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闘いつづける経営者たち
株式会社IHI【斎藤 保】

目次

浸透進む過給機

ep-fight-045-4.jpg 「2015年度に11年度比4割増の売上高1500億円」―。数ある製品群の中でも強気の目標を掲げるのがターボチャージャー(過給機)だ。
 環境負荷低減に向け、自動車業界ではエンジンのダウンサイジング(小型化)の動きが活発だ。一方、エンジンの馬力を補うため、過給機の採用が広がっている。採用範囲は、これまでの一部の高級車から一般車にまで広がり、地域的にも欧米の先進国だけでなく、中国など新興国にも拡大しつつある。今後、爆発的な量の拡大が期待されている。
 中長期での成長が確実視されており、斎藤社長も「追い風が吹いている。主力拠点に素早く投資して生産能力を高め、需要に対応したい」と鼻息は荒い。IHIは過給機の生産を世界8拠点で手がけており、そのうち主力のドイツ、タイ、中国3拠点の増強を決めた。この分野に集中的に投資し、15年度に世界生産能力を650万台規模に拡大する。基幹部品を欧州とタイで現地生産し、為替の影響も最低限に抑え、製品競争力の強化にもつなげる方針。そして将来的に世界シェアを30%に引き上げる計画だ。

長期的に好調を維持

ep-fight-045-5.jpg 世界的な需要拡大に支えられて、好調を持続しているのは民間航空機用エンジンも同様だ。世界の旅客需要は2020-30年まで年率5%程度の継続的な拡大が予想され、航空機メーカー各社も増産計画を立てている。例えば米ボーイングの中型旅客機「787」。850機超の受注残を抱えており、ボーイングは生産機数を13年末に現在の約3倍の月産10機に引き上げる。 この787の主要エンジン「GEnx」の設計・開発・製造にIHIも参画している。低圧タービン部と高圧圧縮機後段部を担当しており、エンジンに占める同社の割合は約15%だ。

 IHIが関わる航空機用エンジンは、大型機用から小型機用までカバーしている。中でも日、米、英、独、伊の5カ国で共同開発した欧エアバスの小型機「A320」用中型エンジン「V2500」は、累計納入台数が5000台を超えるベストセラーになった。IHIもいつくかの部品を担当している。エンジンは初期段階での開発費負担がネックとなるが、V2500は投資回収期を迎えており同事業の収益源だ。さらに新規開発の原資ともなっている。

成長に投資いとわず

ep-fight-045-6.jpg 斎藤社長も「航空機エンジンは、ビジネスモデルを変えることなく、後継機にうまく引き継げれば継続して伸ばせる」と自信を示す。現在は「V2500」の後継機エンジン「PW1100G-JM」の開発計画に参画。独自の複合材技術を適用し、エンジンの軽量化に貢献している。
 世界シェアは米ゼネラル・エレクトリック(GE)や米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)などに離されているが、独自技術で存在感を発揮している。「過給機、航空機エンジンとも当然供給力を増すために投資する必要がある」と斎藤社長はいう。成長の果実を取るために巨額投資もいとわない考えだ。

斎藤保 プロフィール(さいとう・たもつ)

1975年(昭50)、東大工学部航空学科卒。学生時代に本当に空を飛ぶ航空エンジンを設計した。同年石川島播磨重工業(現IHI)入社し、初任地の瑞穂工場(東京都瑞穂町)ではエンジンの設計や組み立て、運用を担当。その後、相馬工場(福島県相馬市)の立ち上げを現場レベルで取りまとめるなど、航空・宇宙部門を長く歩み、IHIのモノづくりを知り尽くす。航空宇宙事業本部長時代はエンジン事業の収益性拡大をけん引した。06年執行役員、08年取締役、09年常務執行役員、11年副社長。山形県出身。趣味は読書と史跡巡り、奥の細道を7年かけて歩いた。

企業データ

株式会社IHI

東京都江東区豊洲三丁目1-1 豊洲IHIビル
03-6204-7800
事業概要:資源・エネルギー、造船、社会基盤、機械、航空・宇宙事業など
設立:1889年(明22)
資本金:957億円
売上高:5,592億円(平成24年3月期)

掲載日:2012年10月25日

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