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闘いつづける経営者たち
株式会社タカラトミー【富山 幹太郎】

目次

グローバル化はガツンと

ep-fight-026-14.jpg いくつかの困難を乗り越えて、財務体質を安定させ、国内市場でも存在感を高めた富山幹太郎だが、「OBの方に海外が弱くなってしまったねと言われるのです」。国内の少子化が進む中で、グローバル化は今後の発展に欠かせない。「そんな気はなかったけれど、ガラパゴス症候群になっていたのかもしれない」と反省する。

 日本のおもちゃはオーバーバリューで、価格面で海外と相当のかい離がある。例えばミニカー「トミカ」は車のドアが開閉できるなど精巧にできていて360円。一方、米国マテルのミニカーはドアの開閉はできないが1ドルだ。相当スペックを落とさないとトミカを1ドルにはできない。「社員はそんなことをしたら日本で売れなくなると恐れを抱く」。「脱ガラパゴスは意外に大変なのです」と富山。「それを克服するのが最後の仕事」と言い切る。

 現在、タカラトミーのグループ全体で80%が国内ビジネス。製品はほとんどが海外の生産拠点からの輸入だ。富山が社長に就いた24年前と完全に逆になった。「グローバルにやるからには結構な投資を含めてガツンとやりたい。それには国内をしっかり安定させ、体力をつけないといけない」という富山が打ち出した一手がタカラとの合併だ。

タカラとの合併で体力つける

ep-fight-026-15.jpg おもちゃ業界はバンダイが断トツのトップで、トミーとタカラが2、3位を争う構図が続いた。両社ともバンダイを攻める消耗戦だ。「合併するとバンダイと同じくらいの規模になり、2、3位の消耗戦が避けられ、戦略的に闘える」と富山。タカラは米国ハスブローと提携して車や飛行機に変身する超ロボット生命体「トランスフォーマー」をヒットさせた。ハリウッド映画になってステージが上がり、世界で500億円を売り上げている。北米への足掛かりにもつながるとの読みもあったのかもしれない。

ep-fight-026-16.jpg 「合併当初は販売計画の立て方などが両社で異なり、手探り状態で苦労した」が、4年たって体制が固まり、今期の営業利益率6%というところまできた。でも「海外メーカーは15%とか平気でたたきだす。これからグローバル化というからには2ケタに収益性を高めないといけない」というのが中長期の目標。

 さらに14年の創業90周年、24年の100周年の節目に向けてグローバル展開の基盤を固め「24年には世界一」と頂点を目指す構えだ。「世界一になるにはまず商品が世界一になるかどうかが課題、出す商品が世界一に達しているかどうかという視線で企画、開発、設計しろ」と社員に気合を入れる。そのためには「もう一度、開発を設けようと考えている」。君子豹変である。

おもちゃ=子どもではない

ep-fight-026-17.jpg 少子化対策はグローバル化にとどまらない。おもちゃを中心とした周辺事業の拡大がその一つ。「定番商品も情報価値を高めていこう」とトミカの絵本を出し、これが毎年100万部くらい売れているそうだ。DVDも1回出すと2万~3万枚売れるという。10年前からトミカ博というイベントも始めた。前回は9日間で14万人を集めた。子ども用のパジャマやティーシャツ、弁当箱などを作って販売する。東京駅のトミカショップは売り上げの52%がおもちゃ以外。お菓子も売っているという。

 もう一つは「おもちゃのターゲットを子どもだけに限定せず、幅広い年齢層に向けて開発していこうという方向」。1万円くらいする「ユメル」というヒーリングドール(いやし人形)は「平均購買層がなんと50歳以上の女性なのです」と富山自身が驚きを隠さない。「100歳を超えた母が喜んでいる、大変よい商品だと70歳の娘さんからお便りをいただいた」そうだ。太陽電池でこっくりこっくりと首を揺らす人形「のほほん族」は若い女性を中心に人気だ。鉄道模型の「TOMIX」も団塊世代向けを狙う。おもちゃイコール子どもではなく「いろいろな年齢層のライフスタイルに合わせて商品を提供していきたい」という。

富山 幹太郎 プロフィール

1954年(昭和29年)東京都葛飾区生まれ。82年英国ハル大学卒、同年トミー工業入社。86年トミー工業、トミー社長就任。89年トミー工業、トミーの合併及び商号変更により、トミー取締役社長就任。06年タカラトミー代表取締役社長就任。現在に至る。

企業データ

株式会社タカラトミー

〒124-8511
東京都葛飾区立石7-9-10
事業概要:玩具・雑貨・カードゲーム・家庭用ゲームソフト・乳幼児関連商品等の企画、製造および販売
設立:1953(昭和28)年1月17日
資本金:34億5953万円
従業員数:649名(2010年3月31日現在)

掲載日:2010年12月 9日

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