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世界中に無料の宿泊先 カウチサーフィン

インターネットは、今や、さまざまなコミュニティ作りに欠かせないツールとなっているが、今、最もホットなのはカウチサーフィンだろう。カウチサーフィンとは、ホテルに泊まるお金がなくても、ネットを通して集まった世界中のメンバーが無料で泊まる場所や情報を提供してくれるシステムだ。

目次

異文化体験が大きな魅力

カウチサーフィンは、メンバーになると旅先でほかのメンバーの家やアパートに泊めてもらえるので、低予算で旅、しかも海外旅行ができるのが大きな魅力で、20代の若者を中心に、急速にメンバー数を増やしている。メンバーたちのプロフィールを閲覧すると、数十カ国を旅行し、行く先々でメンバーに宿を提供してもらっているカウチサーファーも少なくない。

だが、ただで泊めてもらうことだけがこのコミュニティに属する魅力ではない。ワシントンDCに住む中年カップルは1年半前にカウチサーフィンのメンバーになって以来、これまでに100人以上の旅行者に宿泊場所を提供してきた。ほとんど毎日のように、世界中からやってきたゲストが2人から4人は家にいる。彼らの目的は、さまざまなバックグラウンドを持つ人たちから直にその文化を学ぶこと。また、「世界中の人たちに、私たちはジョージ・ブッシュとは違うことを知ってほしい」とも。オバマ大統領就任式の日は、14人のゲストを家に迎えた。

泊めてほしいとメールでリクエストが送られてくると、サイトで入念にその人のプロフィールをチェックする。ただ安上がりな旅が目的なだけの若者では、異文化体験の醍醐味を味わえないので、次第にゲストを選ぶようになったという。「今では、カウチサーフィンは私たちのホビーになっている」

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景気が悪くても旅行ができる

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ニューヨークに住む大学教授はワシントンDCに仕事でよく行く。以前はB&B(Bed & Breakfast)を常宿にしていたが、4年間には1泊50ドルだった料金が最近は120ドルにもなってしまった。そんなときにカウチサーフィンを知って利用するようになったという。

また、カウチサーフィンでロシアやポーランドを旅したニューヨークに住む男性は、「ニューヨークは最も人気の高い旅行先のひとつなので、毎日5、6件のメールがある」と話す。これまで40人以上のゲストを泊めたが、不愉快な経験は一度もなかったという。ただ、「プロフィールに英語が話せると書いてあったのに、まったく話せない人もいた」そうだが。

信頼関係の上に成り立つシステム

このシステムは、会ったこともない者同士のお互いの信頼関係の上に成り立っている。ゲストとして迎えてもらうには、自分のプロフィールを充実させ、人の推薦などをもらうことが肝心。それが次の旅行先の宿泊先を確実にする手段となる。アクティブに旅行する若者のプロフィールには、その人物がどのようにナイスだったか、"カウチ"を提供したホストたちの証言がずらりと並ぶ。

また、メールや電話ではなく、直接に会っていい印象を持った相手に対して太鼓判を押すシステムもあり、こうしたポジティブな情報を積み上げることで、カウチサーファーたちは自分のゲストとしての価値を高めて行く。もちろん、最終的には自己責任であることは言うまでもない。

カウチサーファー数は今や99万人。カウチサーフィンは非営利団体で、収入源は寄付とメンバーからのID確認料金。サイトにはサイト経営に関する収支明細が記載されている。


掲載日:2009年5月26日