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闘いつづける経営者たち
株式会社ハマキョウレックス【大須賀 正孝】

目次

「ハマキョウレックス」の誕生

ep-fight-017-5.jpg 3PLへの新たな挑戦を機に、92年に社名を「ハマキョウレックス」に変更した。ハマキョウは旧社名の浜松協同から、レックスは「運送業を意味する"エクスプレス"よりも語呂が良く、恐竜といった意味もあって気に入った」という。

 ハマキョウレックスは、全員参加による効率経営に特徴がある。例えば、設備投資に20億円が必要な場合、同社では財務部門の女性が銀行に出向き、金利も含むすべての交渉を行う。仕事が細分化されている大企業と違い、社員が全体の流れを把握しているため「人数は大企業の3分の1ですむ」。遅れている人がいれば周りが応援するため残業もほとんどない。ただし社員の精神的負担を軽減するため、「任せるが、責任は負わせない」のが鉄則だ。風通しの良さも抜群で、「私の給料も社員はみんな知っている」と笑う。

 2004年には、近畿日本鉄道の物流子会社、近鉄物流(現近物レックス)を買収して話題を呼んだ。ところが、中身を精査すると「想像以上にひどかった」と愕然。とくに大須賀が問題視したのは、赤字の業績よりむしろ旧態依然とした経営体質そのものだった。

 旧経営陣を一新すれば話は早い。しかし、和を尊ぶ大須賀はそうはせず、経営陣に黒字化に向けた猶予期間を与えた。1年後、近物レックスは黒字転換したが、それは資産売却で捻出したものだった。しかも、近物レックスの取締役会に出席すると「全員が社長のイエスマンで、議論などまったくない」状態。大須賀の堪忍袋の緒もついに切れ、社長派遣を決意した。

ようやく孝行息子に

ep-fight-017-6.jpg 新社長にはあえて「物流の専門家でない人」を指名した。社長が物流に詳しくないため、役員は内容を整理し、懸命に説明しようとする。すると周囲の役員からも意見や質問が出始め、議論へと発展していく。まさにそれこそが大須賀の狙いだった。

 近物レックスの変化を大須賀は風呂に例える。「誰でもぬるま湯に入ると気持ちいいが、急に48度の湯に入ったら飛び上がってしまう」。歴史も文化も違う企業に、自分たちのやり方を押しつけても拒絶反応を起こすだけ。そこで「ぬるま湯から0.5度ずつ温度を上げていくうちに、いつの間にか48度になっていた」という戦法で、自ら変化するのを気長に待ち続けた。

 買収から5年、近物レックスは赤字体質から脱却しつつある。「09年度は収支トントン、2010年度は黒字化できる」とようやく孝行息子となる見通しだ。

大須賀 正孝 プロフィール

1941年静岡県浜北市(現浜松市)生まれ。浜北中卒、ヤマハ発動機入社。71年に浜松協同運送を設立、92年に「ハマキョウレックス」に称号変更。03年に東証1部上場を果たす。主要顧客は大手スーパーやコンビニエンスストアなどで、流通の川下分野の物流に強い。日本3PL協会会長、静岡県トラック協会会長などを務める。名物経営者として年に30回以上の講演会をこなす。信条の「やらまいか」は、浜松地域の方言で「やってやろうぜ」の意味。

企業データ

株式会社ハマキョウレックス

〒430-0841
静岡県浜松市南区寺脇町1701番地の1
事業概要:物流センター事業、一般貨物自動車運送事業
設立:1971年12月
資本金:40億4505万円(09年3月末)
従業者数:644人(09年3月末)

掲載日:2010年2月22日

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