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闘いつづける経営者たち
株式会社ぐるなび【滝 久雄】

目次

法学の概念は汎用性がある

 景気低迷下であっても成長する企業、ぐるなびを誕生させたことで、創業者で会長の滝久雄氏に教えを請う若者も増えている。理系出身者によるベンチャー企業の存在は珍しいことではないが、滝氏のように起業という夢を持ちながら、三菱金属(現三菱マテリアル)のような大企業に就職して、なおかつ、飛び出す人間は少数派だった。

 現在、母校である東京工業大学では客員教授として、また、OB組織の蔵前工業会副理事長として、若者に接する機会が多い滝氏はベンチャー志向の学生から意見を求められることも多い。そうした時に滝氏は「やらなければならないことは、やりたいことにしよう」と説いている。

 ベンチャービジネスを志した人間が起業をする時に何が必要か?滝氏の強さは物事をやり遂げる力と同時に自身が哲学し続けられる力にある。それは、物事の道理の根源を考え抜くパワーの強さだ。法律学であるならば、法の根本にある法の淵源はいずこにあるかということまで考える力を体得したことだ。
 「現実的な法律問題が起きた時には、それは顧問弁護士などに頼めば済む。ただし、弁護士は使っても使われてはいけないので、経営者は法の概念を身に付けることが重要だ」と主張する。それは、自分自身がベンチャーを目指して、三菱を退社した直後の経験にさかのぼる。40年ほど前、滝氏は東京大学の法学部で使う『法学概論』を熟読したという。法律は改正されていっても、「法は不変性が高い。根本は変わらないので、法学の概念は汎用性があるのだ」という。
 現実に「ベンチャー企業を興す場合に必要となるのは、技術だけではなく法の概念ではないか。世の中に存在していない事業をつくっていくには、微妙なところで法と触れ合うのではないかと直感していた」と振り返る。

世界一を意識すること

ep-fight-019-8.jpg 仕事をするうえで、人脈が重要であることは間違いない。それは、ベンチャーにおいてはなおさらだ。それゆえ、滝氏も人脈を築く大切さを説き、実践している。
 知りたい世界がある時、滝氏は必ず、その道の第一人者に会って話を聞く努力を欠かさなかった。
 具体的にどう人脈をつくるかだが、滝氏は自らがコーディネーターを買って出ることが「人脈を形成することになる」と説明する。滝会長が中心になって運営する日本交通文化協会では主たる公益事業のひとつとして、「国際瀧富士美術賞」を贈賞している。これは、瀧富士美術賞として創設したものだが、その贈呈式のレセプションを、各美術大学の教官が集まる場になるよう心がけた。
 「受賞した学生のみならず、指導者、学長にもお声がけし、一堂に会する場ができたことで大変喜ばれている」という。なぜなら「それ以前には、美術の分野において、東京芸術大学などの国立大学と多摩美術大学や武蔵野美術大学など私学の教官が一緒になって集まることはなかったと聞いた。新しい交流の機会ができることで、それぞれが高め合える機会にもなっている」と自負している。

 ベンチャー成功のための秘訣として、滝氏は法の概念の理解や人脈形成のほかに、いくつかの心得を定めている。ひとつは夢と執念を持続すること。時代を読む目をもつこと。そして、世界一を意識すること。起業段階においては、「ビジネスモデルが正しいかどうかの検証が重要だ」。
 さらに、成功してもなお、大手の参入への備えを怠らないことがカギとなる。「ベンチャーの事業は立ち止まることを許されない。それゆえ、研究開発費は惜しんではならない。理想を言えば利益の10%は当てたい」と飽くなき成長を目指している。

滝 久雄 プロフィール

1940年2月3日生まれ。63年東工大理工卒、同年三菱金属(現三菱マテリアル)入社。67年に交通文化事業(現NKB)に入社。85年NKB社長に就任。96年に「ぐるなび」を開設。2000年にぐるなび事業を独立させ、2005年には大阪証券取引所ヘラクレスに上場。08年12月には東証1部に上場した。東工大客員教授のほか、政府審議会委員なども務める。

企業データ

株式会社ぐるなび GOURMET NAVIGATOR INCORPORATED

〒100-0005
東京都千代田区丸の内三丁目4番1号 新国際ビル2F
事業概要:パソコン・携帯電話などによる飲食店のインターネット検索サービスその他関連する事業
設立:1989年10月2日(会社設立)
2000年2月29日(株式会社ぐるなび発足)
資本金:2,334百万円(2009年12月31日現在)
売上高:200億1144万円 2009年3月期
従業者数:単体1,183名 連結1,313名(2009年12月31日現在)

掲載日:2010年4月26日

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