闘いつづける経営者たち

企業の成長には、独自の理念や戦略がある。成功後もさらに闘いをつづける経営者たちに聞く、企業成成長ストーリー。

株式会社ニチダイ【古屋 元伸】

目次

グローバルな視点を持つ従業員に育てる

ep-fight-018-7.jpg ニチダイは、従業員のあり方として「フリー・フェアー・グローバルの価値基準」を掲げる。それぞれの内容はつぎのとおりだ。

 【フリー】他者からやらされるのではなく、自らが計画・立案し、自らの意思で行動することで、創造性を発揮する。

 【フェアー】互いの価値観を認め合い、自らの長所・得意分野で相手を助けることにより、企業・個人の成長をめざす。コンプライアンスの精神に則り、すべての法令・社会規範およびその精神を遵守し、高い倫理観をもって行動する。

 【グローバル】グローバルレベルで物事を考え、地域社会・国際社会の経済文化の発展に貢献することをめざす。国際社会の一員であることを自覚し、環境問題の重要性を認識するとともに。環境保全に努める。

 このうち古屋がいま最も重点を置くのが、従業員にいかに"グローバルな視点"を持たせるかである。グローバル展開がますます加速される将来を見据えたとき、グローバルな視点で考え、行動できる従業員をどれだけ抱えているかが企業の命運を分けると見ているからだ。

 掛け声よりもまず経験というわけで、永年勤続褒章として、入社5年、10年、20年の社員に、海外研修の目的で海外現地法人を見学させている。海外の従業員や顧客とのコミュニケーションを通じて、少しでもグローバルな視点を養ってもらいたい、との狙いだ。

 永年勤続者が多く出る年と少ない年とで若干のばらつきがあるものの、海外研修は平均して毎年20人前後にのぼる。こうしたインセンティブが従業員のモチベーションを引き上げることにもつながっており、必然的に従業員の定着率は高い。

"暗黙知"の技能を伝承するには...

ep-fight-018-8.jpg 新規採用は基本的に技術系中心だ。

 「採用のポイントですか?う~ん、正直申し上げて、人材を見抜くのは難しい。スポーツをやっているから元気というわけでもありませんからね。でもスポーツをやっている人のほうがどちらかというとハキハキしている。やはり元気な人が好ましいので、どうしてもそういう人を採りがちになりますね」

 入社すると短期間の研修のあと、すぐ現場に配属して上司が直接OJTで教育・訓練する。熟練従業員による技能・技術の伝承も問題なく進んでいるが、グローバル化が進む中でもっかの課題は「暗黙知の伝承」だという。

 「ものづくりはどこのメーカーでもそうだと思うけれど、とりわけ金型は現場の暗黙知が品質を左右する。熟練技能者からそれをどう継承していくか、それをいかに『見える化』するかが大きなテーマです」

 そこで進めているのが「スキルマップ」の作成だ。
「1人ひとりのもつ技能をまず明確にし、その人に何が足りているか、何が足りていないかを一目瞭然でわかるようにする。一種のスキルマップですが、すでにそれができている部隊もあり、それを現場の全領域に広げていきたい」

 ニチダイの次期発展に直結するコミットメントは、一にも二にもVSOPでいうスペシャルティとオリジナリティの技術。現場のポテンシャリティをいかに引き上げるか、その人材育成に熱がこもる。

*創業者である田中善昭・前社長が、自社の経営を支える要素について、その頭文字から命名した名称。VSOPの「V」はヴァイタリティ、「S」はスペシャルティ、「O」はオリジナリティ、「P」はパッションを意味する。

古屋 元伸 プロフィール

1955(昭和30)年9月21日生まれ。80年4月三菱電機入社。97年4月に同社メカトロニクス事業部主幹。翌98年3月にニチダイ入社。同年4月の総務部長就任をかわきりに、営業統括兼営業企画室長(99年4月)、取締役(99年6月)、営業本部長兼営業企画室長(2000年4月)、代表取締役副社長(01年6月)を経て、02年4月に代表取締役社長に就任。

企業データ

株式会社ニチダイ

〒610-0341
京都府京田辺市薪北町田13
TEL 0774-62-3481
事業概要:精密金型の開発・製造・販売
精密鍛造品及びその関連する成形品の開発・製造・販売
各種ろ過装置及び金属ろ過材料の開発・製造・販売
各種焼結金属の開発・製造・販売
精密部品の組立及び開発・製造・販売
設立:1967年5月
資本金:14億2992万円
売上高:103億9493万円 2009年3月期
従業者数:392人(連結)288人(単独) 2009年3月31日現在

掲載日:2010年4月 5日

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