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事業を育てる
迷惑メールに対する規制が大転換

迷惑メールの取り締まりを強化するため、ある法律が昨年、改正されたのをご存じだろうか。この法律の改正は広告・宣伝メールを送るすべての事業者に影響する。法律に違反した場合、最高3000万円の罰金が科される恐れもあり、「知らなかった」では済まされない。適切な対応を行ない、これからも自社商品・サービスの広告・宣伝に正しくメールを活用していきたい。

目次

迷惑メールによる経済的損害は1兆円以上

法律での迷惑メール規制は2002年からスタートしており、その後も規制強化のために何度か改正されている。しかしご存知のように迷惑メールは増えるばかりだ。

(財)日本データ通信協会が2008年3月に発表した「迷惑メールが日本経済に及ぼす影響の調査」の結果によると、迷惑メールによって日本は1兆円を上回る経済的損害を受けている。「労働時間損失による経済的損失」が7300億円、「迷惑メール対策等」にもプロバイダー、企業・行政機関、個人を合わせて969億円ものコストがかかっていると推計される。この他に消費者への被害(迷惑メールの削除に伴う時間的損失など)もあるため、迷惑メールによる経済的影響の大きさは計り知れない。

"事前に同意を得なければ違法" 改正迷惑メール法が施行

迷惑メール規制を強化するために昨年12月1日に改正法が施行されたのが、総務省の「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(迷惑メール法)」と経済産業省の「特定商取引に関する法律(特商法)」の2つの法律だ。前者は広告メールを送る側、後者は広告メールを使う通信販売業者などを規制する法律となっている。

迷惑メール対策の法律

今回の法改正の最も大きな点は、オプトイン規制の導入だ。これまでは「広告メールを送らないで欲しい」と意思表示した消費者に再度メール送信することを禁止(オプトアウト規制)していた。また、消費者の承諾を取らずに送る広告メールでも件名欄に「未承諾広告※」と記載するなど、一定の条件を満たせば、広告メールを送ることが認められていた。

しかし、改正後は電子メール広告を送る際にはあらかじめ消費者から「送信して欲しい」「送信してもよい」という請求や承諾を得ることが義務付けられ、消費者の"請求や許諾"を得ていない広告メールの送信は原則禁止される(オプトイン規制)。オプトイン規制では、消費者の同意を得ていない広告メールをすべて迷惑メールとみなし、事前承諾なしに広告メールを送ること自体が違法となったのである。

今後、事業者はユーザーが申し込んだ広告・宣伝メールだけしか送信できなくなる。同意を得た場合であっても、必ずメール内に受信拒否の方法を明示し、拒否の申請を受けたときは速やかに送信を停止しなければならない。


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罰金は最高100万円から3000万円に

迷惑メール法の改正では、罰則についても大幅に強化されている。これまで同法に違反した場合の罰則は法人・個人ともに「100万円以下の罰金または1年以下の懲役」だったため、同法の効果を疑問視する声もあった。そこで、法律の実効性を強化するため、改正法では違反した業者への罰金は、従来の最高100万円から3000万円へと30倍も引き上げられたのである。

また、行政には広告主やメール送信事業者だけでなく、広告主の依頼によってメール送信事業者にメールアドレスを伝える「電子メール広告受託事業者」にも立ち入り検査が可能な調査権が新たに加わり、違反事例に対して業務改善指示や業務停止命令を出せるようになった。

メール広告送信にも事前承認が不可欠

前述したように、迷惑メール法だけでなく、経済産業省が管轄する「特定商取引に関する法律(特商法)」も昨年12月に改正法が施行されている。

特商法は、訪問販売など消費者トラブルが生じやすい特定の取引を対象にトラブル防止のためのルールを定め、事業者による不公正な勧誘行為などを取り締まるための法律である。迷惑メールに特化した法律ではないが、迷惑メールを「通信販売の広告」ととらえており、これを規制するルールを設けている。

この改正特商法でも、メール広告を従来のオプトアウトからオプトインで規制することとなった。特に通信販売業者のオプトイン違反については、行政命令を経ずに罰せられるようになり、抑止効果が期待されている。

法改正にどのように対応したらいいのか

迷惑メール法の改正は、広告・宣伝メールを送るすべての事業者に関係し、個人でも、事業としてメールを送る場合は対象となる。法改正の前から"請求や許諾"を得て広告・宣伝メール送信を行なっている事業者の方であっても、今後は加えてどのようにメールアドレスのリストを収集したのかという記録、さらに、メール送信の許諾を確かに得たという記録を保存することも必要となる。具体的には、同意を取得しているメールアドレスと、ウェブサイトから同意の取得を行なう場合は同意時のウェブサイトの画面構成の記録の保存が必要だ。

また、メール送信に対する同意を取得する際には、「同意の結果、広告・宣伝メールが送信されることが容易に分かるようにする」「送信者が誰であるかが分かるようにする」ことが求められているなど、さまざまな規制がかかるようになっている。

具体的な対応等については、財団法人インターネット協会が「改正迷惑メール対策法に関するQ&A」を公開しているので、これを参考にするとよいのではないだろうか。

法改正による企業側のメリットとデメリット

今回の迷惑メール法の改正により、会員登録フォームや申込みフォーム、利用規約などといった自社のウェブサイトの内容変更や、社内教育の徹底、また、消費者の同意を得ていない場合は配信してもよいかを改めて確認する作業などが発生する。さらにメール配信が可能な母数および、新規獲得のペースも落ち込むことが予想される。これまでメールを活用して販促・営業を行なってきた企業にとっては今回の法改正はデメリットばかりではないかと思うかもしれない。

しかし、あらかじめ消費者からメール配信に対する同意を得るということは、考え方を変えれば、本当にその情報が欲しい人のみからアドレスを獲得できるということである。これは配信リスト自体が質の高いものになるということであり、手当たり次第に配信していたこれまでよりも、反応率が向上することが期待できる。

また、受信者側は手元に届くメールは自分で請求(選択)をしているため、受信ボックスに届いたメールは自分に必要なメールだと判断することが容易になる。つまり、メールが届きさえすれば内容を読んでいただける可能性はこれまでより高くなるのである。

これまでは開封率を上げるためにメールの件名について工夫をしてきた企業が多いと思うが、今後、消費者から「是非メールを届けて欲しい」と思わせるためには、配信するメールの内容を更に魅力的なものにしていかなければならないだろう。


掲載日:2009年4月28日

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