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闘いつづける経営者たち
アイコム株式会社【福井 勉】

目次

単品売りからソリューションへ

ep-fight-029-7.jpg 無線機のデジタル化に伴い、アイコムは販売戦略の改革を進めている。「ボックスムーバー(単品売り)ではダメ。アナログ時代はそれで良かったが、今はソリューション(問題解決)が求められる。代理店を含めた販売戦略の改革が必要だ」-。福井は、ことあるごとにこう繰り返してきた。

 アナログ機の設定は比較的単純なため、極論すれば、単体の端末を右から左へ流すだけで販売代理店のビジネスが成立していた。だがデジタル機は、基地局や中継機も含めてインターネット・プロトコル(IP)網に接続できるなど、付加機能が増えた。IP網接続で通話範囲を広げたいといった要件は顧客ごとに異なり、無線システム全体のカスタマイズが求められる場合も多い。従来型のビジネスに慣れた代理店ではこうした要望に対応しきれないため、福井はアイコム社員によるテコ入れが必要だと判断している。

大型受注の成功例も出現

ep-fight-029-8.jpg 具体的な対策として、アイコム本社から営業マンや技術者を出張させ、東南アジアや中東で販売店支援を強化。現在は各国で毎月1回程度、研修会を開いている。市場調査を兼ね、顧客を巻き込んでセミナーを行うことも増えた。

 代理店向けには技術を教えるのはもちろんだが、アイコムの機器を使った通信システムを構築し、顧客へ売り込まねばならないという動機づけを重視。このような意識改革を含めた取り組みが功を奏し、最近はモトローラのアナログ機を使っていたインドネシアの会社に対してアイコムのデジタル機730台を納入できたなど成功例も出てきている。

 ただ、システムを丸ごと提案するという思想は、一般的には珍しいことではない。例えば企業向けの基幹業務システムをつくる情報サービス業界では、メーンフレーム(大型汎用(はんよう)機)などのハードウエアを売ってもうけるビジネスモデルが数十年前に崩壊。現在は顧客に合わせたソフトウエアをいかに提案できるかがポイントで、ハードは日用品になりつつある。

販売店支援の手綱緩めず

ep-fight-029-9.jpg これまでアイコムが単品売りでやってこられたのは、ニッチな分野の技術力を徹底的に磨き、製品に反映できていた裏返しとも言える。だが、今後はそうした良さを残しつつも、マーケティングや関係者への啓発活動などの努力が求められる。

 福井もこの点は認識しており「販売店側がデジタル化に向けた努力を諦めない限り、我々は支援し続ける」と決意している。販売パートナーとともに顧客と向き合う。これをいかに愚直に、かつ迅速にできるかがカギとなる。

福井 勉 プロフィール

75年(昭50)大阪市立大商卒。89年アイコム入社。92年取締役、99年常務、03年専務、06年社長。奈良県出身。

企業データ

アイコム株式会社(ICOM INCORPORATED)

〒547-0003
大阪府大阪市平野区加美南1の1の32
事業概要:無線通信機器、コンピューター機器の製造販売
設立:64年(昭39)7月
資本金:70億8122万円(10年3月末現在)
上場取引所:東京証券取引所 市場第1部、大阪証券取引所 市場第1部
従業者数:1097人(10年3月末現在)

掲載日:2011年2月21日

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