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闘いつづける経営者たち
株式会社ミクシィ【笠原 健治】

目次

業績は後からついてくる

ep-fight-042-10.jpg インターネット上で友人や知人と交流するソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のmixiで日本を席巻しておきながら、中国進出に失敗した笠原。競合の交流型サービスも台頭し、存在意義も問われ続けている。ゲームに特化したSNSを運営するDeNA(ディー・エヌ・エー)やグリーなどと比べて、ミクシィの業績は物足りないとの声が投資家や証券アナリストからは聞こえてくる。

 笠原はそうした声を考慮して新たな広告商品の開発や提供に注力しつつも、「居心地が良い空間を提供すれば、利用者は熱心に使ってくれる」(笠原)という信念を貫いてきた。そうなれば「広告のクリックや商品購入の確率、友人が何かを勧めたときの反応などが良くなる」(同)ため、業績は後からついてくると考えている。

ソーシャルで世界を変える

 日本のITベンチャー企業ではアメリカの何々という会社を抜きたい、あるいは売上高をいつまでに何倍にして世界一になりたい、という野望をあらわにする経営者も少なくない。しかし「より良いものを、より早く出すための前提として収益は欠かせない。だが数字がゴールにはならない」というのが笠原の考え方だ。

ep-fight-042-11.jpg では笠原の中長期的な目標はいったい何で、ミクシィをこれからどのような会社にしていきたいのか。それは「ソーシャルで世界を変える。ソーシャルの可能性を引き出して、世の中に革新的なサービスを生み出す」(同)ということだ。ただ、具体的な内容は明らかにしていない。

 「今さら古いコンセプトのまま海外へ出て行っても難しい。まだ内容ははっきりとはしないが、新しい交流サイトのかたちをつくれれば、きっと受け入れられる」。笠原はミクシィが海外に再上陸するカギとなる新たな交流サイトについても、慎重に言葉を選ぶ。その態度を額面通りに受け取ると、物足りないと感じる人もいるのだろう。

静かなる挑戦

 東京大学在学中に、ITビジネスの将来性を見込み、いち早く求人情報サイト「Find Job!(ファインドジョブ)」を立ち上げた笠原。交流型サービスの草分けとしてmixiを立ち上げて国内で一世を風靡し、中国進出を目論むも撤退を余儀なくされた笠原。がむしゃらに走り続けてきた笠原は、世界を少しだけ変えることの難しさを知っている。慎重な発言はその裏返しのはずだ。インターネット業界での長い経験と、それに裏打ちされた深い思索を武器にどんな未来をつくりだすのか―。笠原の静かな挑戦は続いていく。

笠原健治 プロフィール(かさはら・けんじ)

1975年12月6日、大阪府生まれ。東京大学経済学部のゼミで学んだITビジネスの事例や、米国におけるインターネットビジネスの興隆に触発される。紙の求人情報誌を見てアルバイト採用に応募するのが非効率的だと感じたことなどがきっかけで、在学中の97年に求人情報サイト「Find Job!(ファインドジョブ)」を開始。企業からの受注を伸ばし、ITの世界で生きていくことを決意する。1999年イー・マーキュリー(現ミクシィ)として法人化し、社長に就任。01年に東大を卒業。04年に参加交流型のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「mixi(ミクシィ)」を立ち上げ、現在に至る。休日もインターネットへアクセスし、新しいサービスを構想していることが多いという。

企業データ

株式会社ミクシィ

東京都渋谷区東1の2の20
03-5738-5900
事業概要:参加交流型のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)運営
設立:1999年(平11)6月
資本金:37億6500万円
売上高:132億2900万円(11年3月期)

掲載日:2012年5月10日

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