闘いつづける経営者たち

企業の成長には、独自の理念や戦略がある。成功後もさらに闘いをつづける経営者たちに聞く、企業成成長ストーリー。

株式会社ニチダイ【古屋 元伸】

目次

高級車、大衆車、そして環境対応車

ep-fight-018-9.jpg 古屋は「2020年までに世界の自動車販売台数が1億台を超える」と予測する。その裏づけは、とてつもない中国市場の拡大にある。09年における中国のそれは1360万台と世界首位に立った。10年には1500万台を超えることが確実視される。アメリカは1040万台とかろうじて1000万台はキープ、中国ほどの伸びは期待できないものの1000万台市場は維持する。加えてBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)のインド、ブラジルが躍進するため、世界で1億台は空想的な数字ではないというわけだ。

 ちなみに09年における日本の販売台数は292万台。少子高齢化と若者の車離れから推して、せいぜい300万台市場といったところだろう。それに対し、中国は毎年、日本市場と同規模に近いほど拡大させる可能性がある。当然ながら、自動車関連産業はこうしたグローバル市場の激変を読み間違えるわけにはいかない。

 この量的変化に加え、質的変化もある。古屋はそれを「二極化とエコ(環境対応)」と読む。

 「世界の自動車市場は、先進国が求めるハイクオリティの車と新興国で伸び続けるコモディティ化された車の二極化が進みます。中国は09年に400万台も伸ばしました。想像を絶するような市場がお隣りに出現したのです。われわれとしてはもはや、二極のうちどちらか一方を選択すればよいというわけにはいきません。両極に対応する戦略を組んでいかなければなりません」

 「もう一つは環境対応の車です。ハイブリッド、プラグインハイブリッド、電気自動車の割合は2020年、日本などの先進国において少なくとも10~15%になるでしょう。電気化が進むと、車の部品点数は激減します。われわれは技術面でどうかかわっていくか、真価が問われることになります」

 ハイブリッド、電気自動車に関する情報収集はすでに営業活動を通じて進めているが、遠からず専門部署を設け、情報収集と分析を加速させることも検討している。特販部門における新規開発はすでに着手した。十字型のディファレンシャル・ギアに使われる部品を、縦割り金型を使うことによって効率的生産につなげる工法を開発するなど、将来をにらんだ開発は着々と結実しつつある。

意外な分野に潜在需要があるかもしれない

ep-fight-018-10.jpg 自動車関連が売上げの8割を占めることは前述のとおりだが、"脱自動車"によって経営基盤を磐石にする将来像にも思いを馳せる。

 「例えばフィルターは、ヘルスケア製品の製造装置に新しい用途を広げました。われわれの技術が意外な分野、意外なところに使われる可能性が大きいので、こちらから丹念に情報発信することが大事だと思っています」

 日本にはあまり産業がなくても、ニチダイが蓄積してきた独自技術が海外で花開く可能性は軽視できない。すでに用途として定着している石油掘削はもちろん、航空・宇宙といった領域にも目を向け、裾野の広い事業基盤を構築すべく、VSOPでいえばヴァイタリティあふれるチャレンジ精神で取り組むことにしている。

*創業者である田中善昭・前社長が、自社の経営を支える要素について、その頭文字から命名した名称。VSOPの「V」はヴァイタリティ、「S」はスペシャルティ、「O」はオリジナリティ、「P」はパッションを意味する。

古屋 元伸 プロフィール

1955(昭和30)年9月21日生まれ。80年4月三菱電機入社。97年4月に同社メカトロニクス事業部主幹。翌98年3月にニチダイ入社。同年4月の総務部長就任をかわきりに、営業統括兼営業企画室長(99年4月)、取締役(99年6月)、営業本部長兼営業企画室長(2000年4月)、代表取締役副社長(01年6月)を経て、02年4月に代表取締役社長に就任。

企業データ

株式会社ニチダイ

〒610-0341
京都府京田辺市薪北町田13
TEL 0774-62-3481
事業概要:精密金型の開発・製造・販売
精密鍛造品及びその関連する成形品の開発・製造・販売
各種ろ過装置及び金属ろ過材料の開発・製造・販売
各種焼結金属の開発・製造・販売
精密部品の組立及び開発・製造・販売
設立:1967年5月
資本金:14億2992万円
売上高:103億9493万円 2009年3月期
従業者数:392人(連結)288人(単独) 2009年3月31日現在

掲載日:2010年4月 8日

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