闘いつづける経営者たち

企業の成長には、独自の理念や戦略がある。成功後もさらに闘いをつづける経営者たちに聞く、企業成成長ストーリー。

株式会社つ・い・つ・い【遠藤 貴子】

目次

 社名の「つ・い・つ・い」は、「ついつい食べちゃうほど美味しく、ついつい微笑みがこぼれる」にちなむ。そしてこの「つ・い・つ・い」につながる顧客満足度を実現するためには、商品開発からパッケージにいたるまで徹頭徹尾こだわりを貫く。

 「最初はそれはもう大変でした。新潟県の米菓メーカーに製造委託しているのですが、オリジナルな味の商品企画を職人さんにもっていっても、口もきいてもらえませんでした」
 遠藤貴子社長はそれでも妥協を許さず、自身を叱咤激励、再三にわたり粘り強く頼み込んで信念を貫いてきた。

原料コストが割高になっても...

ep-fight-060-2.jpg 原料のもち米は「わたぼうし」。甘みがあって虫がつきやすく、栽培が難しい高級品種だ。遠藤社長はそれを減農薬で栽培する新潟県の契約農家から全量買い付けている。米菓原料の常識とされるクズ米や輸入米はいっさい使っておらず、そのため同社のあられは、コンビニや量販店で販売している大手米菓メーカーの商品に比べ3倍ほど原料コストが割高になっている。

 合成保存料や着色剤、人工甘味料などももちろんいっさい使っていない。丁寧につくりあげられた商品は、遮光性樹脂フィルムの小袋に入れている。せっかく丁寧につくりあげた商品が光を受けて風味を失わないためだ。

断られるのは不動産営業で慣れていました

 米菓類の袋には通常、あられやせんべいなどといっしょに乾燥剤のシリカゲルなどが入っていて、その小袋に「これは食べられません」と表示されている。遠藤社長は「食品の中に食べられないものが入っていることに違和感があった」ので、乾燥剤をやめて袋に窒素を充填することによって品質劣化を防ぐ方法を採った。

 包装を引き受けてくれる会社を探すのもひと苦労だった。ウェブで100社ほどを探し出し、うち20~30社に電話をかけまくって交渉する。が、そんな包装はやっていないとか、小ロットすぎて割が合わないなどとことごとく断られる。
 「断られるのは不動産営業で慣れていましたので、あ、またかって感じでどんどん電話をかけ続けました」

 ようやく愛知県の包装会社と契約が成立。創業以来、パッケージングはずっとこの会社に委託してきたが、販売量がどんどん増えるにつれその能力が限界に達し、商品供給がついに追いつかないまでになった。
 新潟の製造委託先が数千万円の包装設備を導入してくれることになり、2014年4月からは製造から包装、発送の一貫体制で新たな展開が始まる。

遠藤貴子 プロフィール(えんどう・たかこ)

1979年兵庫県芦屋市生まれ。恵泉女学園大学を卒業後、銀行、不動産会社などの勤務を経て2008年に株式会社つ・い・つ・いを創業。「ついつい手にとって食べてしまう、ちょっと贅沢なあられ」を商品コンセプトに、ルミネ北千住を中心とした店舗とウェブサイトのオンラインショップで販売する。アメリカ、フランス、マレーシアなど海外への販売も好調。2013年に「日経ウーマンオブザイヤー2013キャリアクリエイト部門」受賞、2014年には在日米国大使館から起業家を顕彰する第4回日本起業家賞の特別賞を受賞した。

企業データ

株式会社つ・い・つ・い

東京都港区南青山2-2-15-1317
資本金:500万円
売上高:5000万円

掲載日:2014年4月30日