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闘いつづける経営者たち
株式会社ユーシン【田邊 耕二】

目次

 海外での事業拡大を進めるユーシンだが、それだけでは国内自動車業界の変化は乗り切れない。国内需要が縮小する中、必要な機能を国内に残しながら小さな市場でも損を出さない形に収める必要がある。田邊耕二会長兼社長は数年前から「国内の従業員は半分以下になる」と明言。12年12月に広島県呉市に新マザー工場を完成させたことを皮切りに、大胆な国内改革に舵を切る。

「大失業時代」を予測

ep-fight-048-3.jpg 新マザー工場の完成の後、国内生産は大きく変わる。同工場は主に開発と量産が安定化するまでの初期流動の役割を担い、量産品は順次海外工場に移管する。このため「国内生産は激減する。従来の3割程度になるだろう」(田邊会長兼社長)。生産集約と並行するように、国内の従業員数も大幅に減っていくとしている。早くから言葉に出すことで、労働組合とも交渉を重ねているという。

 東日本大震災の影響から生産を回復させ、2012年の国内生産は994万台(前年比18.4%増)となった自動車業界。だが、「日本はそのうち大失業時代が来る」(同)と予測する。実際にソニーやパナソニックなど電機大手がリストラを打ち出しており、自動車業界でもホンダ系足回り部品のエフテックが早期退職の募集を始めた。エフテックの13年3月期連結売上高は増加を見込むが、国内の個別売上高は完成車輸出の減少などで国内生産付加価値の減少が続くため同14.7%減を予想しているという。

 国内サプライチェーンのために必要な生産規模として、トヨタ自動車は年300万台、日産自動車とホンダはそれぞれ100万台を維持すると公言するが、内訳は価格の安い軽自動車や少量多品種生産にシフトする。部品メーカーは収益をとりにくくなっており、今後も構造改革に着手する企業は少なくないだろう。田邊会長兼社長の言う"大失業時代"はかなり厳しい表現だが、全くありえない未来ではないというわけだ。

メキシコ、ロシア、中国に投資

ep-fight-048-4.jpg また、人員が減少すると技能伝承などが課題となってくるが、「拠点集約により技術者間のコミュニケーションを密接にし、必要な技術を伝承していきたい」(同)。そして「日本人従業員は語学力か、高い生産技術を備えてほしい」(同)と期待する。

 国内が縮小する一方、海外ではM&Aに加え単独投資での事業拡大を進める。メキシコでは今春、新工場が稼働する。閉鎖する米国工場からの移管に加え、欧州メーカーなどから受注が決まった。ロシアでは極東に新工場を設置し、ヴァレオの拠点と合わせて東西ロシアをカバーする。

ep-fight-048-5.jpg 海外は日本に比べ大幅に人件費が安いことが魅力だが、新工場ではそれだけに頼らない生産体制を整備する。中国では今春、子会社の有信制造(中山)が広東省中山市に建屋面積で現工場の約3倍の新工場を建設中。完成後は現工場から生産機能を移管し、主力のキーセットを中心に全製品を生産する。中国国内向けと海外向け、高価格帯の車と低価格帯の車などの層別の生産体制をとり、現地完成車メーカーのコストダウン要求に応えられる生産体制とする。現地化によるコスト削減効果以外で30%のコスト削減を図る。

田邊耕二 プロフィール(たなべ・こうじ)

1934年(昭9)生まれ。東京都出身。56年に青山学院大学経済学部を卒業し日野自動車に入社。61年に退社し同年4月にユーシン入社、65年2月同社取締役に就任。以後、76年2月に同社代表取締役専務、78年2月より代表取締役社長を務める。06年7月に最高顧問に就任も、08年2月に代表取締役社長に復帰。11年8月より代表取締役会長兼社長。独自の理論に基づいた合理的な経営を追求し、実践してきた。「すべてを自分で行うのではなく、経営は人をどれだけうまく使うかが重要だ」と話す。最近では自らの経営の視点をまとめた書籍「超合理化経営」(幻冬舎)を執筆。

企業データ

株式会社ユーシン

東京都港区芝大門1-1-30
03-5401-4670
事業概要:自動車・産業機械用及び住宅関連の各種システム機器と制御装置、電装装置、部品などの製造販売
資本金:120億1643万円
連結売上高:611億円(2012年11月期)

掲載日:2013年4月 1日

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