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闘いつづける経営者たち
株式会社日立ハイテクノロジーズ【久田 眞佐男】

目次

グループ再編の思惑で

ep-fight-043-1.jpg 「隣の人が何をしているかわからない状態。興味もなかったのでは」。日立ハイテクのある幹部は、数年前の自社の状況をこう自嘲気味に語る。日立ハイテクの歴史をたどれば、それも納得できる。

 2001年に日立製作所の半導体製造装置部門と計測器部門、そして日立グループの商社の日製産業が統合して誕生した。統合当時、注目を集めたのは、メーカーと商社という収益構造が全く異なる二面を持つ特異な業態だった。当然、舵取りの難しさが予想された。そして基盤が固まらないうちに、日立グループの再編の思惑に飲み込まれた。

 03年に三洋電機から電子部品実装装置(チップマウンタ)事業を統合、04年には液晶装置や磁気ディスク関連装置の日立電子エンジニアリングをグループ化。10年にはルネサスエレクトロニクスから半導体製造装置事業を取得した。

10年間、唱え続ける

ep-fight-043-2.jpg 異なる土壌で育った従業員が増えていったこともあり、企業内の「対話」の前提を築くことが難しかった。

 ただ、少しずつ変化は起きていた。10年度後半には従業員参加型で「日立ハイテクが共有すべき価値観は何か」というテーマで討議を重ねた。従業員同士が一枚岩になる体制が少しずつ整っていった。それでも、商事部門とメーカー部門の連携が依然としてうまくいっているとはいえなかった。

 久田社長は日立製作所で営業、調達畑を歩き、執行役常務を経て、10年にハイテクの副社長に就任した。外から見てきただけに、冷静に日立ハイテクの内情を把握できたのかもしれない。

 「シナジーは10年間唱え続けてきたと聞く。意識はあっても、組織としては自社部門と商事部門、自社部門でも事業ごとに閉じていて思ったほどうまくいかなかったのでは」と語る。

不足品を難なく集める

ep-fight-043-3.jpg 実際、メーカー部門出身の役員は「商事部門のありがたみが正直、わかっていなかった」と振り返る。自社の商事機能の「実力」に気づかされたのは東日本大震災時だ。停電で工場の自家発電用の軽油や、装置向けの部品が不足した。万策尽きたと思われたが、商事部門が難なく集めてきた。「彼らの情報網はすごい。使える」。メーカー部門内で商社部門の位置づけが変わった瞬間だった。

 日立ハイテクは11年春に経営戦略や営業統括で全社横断の機能を強化した。久田社長は「例えば、新事業の計画もこれまではどうしても縦割りだった。新事業創生の部隊には意識的に商事部門とメーカー部門が融合するような案件を考えていこうと指示している」と発破をかける。

 上場企業でありながら収益モデルが全く異なるメーカー部門と商事部門のハンドルを握るのは容易ではない。それは同社のこの10年の歴史が物語る。日立グループ内の再編問題も横たわったままで、日立本体の意向でまた振り出しにもどる可能性もある。だが、会社が誕生して10年。日立ハイテクは久田社長の下、ゆっくりだが確実に動き出している。

久田眞佐男 プロフィール(ひさだ・まさお)

1972年(昭47)東大経卒、同年日立製作所入社。01年日立(中国)総経理、04年日立アメリカ社長、06年調達統括本部長、07年執行役常務、10年4月日立ハイテクノロジーズ執行役副社長、6月取締役兼務、11年社長。群馬県出身、1948年12月生まれ。趣味はゴルフ。座右の銘は「一期一会」。

企業データ

株式会社日立ハイテクノロジーズ

東京都港区西新橋1の24の14
03-3504-7111
事業概要:半導体製造装置、汎用分析機器、医用分析装置の製造販売および工業材、ITシステムの販売
設立:1947年
資本金:79億3848万円
売上高:6459億円(12年3月期)

掲載日:2012年6月25日

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