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事業を育てる
開放された54兆円の保険マーケット
保険業法の改正で54兆円のマーケットが開放された。規制緩和は中小企業にとってビジネスチャンスだが、競争力を発揮できるビジネスモデルを確立しなけば見す見すチャンスを逃してしまう。保険の場合、問われるのは売り方である。そのヒントをお伝えしよう。

目次

保険業法の改正で54兆円のマーケットが開放

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規制緩和によってマーケットが開放されることはビジネスチャンスであることには違いないが、参入企業がたくさん出てくる。中小企業にとって、参入する以上は、数百万円の利益水準ではビジネスチャンスとはいえないだろう。数千万〜数億円の利益があるものがビジネスチャンスといえるのだ。そういうビジネスチャンスを手にできるかという視点で規制緩和をみていくべきだ。

本稿では、規制緩和で中小企業が狙うべきマーケットとして保険マーケットを取りあげよう。保険マーケットのサイズは生損保の合計収入保険料が54.5兆円で、GDPの約10%。(2006年度3月期の全保険会社の開示資料をもとに株式会社リンク・トラストが集計)。勤労者世帯の全国平均で月額3万8600円(貯蓄性の保険掛金と非貯蓄性の保険料の合計)の支出になっている(平成18年度 総務省統計局「家計調査」)。

保険マーケットのどこにビジネスチャンスがあるのだろうか。いま、このマーケットでは規制緩和で製販分離が行なわれようとしている。1996年に保険業法が改正されて新しい保険会社の新規参入が認可され、保険商品の多様化・保険料が自由化された。

その結果、ネット販売や通信販売、保険ショップなど保険流通が変化した。2007年には銀行の窓口販売が全面解禁となった。巨大なマーケットが開放されたのだ。従来、保険会社60社のみが、この54兆円というマーケットを分割してきた。たとえばA生命の商品はA生命の営業マンが販売してきた。

株式上場した保険ショップも登場

損害保険も生命保険も、ひとつの店舗はひとつのメーカー(保険会社)の系列下にあったので、顧客が営業を受ける場合、基本的にひとりの営業マンからはひとつの会社の商品しか提案を受けなかった。それがいまでは、乗り合い代理店ができて、複数の保険会社の商品を扱って売る形態になってきた。

自由化によるビジネスチャンスをものにして、保険ショップで株式上場を果たした企業も誕生した。1995年に設立されたアドバンスクリエイトで、同社は「保険市場」という保険ショップを全国展開し、2002年にナスダックジャパン(現ヘラクレス)へ上場した。

今後、生命保険販売会社がいくつも登場してくるだろうが、このビジネスでは決定的なノウハウが確立されていない。誰もがいくつもの生命保険を購入しているマーケットで、どの保険代理店も系列保険会社の商品の単品販売しか経験していない。競争力を決定する要素を誰もつかんでいない。どこにも優位性が確立されていないのである。

この状況にあって問われるのは、売り方である。保険流通の変化によって、顧客の意識に変化が生じてきたのだ。たとえば――、

「死亡時だけではなく、長生きした時にも備えたい」

「同じ商品でも保険会社によって保険料に違いがある」

「勧められた商品に加入するのではなく、自分で商品を選びたい」

「いま加入している保険を見直して、保険料を安くしたい」

「保険代理店」と「購買代理店」の決定的な違い

顧客の意識は「担当者任せの保険選び」から、「自分で考え、自分で保険を選ぶ」へと大きく変化しはじめている。しかし、多くの保険ショップは「保険会社のための保険代理店」であり、保険会社の商品を並べて顧客に選んでもらっているのが現状である。いま求められているのは、顧客に代わって保険を買ってあげる「購買代理店」なのだ。

顧客は「セールス」を望んでいない。「相談窓口」、つまり自分に代わって探し、いっしょに保険を考え、作ってくれる人を求めている。これが購買代理というスタイルである。顧客のニーズを満たすには、購買代理店としての立場を確立しなければならないといえるだろう。

さらに販売代理店には、以下の課題がある。

  • スタッフのスキル、サービス内容のばらつき
  • 属人的な営業スタイル
  • 特定の保険会社に偏った販売形態
  • フォロー体制がしっかりと構築されていない

つまり、既存の流通形態(保険会社→保険代理店→顧客)と実態は変わっていない。巨大な成長マーケットだが、勝てるノウハウがなければ他社と差別化できない。販売代理店に対して、「顧客⇔購買代理店→保険会社」という販売チャネルを構築した購買代理店には、以下の優位性がある。

  • 確かな仕組みによって顧客をフォローする
  • 本当に顧客にとって最適な保険をお選びする
  • 顧客のライフプランに合わせて保険をメンテナンスし、長期的にお付き合いする
  • 確かな人財育成と組織力でショップ運営を支援する

この優位性をどう具現化するか。ここに、保険マーケットの自由化にビジネスチャンスを見出す鍵がある。


掲載日:2008年10月 2日

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