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信用調査機関が調査方法を大公開!

信用調査機関には、創業間もない会社を調べてほしいという依頼が増えている。経済産業省の統計によれば、創業後5年間の創業期をいかに耐えるかが、事業継続の課題と言える。創業期を乗り切れる会社の条件は何だろうか。東京商工リサーチの調査分析方法を公開!(東京商工リサーチ 情報部)

目次

創業期の会社に対する調査依頼が増加

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日本の中小企業には「経営革新」と「新しい企業の誕生」が期待されている。日本経済を蘇らせるためには国内企業の大半を占める中小企業が活性化することが不可欠であり、経営力を備えるための革新と起業が増えなければならない。

こうした背景から2003年2月に「最低資本金規制特例制度」が施行され、2006年5月には新会社法施行による資本金1円の起業が可能になるなどチャンスが広がっている。

しかし、起業が容易になった一方で、創業間もない会社が倒産する事例も多く見られる。信用調査会社への調査にも創業間もない会社の経営状況を調べてほしいという依頼が増えている。創業間もない会社は、人事面、営業面、資金面でも脆弱な会社が多く、越えなければならない課題が多い。信用調査会社の調査員はそれぞれのポイントを冷静に判断し、評価することが求められている。

データによると創業間もない会社は、生存率が低いという傾向が出ている。2006年中小企業白書「事業所経過年数別生存率」(経済産業省「工業統計表」再加工)によると、創業1〜2年では会社の2割近くが脱落し、生存率は創業後3〜4年で安定してくる。そして安定した後は、前年比93%程度の水準で生存率が保たれている。

個人事業者では創業直後の生存率は会社に比べて低く、安定に5〜7年と長い期間を要する。生存率も前年比80%台後半で、会社よりは恒常的に低い。つまり、組織力を発揮しやすい会社(法人)のほうが安定までに至る期間は早いが、いずれにしても創業後5年間の創業期をいかに耐えるかが、事業継続の課題である。「創業間もない会社の事業リスクは高い」。新興会社の関係者は必要以上に気を引き締めなければならない。

「社長の力」と「組織の力」を見極める

信用調査マンが新規調査として創業間もない会社に訪問する機会は多い。起業から営業活動が本格化し、新たな取引先を獲得する過程では、取引相手先企業も取引与信を計り、社内稟議を得るためにも調査レポートを添付する必要性があるからである。このため創業会社についても信用調査によって会社の信用を裏付けてもらうことになる。

こうした機会に創業間もない社長に取材していると一定のタイプに出会うことが多い。まず将来に大きな夢を抱えているため、それが空想めいた話に展開する「空想家タイプ」である。このタイプは調査で面談しても、将来の夢、事業展開の理想論を延々と聞かされ、肝心な事業状況についてはあまり話をしてくれない社長が多い。えてして将来の夢ばかりを追いすぎて、足元の経営に目を向けず、失敗することが多いのもこのタイプである。

次に、「自信家タイプ」。このタイプは技術畑から独立した社長に多く、前の職場で開発・取得した技術に自信が強く、ワンマン経営に走りやすい傾向をもつ。「技術は自分の力」として自分の力を会社の力と勘違いして、会社の組織力を円滑に発揮できない欠点もある。自信家ゆえに調査に対しても閉鎖的な面が多く、経営では社長に付いている番頭格の人の実力を見ることが1つのポイントともなってくる。

調査マンには、各タイプにおいてもその会社をバランスよく判断することが求められ、特に創業間もない会社については「社長の力」と「組織の力」を冷静に見極めることが大切になる。つまり「社長の力」もさることながら、その会社の社長の力を将来も存続が可能な「組織の力」に転換する力を備えているかを見なければならない。

たとえば、「社長の顔で得意先を開拓してきたが、無理な開拓で不良債権を発生させないか」、「前職からの関係で得意先を引き継いだが、売掛金の回収において不利な条件の契約をしていないか」など、経営管理を行う間接部門も会社判断のうえでは重要なポイントとなる。

創業1年生の会社でも取引先からすれば、1つの会社に変わりない。約束通りの支払いができないようでは取り引きも打ち切られる。そこに1年生会社としてのハンディを持ち込むことはできないのである。調査マンは、この辺にチェックを入れているのである。

創業期にポイントを稼ぐには、経営者能力や成長性が鍵

調査を受ける方としても、自分の会社をどのように評価しているのか気になるものである。信用調査会社の評価はどのように行われているかを紹介する。原則的には大手民間信用調査会社の評価は100点を満点として点数で評価する。

高得点であればそれに越したことはないが、実際に80点以上の高得点が付けられることは超優良企業でもほとんどない。日本の企業の平均点は50点が目安で、これを何点上回ったか下回ったかで、その会社の安定度・信用度などを総合的に判断することとなる。ちなみに倒産する会社は、49点以下の評点から出る確率が83%となっている。

この点数の付け方は、項目別に「積み上げ方式」で採点を行っている。各項目の基準に基づいて加減により評価する。これは各調査員の恣意性の介入を極力排除しようとするもので、調査の感情的主観を持ち込まないようにしている。

東京商工リサーチの調査報告書の評点欄は大きく4つに分かれている。「経営能力(20点)、成長性(25点)、安定性(45点)、公開性・総合世評(10点)」。この4項目について評価基準ごと積み上げ、総合点を付けることになる(表参照)。

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このうち、特に配点の高い安定性、成長性については決算書に基づく財務・収益力という主に定量要因が判断され、その他の項目については資産担保力や業歴、商品市場性、取引先評判などの定性要因を基に判断することとなる。

以上から言えることは、創業間もない会社は業歴、資金力、商品市場性では、業歴が長い会社に比べて、評価ポイントを得にくい。創業間もない会社がポイントを稼ぐためには、経営者能力や成長性で高い評価を獲得することである。

経営者能力は「経営姿勢」、成長性では「利益伸長性」などを要素とする。つまり、経営者は数字面を含めた経営的感覚をもっているか。組織的管理のもとに利益を順調に伸ばしているか。こうした企業としての当たり前のことを新興企業は求められているのである。

「社長の力」と「組織の力」。創業期の会社は社員一丸となって着実に利益を伸ばせる体質をいかにつくるかが課題となる。


掲載日:2008年9月16日

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