闘いつづける経営者たち

企業の成長には、独自の理念や戦略がある。成功後もさらに闘いをつづける経営者たちに聞く、企業成成長ストーリー。

株式会社つ・い・つ・い【遠藤 貴子】

目次

 高級あられの企画・販売会社「つ・い・つ・い」の遠藤貴子社長が起業したのは、ひょんなキッカケだった。特別のあられ好きだったわけでもなければ、あられ事業で一旗揚げようという起業家精神に突き動かされたわけでもなく、それはちょっとした「偶然」にすぎなかった。

 恵泉女学園大学を卒業後、銀行に入行したものの「他人の小切手を数えるために生まれてきたんじゃない」と1年ほどで辞め、不動産会社に転職。その不動産会社のオフィスで到来物のあられを食べたことが、その後の遠藤さんの人生を変える。

とにかく美味しかった、ついつい手が伸びた

 食べたあられは、無類に美味しかった。ついつい手が伸びる。友人に聞くと、せっかく美味しいあられをつくっているのに、その会社は経営が左前でいまにもつぶれそうとのこと。そこで遠藤さん、「それじゃ、インターネットで販売してみてもいいですか」とあられ会社に申し出た。遠藤さんには大学時代に洋服のネット販売で粗利4割をあげた経験と実績があり、こんなに美味しいあられなのだから、ネットで販売すれば少しくらい役に立てるのではという自信があった。

 ところが、そうこうするうちに勤務先の不動産会社が倒産してしまう。また就職活動するのも煩わしいなと思い、それならいっそのこと独立しようと決断。2008年10月に「株式会社つ・い・つ・い」を資本金20万円で設立し、翌2009年から本格的にあられの企画・販売に乗り出した。

あられを売る、そんなに甘くなかった

ep-fight-060-1.jpg 商品開発からパッケージができるまで、そのストーリーをツイッター、フェイスブックなどで毎日発信した。創業時はネット通販に限定。2010年4月にホームページを開設したときには4000人ものフォロワーがいて、その人たちが顧客になり、初日に10万円を売り上げ順調なスタートを切った。

 が、事業となるとそうとんとん拍子にはいかない。
 「甘くはなかったですね。洋服はそれなりに自信があったのですが、洋服と食品では売り方がまったく違う。スタートしたばかりで広告宣伝はかけられません。集客が難しいうえ、リピート客もつかみにくい。洋服みたいに粗利は取れないし、たちまち行き詰まってしまいました」
 満を持してリアル店舗に乗り出す。その第1号として同年7月、東京・赤坂のアークヒルズマルシェ(毎週1回の朝市)に出店。それを機にネットとリアルの両建てで事業の軌道化への道をたぐりよせていく。

遠藤貴子 プロフィール(えんどう・たかこ)

1979年兵庫県芦屋市生まれ。恵泉女学園大学を卒業後、銀行、不動産会社などの勤務を経て2008年に株式会社つ・い・つ・いを創業。「ついつい手にとって食べてしまう、ちょっと贅沢なあられ」を商品コンセプトに、ルミネ北千住を中心とした店舗とウェブサイトのオンラインショップで販売する。アメリカ、フランス、マレーシアなど海外への販売も好調。2013年に「日経ウーマンオブザイヤー2013キャリアクリエイト部門」受賞、2014年には在日米国大使館から起業家を顕彰する第4回日本起業家賞の特別賞を受賞した。

企業データ

株式会社つ・い・つ・い

東京都港区南青山2-2-15-1317
資本金:500万円
売上高:5000万円

掲載日:2014年4月28日