トップページ  >  起業する  >  コラム・インタビュー  >  闘いつづける経営者たち  >  03.技術力・神鋼との連携強み、燃費を20%改善

闘いつづける経営者たち
コベルコ建機株式会社【小谷 重遠】

目次

燃費のコベルコ

 「当社の発展を支えている一番の強みは技術開発力にある」。小谷重遠社長は自社の強みをこう説明する。それを表す製品となったのが06年投入の油圧ショベル「アセラ・ジオスペック」シリーズ。燃費を従来比20%改善、騒音や振動も大きく抑え、「燃費のコベルコ」をアピールした。「燃費性能や低振動・低騒音の面では業界をリードしていると自負する」(小谷社長)同社の技術力は神戸製鋼所との連携も生かされている。

ep-fight-031-6.jpg 同シリーズの開発では、燃費改善と同時に第3次排ガス規制対応が不可欠だった。排ガス中の粒子状物質、窒素酸化物を大幅に減らすエンジンを使えば、燃費は悪化してしまう。最新式エンジンを搭載しても燃費改善には限界がある。そうした中、着目したのが神鋼技術開発本部機械研究所(神戸市西区)と共同開発した「シミュレーションベンチ装置」だ。

 同装置はエンジンと油圧ポンプをつなぎ、模擬運転席の操縦かんを動かすと、モニター上に油圧ショベルの作業動作がアニメーション表示されるもの。作業時の負荷に応じたエンジンや油圧ポンプの燃費や制御性能を把握でき操作性もシミュレーションで評価できる。

 従来、燃費効率の良い制御方法を見つけ出すには、試作機による検証を何度も続け、改良を重ねるしかなかったが、膨大な開発費と時間が必要だ。だが、シミュレーションベンチ装置を使えば、短期間で何度も評価試験を行える。結果、最小限の開発費と開発期間で制御の最適値を探り当てた。

 エンジン開発でも同装置が大きく貢献した。コベルコ建機は日野自動車からエンジンの供給を受けているが、油圧ショベルとトラックのエンジン負荷は大きく異なる。トラックはエンジン最大出力の40-50%で走行するが、油圧ショベルは同70-80%で作業する。この違いをシミュレーションベンチ装置の解析データで具体的に説明できるようにしたため、油圧ショベル用に最適にカスタマイズされたエンジンを開発することができた。

余剰エネルギーの再利用

ep-fight-031-7.jpg 次世代機開発に向けた取り組みでは重量8トン級のハイブリッド油圧ショベル「SK80ハイブリッド」を10年1月に発売した。旋回減速時のエネルギーだけでなく、低負荷時に発生するエンジンの余剰エネルギーも電気に変えてニッケル水素電池に蓄電。高負荷時にエンジン出力を補完する電動モーターを動力源として再利用する。これにより7トン級の現行機に比べ燃費を40%以上改善した。

 エンジン余剰エネルギーの再利用は、コマツのハイブリッドショベルにはない技術。価格が2530万円と7トン級現行機比2.4倍と高額なのが課題だが、「年1000台の量産体制をいち早く確立して現行機比1.5倍に抑える」(小谷社長)ためにも、神鋼との共同開発の成果が求められる。

小谷 重遠 プロフィール

1971年(昭46)京大院工学研究科修了、同年神戸製鋼所入社。機械本部圧縮機センター長などを経て98年取締役、99年執行役員、00年常務機械カンパニー執行社長、03年専務、05年代表取締役副社長、08年コベルコ建機社長。1945年(昭20)3月、京都府生まれ。

企業データ

コベルコ建機株式会社

〒141-0021
東京都品川区東五反田2-17-1
事業概要:建設機械、運搬機械の製造、販売、サービス
設立年月日:1999年10月1日
資本金:160億円
従業者数:912人(グループ総計6145人)(10年4月1日時点)

掲載日:2011年4月 4日

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