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闘いつづける経営者たち
株式会社パソナグループ【南部 靖之】

目次

 ベンチャーの雄、パソナグループも創業から35年。さらなる企業成長にどのように挑むのか。南部靖之代表の発言からは、日本の労働政策が大きな転換点を迎えるなか、多様な就労インフラ整備を通じ一人ひとりが自立する、真の「インディペンデント・ソサエティ」の実現へまい進する気概が感じられる。

社会の問題点を解決

ep-fight-021-7.jpg 「社会貢献と企業利益は車の両輪。極論すれば企業規模は半分になってもいい。「社会の問題点を解決する」という企業理念や経営哲学を次代にいかにつないでいくかが重要であり、それは創業者である僕にしかできない」

 業界活動や政府の審議会委員など、いわゆる「公職」と一線を画す南部代表。自社の経営においても、IR活動などは担当役員に任せ、自社農園での野菜の収穫など、いまなお若手社員の先頭に立つ。

 「コアビジネスは何かと問われたら、社会の問題点を解決する人事コンサルタントだと思う。派遣事業だけ手掛けていれば会社はもっと伸びたかもしれない。しかし、派遣は雇用を生み出す手段のひとつ。企業規模拡大が目的ではない」

 業績低迷で各社は収益構造の多様化を急いでいる。ただ、実現への方策は異なる。ライバル、テンプホールディングス(HD)は企業の買収・合併(M&A)を積極化。コールセンター運営や技術開発など専門ノウハウの取り込みを急ぐ。一方のパソナはコンサルティング力の向上など、既存資源の再強化に軸足を置いているように映る。

外部の目を意識

ep-fight-021-8.jpg 「創業者と経営者は異なる。創業者は白いキャンパスに絵を描く存在。一方、企業価値を高めるのは経営者の役割。その組み合わせによって企業は成長する」

 市場の急成長を横目に、自身は常に「経営の暴走」を自戒してきた。自社ビルを所有しなかったのも製造業派遣に乗り出さなかったのも「ガバナンスが適正に機能した」と振り返る。パソナの役員15人のうち社外取締役は5人。04年には取締役の諮問機関として「アドバイザリーボード」を設置。経営全般に多様な視点から「社会的評価」、すなわち外部の目を意識する。07年には小泉改革を主導した元総務相の竹中平蔵氏がメンバーに就任。その竹中氏は09年8月からは代表権を持たない同社会長の職にもある。

今こそ創業精神を

 「企業はロングセラーであるべきだ。いまこそ創業精神をかき立てる必要があるし、企業理念を社員に伝えることが大切だと思う。それには気力が必要。手をつないで僕の「精神」を伝授していくことが創業者としての役割だと思う」

 100年企業を目指す南部代表。後継者像については明言を避ける。だが根底にある「思い」から見えてくるものもある。同氏の挑戦は対極にあるものを近づけ、多様性を認めることで「新しい形」を生み出す歩みだった。社会を構成する「男」と「女」、「若者」と「シニア」。雇用における「正社員」と「非正規社員」、企業規模の「大」と「小」。ガバナンスにおける「静」と「動」-。こうした信念に改めて目を向ければ次代を託す人材像も推して知るべしなのかもしれない。

南部 靖之 プロフィール

人材派遣業最大手パソナグループの創始者。1976年、関西大学工学部卒業。卒業の1ヶ月前に人材派遣会社テンポラリーセンターを設立。1989年障害者の雇用促進を目的に(株)テンポラリーサンライズ(現パソナ)を設立し、4年後の93年にテンポラリーグループCEOに就任。雇用創造をテーマに、社会の問題解決に奔走する。1952(昭和27)年、兵庫県神戸市生まれ。

企業データ

株式会社パソナグループ(Pasona Group Inc.)

パソナグループ本部:〒100-8228 東京都千代田区大手町2-6-4
創業:1976年2月16日
設立:2007年12月3日
資本金:50億円
事業内容:グループ経営戦略の策定と業務遂行支援
経営管理と経営資源の最適配分の実施
雇用創造に係わる新規事業開発等
売上高:連結 1,835億円(2010年5月期実績)
従業員数:連結 4,641名(2010年5月末現在)
グループ会社:連結子会社 32社
持分法適用関連会社 3社
(2010年7月現在)

掲載日:2010年8月12日

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