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闘いつづける経営者たち
株式会社ハー・ストーリィ【日野 佳恵子】

目次

 順風満帆の歳月が5年ほど続く。大小合わせて約350社のクライアントを抱え、2004年には東京支社を開設、会員数10万人、売上高8億円規模へと成長し、外部資本も受け容れ、株式上場の話が持ち込まれるほどの勢いだった。
 が、好事魔多しの例え通り、2008年にリーマンショックが襲いかかると、ナショナルブランド志向を強めていた経営が裏目に出る。売上げのほぼ7割を依存していた大手自動車メーカーから突如、取引の8割カットを通告される。
 「売上げの7割を特定の1社に依存するなんて無謀もいいところで、経営の常識からいえばあり得ないことなのですが、いい気になりすぎていたんです。目の前が真っ暗になりました。その頃従業員は70人くらい抱えていました。2008年11月には8000万円の赤字、12月は経費を大幅削減しても5000万円の赤字。たちまち1億円が消え、債務超過です。しかも回復の見通しはまったく立ちません。経営者が自殺するのって、こういう時なのだなと思いました」(日野佳恵子社長)

 幸運にも広島という地方都市で女性が活躍する会社の成長を見てくれていたいくつかの地方銀行から融資を受けて窮地を脱する。必然的に事業は大幅縮小した。経営のパートナーとして行動をともにしてきた佐藤緑さんは2009年に別会社「ハー・ストーリィプラス」を設立して分離独立。日野社長が本体の「ハー・ストーリィ」を東京に移転、東京支社の営業部員十数人を核に事業を再開した。

女性の特性をマーケティングする専門コンサルへ特化する

ep-fight-054-4.jpg ところが2011年、東日本大震災で業績を悪化させたクライアント企業がマーケティング予算を絞り込み、そのあおりを受ける。現在の年商は2億円。ピーク時の4分の1とはなったが、その間に選択と集中を進め、得意分野を特化させることにつなげた。

 その1つとしてwebサイトアンケート「集まれご意見ネット」を進化させ、ID・パスワードを持つクライアントが登録者に直接、自由にアンケート配信できるサービス「暮らしの根っこ」へと変えた。さらに「暮らしの根っこ」は定額で使い放題というコストパフォーマンスのよさが業界をも驚かせた。まさに人員減という厳況がその発想を生み出した画期的なビジネスモデルだった。
 ただし、「暮らしの根っこ」の登録者に専業主婦層が多かったため、同社の将来ビジョンに照らし合わせた結果、ネット上で主婦在宅ワークマッチングサービスを展開する「うるる」に2014年2月27日に譲渡した。高度化するネット社会でシステムを運営するには年ごとにリスクが高まり、さらには専業主婦より働く女性のほうが多い社会となったことから、ハー・ストーリィはうるる社とパートナーシップ契約を結び、それまで蓄積した女性視点のマーケティング業に特化する決断をした。

 現在、ハー・ストーリィは、女性のライフステージ、ライフスタイル別にSNSで多数のコミュニティを運営し、クライアントのニーズに合わせて購買行動調査からプロモーションに至るまでコンサルティングすることで、ネットワーク社会の進化に伴って激変するマーケティング環境への対応をみせている。創業25年、ハー・ストーリィは「女性特性マーケティング」専門コンサルティング会社として発信を強化する。

日野佳恵子 プロフィール(ひの・かえこ)

1962年生まれ。広告代理店勤務を経て1990年に広島市で有限会社ハー・ストーリィを創業。主婦をターゲットとしたマーケティング・コンサルティング事業を立ち上げ、2000年にwebサイトでの会員登録制を実施したことで会員数が急増し、同年、株式会社に組織変更する。会員組織は10万人規模に成長したが、その原動力となったwebアンケートサイトは売却し、現在はSNSに女性視点のコミュニティを複数設け、現在のネット社会に即応したビジネスモデルで女性の購買心理・行動を企業にコンサルティングする。

企業データ

株式会社ハー・ストーリィ

東京都港区六本木5-11-25 鳥居坂アネックス5F
事業概要:コンサルティング
資本金:7960万円
売上高:2億円

掲載日:2014年3月27日

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