トップページ  >  起業する  >  コラム・インタビュー  >  闘いつづける経営者たち  >  01.真の技術革新と小回り経営の両立

闘いつづける経営者たち
浜松ホトニクス株式会社【晝馬 明】

目次

 ニュートリノの観測装置「スーパーカミオカンデ」や、「神の粒子」と呼ばれる「ヒッグス粒子」の発見に貢献する光センサーを開発した浜松ホトニクス。光関連部品を主力とする売上高1000億円規模の中堅企業の同社が、世界を驚かす技術を生み出しながら、売上高経常利益率約20%という高利益体質を維持できるのはなぜなのか。晝馬明社長は「大きな変化が日常的に起きる今の時代には本当の意味での技術革新と小回りをきかせた経営が重要で、当社にはその両方がある」と言い切る。これを支えるのが「人類未知未踏の追求」という経営理念と、社員に収支を毎月報告させる「部門採算制」の両輪だ。

世界シェア90%

ep-fight-041-1.jpg 浜松ホトニクスの主力商品である光センサーには大きく分けて、真空管を使う「光電子増倍管」と、半導体を使う「光半導体素子」の2種類がある。光電子増倍管は世界シェア90%超とほぼ独占状態だ。

 光電子増倍管は光を電気信号に変えて数百万倍に増幅し、極めて微弱な光の粒(フォトン)を検出する。同社の光電子増倍管の光電変換効率は量産品では世界一。ニュートリノの観測装置「スーパーカミオカンデ」に使われる直径約50センチメートルの大型製品を製造できるのも同社だけだ。核となる技術はアルカリ金属を蒸着する光電変換膜の作成技術。安定的に高品質な膜を作ることは難しく、他社がまねできない理由となっている。

ep-fight-041-2.jpg 同社は常に世界一の性能を求める研究者の要求に応えることで技術革新を重ね、その課程で原材料や製造法に関するさまざまなノウハウを蓄積してきた。最近では産業用で血液やDNA(デオキシリボ核酸)の検体検査機器や石油探査装置向けなどの需要が拡大し、収益に貢献している。

車内LAN用の高速通信で光半導体が採用

 光半導体素子では、車内LAN用高速光ネットワーク通信向けの送受信素子が欧州メーカーの高級車向けで採用され、日系メーカーでも採用される予定。従来のワイヤハーネスに比べて軽量でノイズに強く、高速伝送ができる。今後多くの車種に採用される見通しだ。環境意識の高まりで重金属を検出する環境測定機器や残留農薬の検査機器の販売が増えている影響で、対象物の特定に使う光源も堅調に推移している。

ep-fight-041-3.jpg こうした革新的な製品を生み出し続けられるのは、同社の「中興の祖」とされる晝馬輝夫会長が掲げた「人類未知未踏の追求」という経営理念が社員に浸透しているからだ。晝馬輝夫会長は現在は病気療養中で表に出る機会が減ったが、長男の晝馬明社長が後を継いでいる。この理念に基づきノーベル賞級の研究者に要求される光センサーの開発に取り組む。一方、それらの開発過程で学ぶさまざまなことを医療や産業分野向けの製品に生かすことで、「高付加価値な光関連製品を生み出し続けることができている」(晝馬社長)ことが強みとなっている。

晝馬 明 プロフィール(ひるま・あきら)

1956年11月10日生まれ、静岡県出身。81年(昭56)米ラトガース大学コンピューター・サイエンス専攻を卒業し、84年に浜松ホトニクスに入社。同年米国ハママツ・システムズ・インクに出向した。学生時代も含め約30年は米国暮らしで、カナダ人の妻と愛娘が米国に住む。浜松ホトニクスの事実上の創業者である輝夫前会長兼社長(現会長)の長男。輝夫氏の健康悪化を受けて、10年に「浜ホトらしさの継承に最適」という理由で取締役会の満場一致で社長就任が決まった。中国の需要開拓など海外展開の加速に手腕を発揮している。

企業データ

浜松ホトニクス株式会社

静岡県浜松市中区砂山町325の6
053-452-2141
事業概要:光電子増倍管、光半導体素子、光源、イメージ機器、画像処理装置、計測装置の製造・販売
設立:1953年(昭和28年)9月29日)
資本金:349億2800万円
売上高:1018億5800万円(2011年9月期)

掲載日:2012年3月26日

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