を育てる

タイムリーで役にたつ、ビジネステーマの核心を取材しました。

農ビジネスの現状−企業参入の現状と支援策

一般企業が農業に参入しやすくなった一番の理由が、05年9月施行の農業経営基盤強化促進法で特定法人貸付事業(農地リース方式)が認められたことである。これを弾みに、参入企業は320を超えている。政府の支援策も強化され、ますます参入しやすくなった。

目次

建設業や食品業の参入が多く、作物は野菜がトップ

従来、企業が農業を始めるためには、農業関係者が中心になった農業生産法人を立ち上げるしかなかった。それが、構造改革特区により2003年4月に一部地域、05年9月から全国どこでも農業に参入することが可能になった。具体的には農地リース方式(囲み参照)でのみ参入が認められているが、08年9月までに320の企業などが農業を始めている。

06年4月に政府が決定した国内農業の体質強化などを図る「21世紀新農政2006」では、10年度までに500社の農業参入を目指しているが、これまでの増加ペースでいけば達成すると予想される。

c7_090918_01.png

参入企業は建設業や食品会社が多く、それぞれの割合は全体の33%、21%となっている。その他の46%のなかには企業のほか、NPO(非営利団体)法人も多く含まれる。建設業が多いのは、不況で公共工事などの仕事が減ったのが原因。食品会社は、農薬の汚染米や汚染野菜、毒入り餃子事件などで食への信頼が損なわれたことから、安心・安全な食材を提供しようと自社栽培に踏み切るケースが多い。農地リース方式で参入し、農業生産法人に移行した企業も7社ほどある。栽培している作物は野菜(39%)が多く、次いで米麦類(18%)、果樹(16%)と続く。米と野菜など、数種類の作物栽培を行なっている企業も20%ある。

参入時に苦労したことのトップは農地の改良。耕作放棄地が多く、土地が荒れているため、栽培に適した農地にするためには時間を要する場所が多い。そのため、初期から黒字を出すのは難しく、3年ほどは赤字覚悟という企業もある。

農地リース方式では、企業と農家の間で市町村(農地保有合理化法人)が仲立ちして、便宜を図ってくれる。また、農林水産省が中心となり、数々の支援策も講じている。その1つが、農業参入を希望する企業に対して全国7カ所で行なっている研修・相談会。農水省の補助事業で研修・相談会を開催している日本アグリビジネスセンターの高砂英郎氏は、農業参入を希望する企業が増えていることに驚く。
 「先日、熊本で研修・相談会を開催したところ、60人の定員に対して100人も集まり、立ち見の人が出たほど盛況でした」
 そのほか、農水省では農地利用の調整、生産技術の支援、施設整備などの支援を行なっている。

08年度からは企業が農地の基盤整備をする際に補助金も出るようになった。これは、農地の土壌改良などに要する費用の半分を負担する制度だ。

c7_090918_02.png

農地リース方式(特定法人貸付事業)
 企業が農地を借りて農業を行なう事業。市町村が耕作放棄地もしくは耕作放棄地になりそうな農地(耕作放棄地に限らない)の中から参入区域を決め、参入企業を募る。希望する企業は、農業経営の内容、用水路の清掃など農業を進めるうえでの役割分担の協定を市町村(農地保有合理化法人)との間で締結。さらに、市町村(農地保有合理化法人)との間でリース契約(3〜5年が多い)を結んだうえで農業を始めることができる。

農地リースについての詳しい情報は、以下のホームページに掲載されている。
http://www.maff.go.jp/hokuriku/keiei/document/sannyu_panf01.pdf


掲載日:2009年9月18日