闘いつづける経営者たち

企業の成長には、独自の理念や戦略がある。成功後もさらに闘いをつづける経営者たちに聞く、企業成成長ストーリー。

株式会社つ・い・つ・い【遠藤 貴子】

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ep-fight-060-3.jpg 2008年にネット通販で起業し、2010年からはリアル店舗の展開が加速する。アークヒルズ(東京・赤坂)で週1回開かれる定期市「ヒルズマルシェ」に続き、2011年2月に六本木ヒルズのワゴンショップ(期間限定)に出店、さらに2012年11月には北千住ルミネに念願の常設店を開設した。

 その間、大手百貨店や東京駅構内(エキュート東京)など商業施設での催事展開のほか、法人向け贈答、明治記念館や八芳園などでの婚礼引き菓子、外資系ホテルへの卸、と一途にビジネスの幅を広げた。
 いまではネット販売以外の売上げが大部分を占め、ネットの比重は1~2割程度にすぎない。中でも大きな比重を占めるのは、大手総合商社や東証一部上場企業などの法人需要で、その売上げが全体の4~5割を占めるまでになっている。

パッケージづくりでは宇宙服をデザインしたデザイナーを起用

 商品開発にとことんこだわった高級あられが市場ニーズを見事につかんだことを物語るが、そのこだわりはパッケージデザインにも及んでいる。最初の1年は日本人によるデザインだったが、2年目からはフランス人の夫の紹介で知り合ったフィンランド人のデザイナーに任せた。

 日本文化に魅せられて15年ほど前から京都に住み、現在は大阪在住、家紋の研究にも取り組むフィンランド人。これまでNASA(米国航空宇宙局)の宇宙服やフィンランド航空機の内装デザインなどを手がけた実績はあるものの、食品パッケージのデザインは初めてだった。しかし、いろいろと話しているうちに日本文化に造詣が深く、菓子のデザインにも興味があることがわかってきた。遠藤貴子社長としても将来的なターゲットとして海外市場も視界にとらえていたため、「海外目線もいいかな」とあえて任せてみた。
 そしてこれがもののみごとに奏功する。顧客の反応は上々で、「上品で非常にいい。日本人の発想を超えている」との好評も得た。

ダサいなあ、あられやせんべいなんて

 夫とは起業して1年目くらいに知り合った。しょっぱなに「どんな仕事をしているの?」と聞かれ、「あられやおせんべいのビジネスをしている」と言った途端にバカにされた。
 「ダサいなあ。あられやせんべいなんて、臭くて茶色くて、あんなもの世界に受け容れられるわけないよ」
 カチンときた遠藤社長、「何が臭いの? どういうお菓子なら食べたいの?」

 しかし、なにが幸いするかわからない。このやりとりで引き出した答えがその後の商品開発を大きく左右する。当初からの定番商品である黒豆あられやイカ味のあられなどに加え、いまではデンマーク産カマンベールチーズやイタリア産モツァレラチーズなどをまぶしたあられ、香辛料オレガノを入れたあられなどを多彩にラインナップ(全18種)し、ファンを広げている。
 「ちょっと切り口を変えたら幅広い年齢層や世界でも十分に受け容れられる商品が開発できるという確信が自分の中に生まれてきています」と遠藤社長。
 ワインとカマンベールチーズのあられはよく合い、フランスでもいまや「本家本元のチーズより美味しい」と絶賛される。日本にオフィスを構えてIT関連ビジネスを展開する夫は、オフィス用に段ボール買いするまでになった。

遠藤貴子 プロフィール(えんどう・たかこ)

1979年兵庫県芦屋市生まれ。恵泉女学園大学を卒業後、銀行、不動産会社などの勤務を経て2008年に株式会社つ・い・つ・いを創業。「ついつい手にとって食べてしまう、ちょっと贅沢なあられ」を商品コンセプトに、ルミネ北千住を中心とした店舗とウェブサイトのオンラインショップで販売する。アメリカ、フランス、マレーシアなど海外への販売も好調。2013年に「日経ウーマンオブザイヤー2013キャリアクリエイト部門」受賞、2014年には在日米国大使館から起業家を顕彰する第4回日本起業家賞の特別賞を受賞した。

企業データ

株式会社つ・い・つ・い

東京都港区南青山2-2-15-1317
資本金:500万円
売上高:5000万円

掲載日:2014年5月 1日