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闘いつづける経営者たち
株式会社IHI【斎藤 保】

目次

カイゼンを重視

 斎藤保社長は根っからの"現場の人"だ。「日々の改善活動の積み上げが当社グループの基盤であるモノづくりの強さにつながっている」と語る。航空・宇宙部門を長く歩み、入社当時に配属した瑞穂工場(東京都瑞穂町)ではエンジンの設計や組み立て、運用などに携わった。カイゼンを重視する姿勢はこの頃に培われたものだ。

 相馬工場の立ち上げを現場レベルで取りまとめ、航空宇宙事業本部長に昇格した後はエンジン事業の収益性拡大をけん引した。同本部長の後は円高対策のための調達部門やモノづくり、新事業推進など"横通し"の仕事に携わり、視野も広げた。釜和明会長も「いろいろな面でバランスが取れている。全体を見る力は強い」と太鼓判を押し、「後継者としてすぐに立ち上がってくれる」とエールを送る。

経営数字に反省

ep-fight-045-10.jpg そんな斎藤社長にとって、IHIの現状については物足りなさを感じている。12年度までの現中期経営計画は売上高1兆4000億円、経常利益600億円が経営目標。だが円高進行や世界経済の冷え込みもあり11年度実績で売上高1兆2218億円、経常利益417億円に止まり、目標達成は困難な状況だ。斎藤社長は「数字目標は達成できていないので満足していない。為替や環境変化といった言い訳もできるが、反省しなくてはいけない。結局中計で掲げたパラダイム転換ができていなかった」と指摘する。
 現中計では「ライフサイクル重視」「グローバル」「市場ニーズ重視」を掲げていた。目標未達の理由に3項目の実行が不十分だったとの反省がある。今後の針路もこの3点に集約される。

ep-fight-045-11.jpg アジア統括はその打開策の一手だ。現地調達としてシンガポールに技術員を派遣。技術的な観点で調達を管理する。「設計・技術をグローバルスタンダードの規格で調達して、品質を見ても日本とそう遜色もない。そういう視点でやればコストも下がってくる」(斎藤社長)。人員増などレベルの高度化を図り調達量を増やしていく。
 ライフサイクル事業も安定的な事業基盤を作る意味で重要だ。「"売り切り"の発想が強かった」(同)営業姿勢を、アフターサービスを重視することで定量的な収益を稼ぐモデルへの転換を図る。顧客の囲い込みや上流の設計、製造部門の改善にもつながる。現地との関係強化は海外調達、海外生産拡大の近道でもある。

技術革新の循環に

ep-fight-045-12.jpg 斎藤社長は「利益水準をもう一段引き上げたい。それは達成可能で、ポテンシャルはある」と断言する。そのためのモノづくり力という原点に立ち返る。「技術に磨きをかける。当社はモノづくりをやってきた会社で、モノづくりから離れずやっていることで、良い面が見えてくる。技術革新が出てきて次の製品も出てくる。いい循環につなげないといけない」。継続的な成長に向けて、モノづくり企業の挑戦は終わらない。

斎藤保 プロフィール(さいとう・たもつ)

1975年(昭50)、東大工学部航空学科卒。学生時代に本当に空を飛ぶ航空エンジンを設計した。同年石川島播磨重工業(現IHI)入社し、初任地の瑞穂工場(東京都瑞穂町)ではエンジンの設計や組み立て、運用を担当。その後、相馬工場(福島県相馬市)の立ち上げを現場レベルで取りまとめるなど、航空・宇宙部門を長く歩み、IHIのモノづくりを知り尽くす。航空宇宙事業本部長時代はエンジン事業の収益性拡大をけん引した。06年執行役員、08年取締役、09年常務執行役員、11年副社長。山形県出身。趣味は読書と史跡巡り、奥の細道を7年かけて歩いた。

企業データ

株式会社IHI

東京都江東区豊洲三丁目1-1 豊洲IHIビル
03-6204-7800
事業概要:資源・エネルギー、造船、社会基盤、機械、航空・宇宙事業など
設立:1889年(明22)
資本金:957億円
売上高:5,592億円(平成24年3月期)

掲載日:2012年11月 1日

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