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闘いつづける経営者たち
日本アイ・ビー・エム株式会社【橋本 孝之】

目次

年の瀬の社長交替

ep-fight-028-4.jpg 日本IBMの改革と同軸で注目されたのはトップ交代。大歳卓麻社長兼会長(現在は会長)が内規の役員定年に達していたため、すでに交代の節目にはあったが、2010年1月1日付で橋本孝之取締役専務執行役員が社長に昇格する人事を年の瀬ぎりぎりの2009年12月30日に緊急発表し、業界を驚かした。

 会見で大歳氏は「当社の会計年度は12月末で終わるため、新年度は新しい時代のリーダーに任せようと考えた」と説明。橋本氏を選んだ理由として「顧客志向で現場志向、そして品質志向が強い。また、軸がしっかりしていて一貫性がある」と強調した。

IBMのDNA

ep-fight-028-5.jpg 当時はリーマン・ショックの影響が色濃く、まさに嵐の中での船出となったが、橋本社長は「大変な時期だが、力を発揮できる好機と受け止めている。われわれはコスト削減策はもとより外部委託(アウトソーシング)や企業買収の支援まで幅広いソリューションを持っており、事業変革の提案については引き算もかけ算もできる。ピンチをチャンスに変えるのがIBMのDNAだ」と強調した。

 新体制の指針としては顧客志向、自由闊達、グローバルの三つを掲げ、「社員が自由にモノを言い、現場の声をきちんと聞ける会社にしたい。それが顧客満足度にもつながる。個人的には『わくわく、生き生き』といった言葉が好きだ」と抱負を語った。

 橋本氏はハードウエア部門、サービス部門などの責任者を歴任していたが、もともとは中堅・中小企業向けのゼネラル・ビジネス(GB)担当。GB出身で役員となり、トップに上り詰めたのは初めてだが、橋本社長の誕生には伏線があった。

 日本IBMはGB部門のてこ入れで08年8月に新規顧客の開拓に特化した事業開発部を新設し、推進役に橋本氏(当時は専務)を据えた。同部は執行役員7人を配置するなど豪華メンバーで立ち上げており、これが新体制への伏線だった。

飛び込み営業の経験

ep-fight-028-6.jpg 橋本氏は名古屋地区で営業担当などを経験後、96年1月にオフコン「AS/400」の製品事業部長に就任。00年3月に取締役ゼネラル・ビジネス事業部長、03年3月に常務執行役員BP&システム製品事業を担当した。

 橋本社長は「GB担当は若いうちから顧客先のトップと話をし、一人でいろいろなことをやるため、度胸がつく。GB時代は喫茶店を根城にして、飛び込み営業で客先を渡り歩いたものだ。その経験が現場志向につながっている」と、当時を振り返る。

 同社ではかつて「メーンフレームを売ってこそIBMの営業マン」とされていたが、ダウンサイジングの波がIBMを襲った90年代初頭、売上を下支えしたのは中堅・中小企業向け戦略製品のAS/400だった。若き頃に飛び込み営業など"地べた"での闘いを知る橋本社長をトップに選んだ背景には、弛まぬ変革に挑むIBMの強い思いがにじむ。

橋本 孝之 プロフィール

生年月日1954年7月9日、愛知県出身。78年3月、名古屋大学工学部卒業。78年4月、日本アイ・ビー・エム株式会社入社。ゼネラル・システムズ西日本 名古屋営業所。96年1月、日本アイ・ビー・エム株式会社 システム製品事業部 AS/400製品事業部長。98年1月、ゼネラル・ビジネス事業部長。00年4月、取締役 ゼネラル・ビジネス事業部長。01年4月、取締役 パーソナル・システム事業部長。03年4月、常務執行役員 BP&システム製品事業担当。05年1月、常務執行役員 IGS(IBMグローバル・サービス)事業担当。07年1月、専務執行役員 GTS(グローバル・テクノロジー・サービス)事業担当。08年4月、取締役 専務執行役員 営業担当。08年8月、取締役 専務執行役員 事業開発担当。09年1月、代表取締役社長。

企業データ

日本アイ・ビー・エム株式会社

〒103-8510
東京都中央区日本橋箱崎町19番21号
TEL:03-6667-1111(IBMグループ番号案内)
事業概要:情報システムに関わる製品、サービスの提供
設立:1937年(昭和12年)6月17日
資本金:1,353億円
売上高:954,568(百万円)平成21年12月期

掲載日:2011年1月24日

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